第九章15 【覇王杯/オーバーロード・カップ1回戦/第3試合】12/華刻嬢(げこくじょう)チームの自信
主に、【華刻嬢チーム】の方の作戦タイムが時間かかってしまったがようやく双方のチームの初戦で展開する【世界観】も決まっていよいよ戦いが始まる。
がその前に、【ヌルチーム】も【華刻嬢チーム】もどちらも弱小チームとして認めているにもかかわらず、妙な自信を持っている。
それは何故か?
それは双方のチームに自分のチームの劣等感を吹き飛ばす特別な何かがそれぞれあったからに他ならなかった。
まず、ルール決めに対して主導権を握っている【華刻嬢チーム】には何があったのか?
それを少し紹介しようと思う。
簡単に言ってしまえば、ある存在から声をかけられたのだ。
人間は憧れている存在に声をかけて応援してもらえると根拠のない自信がつくものである。
彼女達は、一種の憧れている様な存在から声をかけられて舞い上がっているのである。
それは何か?
彼女達を狂わせる程の存在とは何か?
それは単純に彼女達が目指している【覇王】に声をかけられたからに他ならない。
この【覇王杯/オーバーロード・カップ】に勝利したチームのチームリーダーは【覇王】として認められる。
ただし、【覇王】とは1名では無い。
他でも選ばれているのである。
四代目の【覇王】の時点でギリギリ上位30位の【覇王】である【第30覇王/サーティエス・オーバーロード】に選ばれたが五代目から七代目の共通【覇王】となる者は念願のトップ10入り、【第10覇王/テンス・オーバーロード】に選ばれるかも知れないと期待がかかっているのだ。
【第1覇王/ファースト・オーバーロード】から【第9覇王/ナインス・オーバーロード】の一桁【覇王/オーバーロード】は別格とされており、人間達には到達不可能とまで言われているが、唯一可能性があるのが、【第10覇王/テンス・オーバーロード】である。
だが、当然、現時点で【第10覇王/テンス・オーバーロード】となっている者が居て、この【覇王杯/オーバーロード・カップ】の勝者と【第10覇王/テンス・オーバーロード】の座を争う事になる。
そこで現【第10覇王/テンス・オーバーロード】としてはなるべく弱い【覇王】が誕生した方が自分に有利になるため、与し易い様なチームを応援する事にした。
ただそれだけの話なのである。
そう言う思惑があるのだが、【華刻嬢チーム】からすれば、憧れの存在から声をかけてもらったとして、力が湧き出てきたと言う事なのである。
応援の理由が【相手にしたら勝てそうだったから】と言う本音を知られてしまえば、【華刻嬢チーム】は激怒するだろうが、その思惑を知らない状態なら有頂天になっても仕方ない事と言える。
言ってみれば、【覇王】からお墨付きを貰ったと勘違いしてもおかしくない事だからである。
そう言う事情があるから、彼女達はどんな事をしてでも勝ち残りたいと考えていたのである。




