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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第2章 女子爵の息子

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2-34.扉の穴

 鉄製装備を脱いだ兵士が水中に潜り、そして。


「大きな穴が空いています! この鉄格子は、水中部分は完全に朽ち果てています!」


 浮かび上がって船の縁に手をかけながら報告した。


「そうか。あの女……何が管理者だ。扉のひとつ、壊れていても直さない。気づいてもいないのか」


 隊長の忌々しげな声。


確かに、水面より上にある鉄格子部分は錆びがひどい。同じように水中部分も大きく朽ちて脆くなっていれば、そこをサハギンがぶつかることで穴を開けて通行できるようにもなるか。

 昨夜、あの扉を動かした時に妙にスムーズに動いたのは、蝶番が新しかったからだけじゃない。水中部分が失われて、その分だけ水の抵抗がなかったからだ。


「ねえ。子爵は扉をこんなにしてるけど、鍵だけは新しくしてるわ。意図を感じない? 船の通行はできないけど、自分たちだけは通れるようにできるって、目的があると思うのよ」

「ああ。そのようだな。ちゃんと調査を……」

「うわぁっ!?」


 水中に潜って鉄格子の穴を確認した兵士が、急に悲鳴を上げた。ボートに戻ろうとしたところ、何かに引っ張られて再び水中に戻される。

 それと同時に、隊長ボート船も大きく揺れた。サハギンに下から突き上げられたみたいに。


「どうやら、これに引き寄せられたのは一体だけじゃなかったみたいね」


 ゾーラが布に包まれたガラス玉を見ながら呟く。


「みたいだね。みんな、警戒して。アンリはボートを動かして。地下水路の方に」

「ええ! このまま中に入るつもり?」

「鍵が無いからそれは難しいけど」


 入れるのなら入りたい。


 子爵の兵士が乗ったボートが大きく揺れたかと思うと、サハギンが二体まとめて取り付いて、兵士たちに手を伸ばしていた。

 一体は、兵士が槍で突き刺し絶命させた。しかしもう一体はその兵士の足を掴んだ。

 悲鳴が上がって、男はボートの上で崩れ落ちた。足の骨でも折られたのか。握っただけで。


 やっぱりあのサハギン、普通じゃない握力を持っている。


 その勢いのまま、サハギンはボートを転覆させた。兵士たちはなんとか溺れないように気をつけながら、サハギンから逃げようとした。

 兵士のひとりは勇敢にもサハギンに立ち向かおうとする。槍を掴んでバシバシと叩いて追い払おうとするものの、サハギンはその槍を掴んでやはり握力だけでへし折ってしまった。


 窮地に陥っている兵士を助けてやりたい気持ちはあるけど、こっちもそれどころじゃない。


「アンリ! ボートを動かし続けて! サハギンに捕捉されたくない」


 このボートはひときわ小さい。一体だけならともかく、複数体に襲われたら容易に転覆しかねない。

 一体であっても、下からの突き上げが当たる位置によってはひっくり返るだろうし。ボートの脇に当たるとかで。


「転覆を避けるには壁際に行くしかないわ。アンリちゃん、やって!」

「え、ええ! わかったわ!」


 ゾーラの指示に素直に従い、アンリは壁際にボートを動かした。ちょうど地下水路の入口のすぐ横だ。

 杖を振ると壁から闇の蔓が伸びて、ボートの縁に絡まっていく。直後にサハギンがボートに取り付いたけど、転覆することなく耐えた。


「攻撃はみんなに任せるわ! あたしは蔓の制御で精一杯だから!」


 蔓をそれなりに多く生やしている。そうじゃなければ、かなりのパワーがあるサハギンに耐えることができない。

 そのサハギンに剣を突き立てる。脳天を貫かれたサハギンはボートに取り付いたまま絶命。それを剥がそうとしている間に、別のサハギンが襲ってくる。


「ティナ、キア、手伝って!」

「はい! でもこっちも手一杯で! ぐぬぬー!」


 兵士の誰かが落としたのだろう。サハギンが片手に剣を持って襲ってきたのを、ティナが自分の剣でなんとか受け止めていた。筋力はサハギンの方が上だから苦戦してるらしく。


「おらっ! 死ね!」


 キアが、そんなサハギンに襲いかかった。しかも頭上から。


 水路の壁の僅かな出っ張りを引っかかりにして登って、飛び降りたのか。落下の勢いもあって、ナイフがサハギンの顔面に深々と刺さった。

 絶命したサハギンは水中に沈む。その上に乗っかる形になったキアも、当然水中にダイブした。


「おわー!? なんでだっ!? アタシ泳げないんだけけど!?」

「なにやってるんですかキアさん!? ほら掴まって!」

「なにってティナのこと助けただろうが! うわっ! なんか足に触った!」

「キアじっとしてて!」


 ボートの上からアンリが矢を構えて狙う。水中にいるサハギンがキアを狙っていたけれど、接近した途端に矢が刺さる。

 水の抵抗で弱まった矢は、サハギンに深くは刺さっていない。それでも怯ませるには十分で、その間にキアはなんとかボートに戻れた。


「うへー。死ぬかと思った! てか服ずぶ濡れだし」

「元から裸みたいな格好だから気にならないですよね!?」

「気になるからな! 裸じゃねえし! これが一番動きやすいんだよ!」

「それでも! もっと布地を増やしてください! ヨナ様の教育に悪いです!」

「なんだよ教育って!?」

「キアもティナも喧嘩しないで!」

「わかってます!」

「喧嘩じゃねえ! ああくそ! お返しだ!」


 頬の辺りに矢が刺さったサハギンが浮かんできた。そいつに向けてキアもティナも揃って武器を振り、致命傷を与えた。息は合ってるなあ。

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