第一話 魔法少年現る
「このまま無様にも “界獣” に叩き殺されるか、僕と “契約” をして “魔法少女” ・・・いや、“魔法少年” になって、生きるか。どっちにする?」
突如目の前に現れた、一匹の黒いキツネ? が俺に聞いてくる。
「ほら、早くしないと死んでしまうよ?」
「ああ、良いぜ。なってやるよ、魔法少年」
「 “契約” 成立だ」
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「姉ちゃん、行ってきます」
「んにゃあ、行ってらっしゃい! 《キョウ》 」
唯一の家族である、姉ちゃんに挨拶をして、俺は高校に向け、歩き出す。
「 “界獣” 被害に遭った子ども達への、援助募金の協力をよろしくお願いします!」
『お願いします!』
家から少し歩くと、賑わいの街にでる。そして、毎日のように募金活動を行っている人たちが居る。
「キョウ君! おはよう!」
「おはようございます」
と言って軽く会釈だけして、学校に向けて歩く。
「 “界獣” 被害に遭った子ども達への、援助募金の協力をよろしくお願いします!」
『お願いします!』
この世界には “界獣” と呼ばれる化物がいる。 “界獣” は空に現れる黒い渦の様な物から現れ、街を破壊し、人間を殺す。さっきの、募金活動はその、被害に遭った人の為の物だ。そして、俺も六年前 “界獣” の被害に遭った人間だ。
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十年前、俺は家族と一緒にキャンプに行った。
偶々だ、そこに黒い渦と共に “界獣” が現れた。
そして、本当に偶然、俺達の目の前に着地した。
俺と姉ちゃんを庇って両親は死んだ。
その後、すぐに “界獣” から世界を護るために戦う “魔法少女” が来た。
一瞬で “界獣” は殺され、俺と姉ちゃんは助かった。
その後は、親戚の人が引き取るだの、引き取らないだので揉めていたが、姉ちゃんが、めんどくさがって、俺達は二人で生活する事になった。
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これが六年前に起きた事。つっても、ほとんど覚えてねぇけど。だって当時、小四とかそこらだぜ? 忘れるだろ。まぁ、だからかな “界獣” の事なんか恨んでもないし、復讐とか一度も考えた事がない。それにもう少し早く “魔法少女” が来てたら、何て事も考える事もない。むしろ、あの時助けて貰ったことで、俺の最推しにまでなってる・・・つーか、この世界じゃ良く在ることだし、言っちゃえば、普通なんだよな。悲しくも何ともならない。まっ姉ちゃんの前では、絶対に言わないけど。だって、いまだに泣いてんだもん。うちの家は壁が薄いから、結構聞こえるんだよな。
「はい、じゃあ、今日はここまで。ノート書いてから昼休みに入れよ」
なぁんて、こと考えてると、いつの間にか昼休みになっていた。お腹も空いたし、姉ちゃんの手作り弁当をスマホでYouTubeでも見ながら食べよ。
「ヘッ」
おっと思わず声に出して笑っちゃた。こう言う時、周りが聞いてないだとか、気にして恥ずかしくなるんだよな。まぁどうやら、俺の声は普段からバカデカイ教室の声で書き消されたみたいだけど・・・にしても、今日は一段と教室が、いや、学校全体が騒がしい・・・・・・
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大きな音と共に学校中に悲鳴が掻き鳴らさせる。
━━━━この世界じゃ良く在ること━━━━
━━━━言っちゃえば、普通のこと━━━━
「マジ?」
今回は思わずではなく、ハッキリと言ってしまった。
「何で、」
現実をまだ、受け止められない。
「死ねよ」
教室の窓から見える。反対側の校舎は跡形もなく、押し潰されている。空には黒い渦。現れたのだ “界獣” が。
こちらに向け、右腕を飛ばす。校舎がガラガラと音を放ちながら、壊れる。止まることの無い右腕。気付けば俺は、空に居た。
外に停めてある先生達の車、三台程に渡り、俺の体がブチ当たる
「ガァ~フゥ~ハァ、アア」
偶々、偶然、落下地点に車があった。そのお陰で、何とか即死は免れた。しかし、体が無理に捻られている。捻られた所から、肉が裂け、血が出ている。口を何とかパクパクさせ、必死に呼吸をする。生きたいと、必死に足掻く。それでも、心のどこかで
(なあ、もういいだろ? オレ。 あきらめるほうがラクだぜ?)
・・・それもそうだな。諦めるか? 夢は在るけど、オレじゃ叶えられない事は知っている。成りたい物もオレには在る。手に入れていない物がオレには残ってる。けど、オレじゃ無理な事も知ってる。
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「このまま無様にも “界獣” に叩き殺されるか、僕と “契約” をして “魔法少女” ・・・いや、“魔法少年” になって、生きるか。どっちにする?」
突如目の前に現れた、一匹の黒いキツネ? が俺に聞いてくる。
「ほら、早くしないと死んでしまうよ?」
“魔法少女” 俺の最推しにして、あこがれ。俺がいつも夢や妄想で、成っている物。そして、俺がまだ手に入れていない、主人公の座。
それができるなら、諦めねぇ!
「ああ、良いぜ。なってやるよ、魔法少年!」
「 “契約” 成立だ」
そう言うと、目の前に星が現れる。
「さぁ、それを持って願うんだ。変身したいと」
ブチブチと音を放ちつつも、右腕を伸ばす。指が変な方向に向いているせいか、中々、持つことができない。それでも、必死に伸ばす。
「アッア~ウラァ! 取ったぞ」
「後は願うだけだね」
願う、簡単な事だろ、俺。いつも、やってんだろ!
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光に包まれる。そして、気付けば・・・
「なんじゃこりゃ!?」
服が変わっていた。
「分かりやすいだろう?」
分かりやすいって、まぁ良いことか! つか、体が治ってる。
「おや、気付いたね。変身をすると体が再生するんだ。勿論、解除しても体が再生する」
・・・は~ん。なるほどなぁ。つまり、繰り返せば実質無傷か。
「注意して欲しいのは、体力とかメンタルは治らないし、痛みが無い訳じゃない。受けた分の痛みはどうしようもないからね」
「防御力に振りまくってる感じだな。パワーは?」
「勿の論、上がっているよ “界獣” と殴りあえると思って欲しい。それから、パワーはイメージが大事だよ」
ん? まぁ、取り敢えず、それさえ分かれば、やることは簡単だな。
「嬲り殺してやるよ」
こちとら、毎日妄想してんだぜ? 実践するだけなら簡単だろ。
「やってやるよ!」
俺はいきよい良く、飛び出し “界獣” に向け殴りに行く。が・・・
「ウガッ」
逆に殴り返され、体育館の屋根へと吹っ飛ばされる。
「クソ痛てぇ、けど、解除したら再生。んで、また変身したら、戦える。要は俺が飽きるまで! 何ッ度でも、挑戦できるっつう事ダロォ! てか、ヤベーな! アドラレナイン? アドレラリン? 何だっけ、まぁ良いか! その内思い出すだろ! 今はテメ~だ!」
あ~でも殴る蹴るじゃ殺せねぇよな~
「盛り上がってるとこ悪いけど、良いかい?」
「なぁ~に?」
にしても、何で追撃してこねぇんだ? 何て考えてる時だ。
「そこまでだよ! “界獣” 」
「これはまた、大暴れですね」
「だったら、そっこ~終わらせないとな!」
・・・この声は、マジか。生で見れるのは二度目! “魔法少女” だ~! しかも、フルパだ~!
「行くよ、二人共!」
『ええ┃おう!』
うわ~スゲェ~! 頑張れ~!
「不味いね」
「あ? 何が?」
「彼女たち、負けるね」
はぁ~? 何言ってんだ? んな訳・・・
「え?」
アレ、さっきまで居たのに、どこ行った?
「うん。予想通り、ビームを撃ったね。」
は? ビーム? そんなの聞いた事ねぇよ。
「さて、逃げようか “魔法少女” が負けた相手に、君が勝てるとは思えない。行くよ」
・・・・・・・・・・・・
「オイ、待てよ。さっき何か言いかけてたよな? それ、教えろよ」
「私情を挟むなよ。冷静に・・・」
「るっせぇ! 推しが負けるとこなんて、ましてやこのままじゃ殺されるんだろ? んなの、嫌だよ」
多分、ここまで感情的になったのは、今日が初めてだ。
「良いね。それでこそ “魔法少年” だ。教えてあげるよ。武器の出し方を」
そうか、殴る蹴るじゃ殺せねぇ、だから武器を使うのか。
「強く力を欲っするんだ。そしたら出てく・・・」
「出てきたって、ハンマーかよ」
剣とか、想像してたのに違った。つか、リーチ変わんねぇじゃん。いや待てよ、持ち手とかを。うん、できるな。
「さっきはごめん。んでもって、ありがと、教えてくれて」
これなら、アイツを殺せる。
「オイ! テメ~! もっかいビーム出せや!」
乗るか? んな挑発に
「来るよ」
よし来た、足に力を込めて、パワーはイメージ。鳥の様に飛ぶ。そんでもって、口の中に飛び込む。
「ウオッリャァ!」
ハンマーを大きくして “界獣” の腹ん中から突き破る。
「思い出した! アドレナリンだァァァァ!!!」
第
一
話
魔
法
少
年
現
る
パクッた作品
「魔法少女にあこがれて」
「対世界用魔法少女つばめ」
→魔法少女要素
「チェンソーマン」
→ハンマー&展開
「ぼっち・ざ・ろっく」
→名前
「呪術廻戦」
→展開
「魔法使いプリキュア」
→妖精的存在