第二話 よろしく
【 “界獣” 警報 “界獣” 警報 星法高等学校の付近にて “界獣” を確認。近隣住民の方は直ちに避難して下さい。繰り返します・・・】
遅くね? ブッ殺した後なんですけど・・・ってんな事思ってる場合じゃねぇ! 魔法少女達を助けに行かないと。
「何をしに行くつもりかな?」
「助けに行くんだよ」
「いや、このまま彼女達は放置した方が良い」
「ア? 何でだよ」
「君もそうだが、変身した後は、そう言う者として周りに認識される。いわゆる、認識阻害ってヤツだね」
漫画とかアニメでよくあるヤツね。
「でも、それがどうしたんだよ?」
「分からないのかい? 仮に君が彼女達の元に行き、助けている最中に変身が解けたら、君は彼女達の正体を知ることになる」
悪いが俺は、推しの正体を知ったとしても晒す様なことはしねぇ。
「警報が鳴ったと言う事はもうじき、警察やテレビが来るだろう? 君が魔法少女を助けた結果、変身が解け、テレビに映ったら? それに、今、ここで君が公に出るのは、僕が不味い。頼む、僕からのお願いだ。今は彼女達を放って置いて、ここを立ち去ろう」
・・・ん~? バカだから、良く分かんねぇけど、ん~俺からすれば魔法少女達は助けたい。でも、反ってそれが魔法少女達の邪魔になるかもしれない・・・てか、アレだな。な~んで俺は魔法少女達の心配をしてるんだ? 信じろよ、推してんなら。
「分かったよ、今はアンタに従う」
「助かるよ。では場所を変えよう」
そう言うと、目の前に黒い渦が出てくる
「俺はバカだが、馬鹿じゃねぇぞ。何でお前がソレを出せんだよ」
ソレは “界獣” が現れる時に出るヤツだろ。
「君もできるよ。ただし、行ったことのある場所だけだけど。行きたい場所を思い浮かべてご覧?」
行きたい場所? 誰にも分からなくて、且つ安全な場所。んでもって、俺が行ったことのある場所。あっ家だな。家なら、行けるんじゃ・・・ウオッ出てきた!
「ほら、できただろ?」
「疑ってごめん」
ちゃんと謝んないとな、気を悪くしたら嫌だし。
「疑う事は大切さ。何でもかんでも信じる人間より、信頼できる」
え~めっちゃ良いこと言うじゃん。スゲェ~俺今ちょ~う感動してる。
「さぁ行こうか」
そう言われて俺は、渦をくぐる様に入る。
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「スゲェ! 家の前だ! スゲェ!」
気付けば家の前に居る。ヤベェ! あまりの凄さに語彙力がヤベ~事になってる!
「んじゃ入って良いよ。歓迎会するぜ」
「まだ待ちたまえ。変身を解除してからだよ。君の姉が驚くだろう?」
認識阻害だっけ? 要は今の俺は、キョウじゃないつう事だろ? 全く知らないヤツが、いきなり家に入ってくんのは怖いもんな。
「解除したぜ? つうか、気になってるんだけどよ。良いか?」
「なんだい?」
「一発目に変身した時にさ、星掴んだじゃん? アレ以来星がないんだけど。なんなら、無くても変身できたんだけど」
体育館の屋根に吹っ飛ばされた時は無視して変身したけど。頭冷えたら、超絶不思議に思えて来たんだよな。
「ああ、それはね。君の眼に入ったからさ」
は?
「は? どう言うこと?」
「分かりやすく言うなら、君の体内に取り込まれた。もっと分かりやすく言うなら、いつでも気軽に変身できるって事さ。わざわざ星を掴む何て面倒だろ?」
それは、そうだけど。なんつ~か、駄目な気がする。変身って超大事なモンじゃん? カッコカワイイモンじゃん! ソレをさぁ! 省くとか何かヒドくない! 何か!
「・・・まぁ取り敢えず、分かった。あっもう一個良い?」
「答えれる物なら答えるよ」
「あ~その、アンタってさぁ他の人に見えてんの?」
分かってるよ? 分かってるけど一応ね?
「基本は僕のことは認識できないね」
だよな~! 分かってたけど、だよな~! つまり俺はずっと、周りから見たら、一人言を言い続けるヤバいヤツって事だよな!
「僕の方から認識させることもできるけど、そっちの方が良いかい?」
「アンタみたいな宙に浮いとる生物怖いだろ」
知らん内に浮いとったし。まぁでも、体育館の屋根まで付いて来てたもんな。
「もう質問は終わりかな?」
「ん~もうないかな・・・あっ! 俺の荷物どうなった? スマホ無くなったら困るんだけど!」
流石に潰されたか? だとしたら姉ちゃんに新しいの買って貰わなくちゃ。
「回収しておいたよ」
「ふぇ? マジ?」
「ほら、どうぞ」
あっガチじゃん。しかも、カバンまで。
「悪いね、遅くなって」
「全然良いんだけど。てか、スマホ壊れてなかったの?」
アレで無傷とは、いかないと思うんだけどな。
「魔法の力で直したのさ」
「そんなこともできるの?」
「魔法だからね」
なるほど、とはいかないけど、理解するしかないか。直す、ねぇ・・・あ~アレか。変身した時の再生を応用した感じか?
「・・・考えているところ悪いが、そろそろ入らないかい? 近所の人間に冷たい目で視られるよ」
「それは、やだ」
「なら、入ろうか」
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「ただいま~」
あっそう言えば、学校ってどうなったんだ? 生徒は? 先生は? そもそも、今帰ってきたら姉ちゃんが不思議に思うんじゃ・・・
「キョウ? キョウ、キョウ、キョウ、キョウ~!」
俺の名前を呼ぶ声と共にドタドタと廊下を走る音が、玄関に向け近付いてくる。
「無事だったんだね! 良かった」
そう言うと共に、俺に抱き着いてくる。
「泣いてんじゃん」
「そりゃ泣くよ」
何でか知らないけど、ほんの少しだけ、罪悪感が湧いた気がする。
「姉ちゃん、そろそろ苦しいから離れてくんね? それから、高校の状況を教えてくんね?」
時間も経ってるし、ある程度の状況は纏まってるはず、多分。
「・・・・・・生徒の半分以上は搬送。先生も同じく。そっそれから、死者もでっ出た、出た」
あっコレ、不味いな。パニくるな。
「姉ちゃん、俺は大丈夫だって。現に今目の前に居るだろ? だから、パニくんなって。あ~その時さ、偶々先生に呼ばれ~ててさ? 渡り廊下に居たんだよね。だから、そう、無傷! 無傷なんだよな! なっ! だから超大丈夫!」
俺ながら、凄いと思うよ。慣れてるとは言え、こんなにも簡単に嘘が言えるだなんて。
「・・・落ち着いた? 何か飲む? 取って来ようか?」
ポットにお茶、いや水にしとくか?
「だっだぁ、大丈夫。」
「ん。なら、良かった。」
よし、落ち着いたな。コレなら大丈夫。
「俺もさ、ちょっと落ち着きたいんだよね? だから少しの間、一人にさせてくんね? 俺の部屋に居るから、入って来ないでよ」
・・・返事はなしと。
「ただいま、姉ちゃん」
「・・・お帰り、キョウ」
「何かあったら、LAINして。じゃ」
姉ちゃんがリビングに戻って行くのを確認し、俺は俺の部屋に入る。
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「これで、しばらくは大丈夫っと。もう話して良いよ。つか、気ィ使わせてごめん」
「良いよ。僕も貴重な体験ができた」
え~なにそれ。
「いつからなんだい? アレは」
「ん~家族が “界獣” に殺された日から。何かと、ああなるんだよな。俺が転けたとかでもなっちまうの」
まっ暴れないだけマシかな? ニュースとかじゃ暴れる人も居るみたいだし。
「大変だね」
「大変つうか、面倒だな。またかよ、って感じ」
慣れたし。
「・・・・・・何かないの? ワザワザ場所を変えたんだから。何かあるんだろ?」
見つからないため、以外にもありそうだし。
「僕との “契約” 上のルールについて教えたいんだ」
ルールとかあるんだ。
「一つだけだから、覚えやすいよ」
「バカにも優しいんだな」
「ああ、優しいし簡単だ」
おお、ソイツぁ~良かった。厳しいのは嫌いなんだ。
「 “正体がバレない事” 」
え? それだけ?
「それだけ?」
「うん。それだけだよ」
え~ナニソレ超簡単じゃん! あっでも・・・
「仮に、正体がバレたらどうな・・・」
ピコン、とスマホから音が鳴る。姉ちゃんからだった。
「メッセージかい? 見なよ?」
んじゃ見るか。え~と、なになに・・・
「え?」
俺は急いでニュースを確認する。魔法少女に関するニュースを。
【 ━━━速報━━━ 魔法少女三名が意識不明の重体に陥る】
唖然。ニュースには、潰れた高校と “界獣” の死骸の写真が載っていた。さっきよりも、確かに、そして強く、罪悪感が湧いた。持っていたスマホを落とす。ソレを素早くキツネが回収する。
「フム。なるほど。こうなったか」
「・・・なっなぁ。これって、俺のせいかな? 俺が助けなかったからかな?」
「安心しなよ。君が助けていたとしても変わらないさ」
本当に? ほんとに? でっでも・・・
「そう、だね。君が罪悪感を感じていると言うのなら、一つだけ君にはやらなくちゃいけないことがある。ソレをして晴らすと良い」
今は、今はこの気持ちを晴らしたい。
「何をすれば良い?」
「魔法少年として “界獣” と戦い続けるんだ。魔法少女の代わりとして」
代わり? 俺が? 代わりになれるのか。
「無理なら他を当たるよ。そうだね、君の姉に頼むよ。彼女は、魔法少年には向いていないが、君と同じDNAを持っているからね。変身はできるはずだ」
え? 姉ちゃんが?
「それは、イヤだ」
(ねえちゃんが、なるくらいなら、オレがなってやる。このざはわたしたくない)
「なら、戦うかい?」
「戦うに決まってる」
「なら、改めてよろしく」
「うん。よろしく・・・ところでアンタの名前って何?」
まだ聞いてなかった。
「 《モーヴェリド》 だ。言いにくかったら 《モーヴェ》 と言ってくれ」
あ~なら、モーヴェだな。
「俺の名前は・・・」
「君の名前は興味ないや」
あっそう、ふ~ん。そうですか。まぁ兎に角・・・
「よろしくモーヴェ」
「ああ、よろしく」
第
二
話
よ
ろ
し
く
今後パクリ
【推しの子】