リアル
なんか今すぐゲームをするのはやめておいた方がよさそう。
それより、一つ気になったことがある。
それは、実は私可愛いんじゃないの?ということ。
だってゲーム内のクララは、私のリアルの顔と変わらないんだよ?
背とか胸とかは違っても、顔は同じ。
つまり私は、リアルでも天使じゃないのかっていうこと。
気になった私は、クララと同じ感じのメイクをし、普段は着ないお洒落な服を着て、近くの大型商業施設に行くことにした。普段は眼鏡に前髪で隠れている目も、コンタクトにして前髪も分けておいた。
私が本当に天使なら、ナンパぐらいされると思うんだっ!
現実見ました。
すみません、調子乗りました。
いや、視線は感じるんだよ?
でも誰からも話しかけられない!
これってつまり、
『あいつブスのくせにメイクして、似合わない服着てやがるよ。』
っていう視線って事でしょ!
多分、クララにはシレーヌの卵の効果があるんだよ。
きっと、声だけじゃなくて容姿にも魅了効果があるんだよ、間違いない!
私、もう帰る!
「あっ。」
「…えっ。」
帰ろうと思って出口に向かったら、ちょうど正面からクラスの同級生の女子グループが歩いてきた。
ちょ、その『えっ』って反応やめてよ!そんなに私ブサイクですか!?
「あっ、えっと…こんにちは。」
私は今すぐ消えたい気持ちに苛まれながらも、一応挨拶した。
無視したら感じ悪いもんね。
「こ、こんにちは。」
『ねぇ、こんな美人知ってる?』
『いや、知らないよ!』
『私も知らないよ?』
『じゃあなんで話しかけてきたの?』
『わかんない。』
なんか、グループの人達がこそこそ話している。
え、めっちゃ怖い。
「さ、さようなら!」
私はそう言って、さっさと家に帰ることにした。
もうしらね!一生前髪で顔を隠しておいてやる!
私は家に着いてすぐにゲームにログインした。
きっと、私の世界はこっちなんだ!
現実の私は可愛いわけないんだ!