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世界とはシャボン玉。かつて始まりの神々はそれに“界球器”という名を与えた。文字通り世界を収める球形の器という意味である。
その器に近寄って覗き込めば、内部ではさらに小さな無数の泡が増殖を繰り返していることがわかる。界球器という“基軸となる歴史”から可能性によって分岐した異なる歴史の並行世界群。
“それ”は界球器の表面にそっと触れると、内部に自らの一部を送り込んだ。
透明な器の中に侵入した“断片”は銀色に輝く何かを大量に吐き出し、瞬く間にそれで器の中を満たしてしまった。そしてその銀の海を魚のように泳ぎ始める。
小さな泡達は次々に消えていった。侵入したものが直接攻撃して破壊した場合もあるが、大半は放出された銀色の光の“毒”に耐え切れず勝手に潰えた。
簡単に消えてしまうようなものに用は無い。これは選別作業。
“それ”は探していた。いくつもの界球器、いくつもの並行世界を破壊しながら長い時間、ただひたすらに探し続けた。
やがて兆しが現れる。
青い光が銀の海を貫いた。
“それ”は驚き、界球器の外から目を凝らす。内部へ侵入させた“断片”を素早く動かし、銀色の“毒”を切り裂いた閃光の発生源へ近付かせる。
そして、ついに辿り着いた瞬間、呟いた。
『見ぃつけた』
“それ”は見つけ出した。やっと探り当てた。だから、ここから始まり、ここで何もかも終わらせる。
自分達はそのために生み出された。
さあ、終わりの始まりの時だ。
全ての界球器に、終焉をもたらそう。




