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13 反攻作戦2 ユグドラシル城塞

少し遅れました。すみません。

なお、今回登場する部隊は臨時編成なので、その点ご承知おきを。

 ディーゼルエンジンの唸りとともに戦車部隊が進軍する。ユグドラシル攻略部隊のうち連隊本部直掩および大隊本部の2個戦車小隊および軽装甲機動車搭乗の本部付け普通科分隊、2個迫撃砲小隊を除いた戦車48両と装甲戦闘車48両が、特科隊に代わって敵への打撃を与えるのだ。


『HQより全車、“世界樹をへし折るぞ”!』


 連隊本部にいる連隊長より突入開始の暗号が叫ばれ、戦車と装甲戦闘車が猛然と城壁へと殺到した。機銃掃射で城門の敵を排除し、無限軌道で草原を踏みしめて。

 外敵を守るべき城壁は、度重なる砲撃ですでに半壊していた。さらに、攻撃準備射撃が行われ敵はさらなる損害を被る。


「架橋車両を守れ!支援射撃要請!」


 10式戦車の主砲を城門上の敵兵の群れに合わせた中隊長は、無線機にがなりたてる。堀は水堀で、木製の橋は耐えきれるはずがない。しかし、架橋戦車を用いて橋をかけてしまえばどうということはないのだ。


 たった2両しかセルムブルクに運び込まれていない91式戦車橋ーーーー俗にいう架橋戦車ーーーーが前に出て、架橋作業を開始した。


 同時に、後方で待機していた特科隊の155㎜自走砲の群れが咆哮。爆炎で空中に富士山を描いてのける陸自特科隊の技術でもって実施された曳火(エアバースト)射撃は、架橋戦車に攻撃をしようとしていた城壁上の敵を一掃した。


『架橋終了、進撃よーし!』


 約5分で架橋戦車による架橋は終了し、架橋戦車は戦車橋を残して後方へ下がった。橋が出来上がったら、次は進撃路の啓開である。大勢で待ち受けている中に突っ込むほど馬鹿ではない。いくら敵が剣や弓を装備した中世の軍隊とはいえ。


『第66戦車大隊より迫撃砲小隊、攻撃準備射撃を要請!』


『迫撃砲小隊より第66戦車大隊、攻撃準備射撃了解』


『第65普通科大隊より第66戦車大隊、突入準備よろし?』


『第66戦車大隊、進撃準備は万端だ!』


 無線機越しにがなり声を聞きつつ、車長でもある中隊長はキューポラから顔を出した。自衛隊では“キャリバー”と呼ばれる12.7㎜重機関銃の弾薬ボックスを確認し、照準器越しに城壁に群がる敵の歩兵を捉える。

 距離は800メートルほどしかない。


『だんちゃーく、今!』


 その時、城壁の崩壊部に集結していた帝国兵の真っ只中に81㎜迫撃砲弾が着弾した。土煙が舞い上がり、手榴弾なんかとは比べ物にならない数の屍が積み重なる。


 さらに、弾着、弾着、弾着。初弾から効力射で放たれた迫撃砲弾たちは、遠慮容赦なく歩兵の最大火力を叩きつけた。


『射撃やめ、戦車部隊は突入ポイントより進撃開始!』


「了解、突入開始」


 無線機に吹き込み、がっしりと12.7㎜重機関銃の銃把を掴んだ。キャタピラが大地を踏みしめ、44tの巨体が猛然と疾駆する。

 しかし、帝国兵も負けてばかりではない。


 橋に差し掛かったとき、それらは現れた。


「「「「「ウォォォォォ!!!!」」」」」


「くそったれ、騎馬隊か!」


 槍を装備した軽騎兵が2000ほど、地を埋め尽くさんばかりに突撃してきたのだ。橋を使って逆に渡ろうという魂胆だろう。小銃ならば捌き切れない数でもある。

 ただし、こちらにも大口径機関砲を装備した装甲戦闘車がいるのだが。


『撃ち方始め!』


 戦車中隊に続いて突入するべく待機していた89式装甲戦闘車たち、その鼻先に搭載された35㎜KDE機関砲が咆哮を上げた。戦車に対してはまるで通用しない貧弱な砲だが、歩兵や軽装甲目標に対しては絶大な威力を誇る代物である。

 それが、計8門。

 小銃など比べ物にならない威力の機関砲が、毎分100発の連射速度で小気味よく連射された。


 それらは中隊長車の脇を駆けて、敵の真っ只中へ。時限信管により空中炸裂した35㎜弾の破片は、騎兵の突撃を止めるに十分だった。


「よし、進路クリア!いくぞ!」


 未だに敵兵が無力化されたわけではないが、部隊として混乱状態に陥っているならば好機である。

 中隊長車に続き戦車3両が橋を渡り、城塞へと足を踏み入れた。威圧的な120㎜砲を振りかざしつつ、橋頭堡を確保。


 続いて装甲戦闘車4両が突入し、隊員を展開させた。彼らは生存者がいるならば救助しつつ、付近の制圧を行う。すぐに銃撃音が聞こえてきたところ、敵兵がいたようだが、それもすぐに静まった。


 続々と投入される戦力が、この砦を確実に敗北へと追いやっていた。




 ◇




「ーーーー〈業え……」


 火属性火炎系統上級魔術〈業炎〉を詠唱しようとした魔術師が、頭部を撃ち抜かれて沈黙した。撃ち抜いた主は、見張り塔に64式狙撃銃を携え陣取った狙撃分隊である。


「ターゲットクリア」


「次、炎上中の兵舎前に魔術師1」


「了解」


 観測手の指示に従い、照準眼鏡越しにローブを纏った魔術師を捉えた。スッ、と息を吐き、吸って止める。


 4.2Kgに調整された引き金を引いた。


 ダンッ、という89式小銃よりも大きい銃声を置き去りに、銃口から躍り出る7.62㎜銃弾。


 宙を裂いて飛翔した銃弾は、魔術師の左肩へと吸い込まれた。唐突に生じた左肩を砕かれた痛みに倒れ伏す魔術師は、しかし死んではいなかった。


「目標失敗(フェイル)


 観測手が小さく告げるが、狙撃手はすでに引き金を引いていた。ストライカー式の撃鉄が撃針を突き、雷管を爆ぜさせる。その衝撃で発射薬が誘爆、発射ガスが弾頭の尾部を押し出した。


 ドン、という銃声と花びらのように咲くマズルフラッシュを置き去りに、2発目の銃弾が空を裂いた。


 ガスチューブから導かれた発射ガスが遊底を作動させ、空薬莢を弾き出し次弾を咥え込んだ時には、銃弾は敵に吸い込まれていた。

 地に伏した、頭に。


「目標クリア」


 肩を砕かれつつも残った右腕で自爆覚悟の大魔術を放とうとしていた魔術師は、あっけなく死んだ。


「次、普通科とドンパチしている防御陣地に陣取る弓兵隊隊長」


「ーーーー了解」




 担当する戦域にいる敵に、容赦なく鉛玉を送り込む狙撃手。遠距離、しかも視界外からの攻撃は恐怖心を呼び起こさせる。まして、連日連夜の砲撃を食らって精神的に不安定になっていた帝国兵には抜群の攻撃力を持っていた。





『制圧完了、次の戦域へ進むぞ』


『大隊HQより651中隊3小隊、3個小銃分隊は城壁上を迂回して側面より攻撃せよ。機関銃分隊、尖塔に陣取れ。狙撃分隊は第3城門上の敵を一掃せよ』


『了解』


 昼下がり、のどかな空と裏腹に物々しい小銃を構えた小銃手たちが城壁上を駆け、尖塔に陣取った機関銃分隊が3丁ものMINIMI機関銃から5.56㎜の驟雨を浴びせる。狙撃分隊が放つ7.62㎜弾は正確に指揮官クラスを無力化していった。

 小隊管理分隊と小銃分隊3つ、機関銃分隊1つと狙撃分隊1つからなる8個臨時編成小隊、2個中隊相当の戦力は確実に城塞の制圧を行っていた。即成の編成にしては上出来すぎるスピードである。

 無論、被害は皆無で制圧できたという美味い話ではないのだが。


『くそったれ、歩兵くるぞ!』


「後退しろ、俺たち(狙撃分隊)が食い止める!」


『662中隊3小隊より651中隊3小隊、救援に向かう!50秒持ちこたえてくれ!』


 城塞の内部に設置された外郭と外郭を隔てる城門上で狙撃をしていた彼らが見たものは、数百に上ろうかという剣を引き抜いて驀進する歩兵の群れと、その100メートル程先を小銃を抱えて大通りを疾走する20人程の人影だった。この地区は外郭の一部であり、沢山の倉庫があるため制圧を行なっていたのだが、どうやら敵守備隊の襲撃を受けたらしい。


「撃ち方始め!」


 分隊長の号令で、狙撃分隊に配属された2人の小銃手が89式小銃を連射し始めた。その軽い銃声の合間に聞こえる大きな銃声は、狙撃手と観測手がそれぞれ手にした64式狙撃銃で指揮官クラスを狙撃している証拠である。


 しかし、降り注ぐ弾雨に、帝国兵は怯まなかった。所詮、数条の火線では足りないのだ。


『あと35秒だ!』


「各小銃分隊、短連射!」


 小隊長の号令で、城門まで到達した小銃分隊が立射姿勢で小銃弾を浴びせる。分隊支援火器手が腰だめに構えたMINIMI機関銃を全力で連射し、尖塔に篭った機関銃分隊が別方向から弾雨を降り注がせる。

 完全に敵をキルゾーンに捉えていたが、やはり足りなかった。


 物量で押された彼らは距離を詰められ、瞬く間に銃剣格闘と剣術のぶつかり合いとなった。渾身の斬撃を肩に喰らい骨折する隊員、銃床で殴打され気絶する帝国兵、無防備な首を剣で突かれ即死する隊員、頭に銃剣を突き刺され絶命する帝国兵。


 狙撃分隊も無縁とは言えなかった。


「うぉぉぉぉ!」


「……ッ!」


 梯子で城門上に登ってきた十人隊長が剣を抜いて切りかかってくるのを、狙撃手が拳銃のダブルタップ射撃で黙らせる。決闘の作法など知ったことではない。


「騙し討ち上等だ、かかって来いや!」


 やけっぱちの喚声を上げた小銃手が、続いて登ってくる帝国兵に小銃弾を撃ち込んだ。しかし、次から次へと登ってくる以上楽ではない。しかも、弓兵がいるのか矢が飛来してきた。一本は観測手の胸に直撃する。


「がっ!」


 ボディーアーマーのお陰で肋骨2本骨折で済んだ観測手は、お返しの7.62㎜弾を弓兵の群れに撃ち込んだ。


『小隊、死者4名!』


「……ちっ、手榴弾入れるぞ!」


「う、わ!?」


 小銃手2名と狙撃手が手榴弾を敵陣に投げ落とした直後、狙撃分隊の分隊長が梯子を上ってきた兵に弾倉交換中の銃を取られた。瞬時に拳銃を抜き、敵の頭部を破壊する。


『まずい、尖塔に敵が取り付いた!機関銃分隊は防衛戦に入る!』


「あとで助けに行く、持ちこたえてくれ!」


 尖塔の機関銃分隊に、敵が取り付いた。尖塔の螺旋階段を上ろうとしてくる敵相手に機銃掃射を行なっているようだが、いつまで持つかはわからない。


『小隊長KIA!……もう持たない!狙撃分隊、下がってくれ!』


 見れば、3個小銃分隊は城門からさらに押し込まれていた。

 小隊長は死に、限界である。全滅回避のために城壁上を辿って自分たちだけでも移動するべきかと分隊長が考えた、その刹那。


 敵兵の真っ只中で、榴弾が炸裂した。


 帝国兵がそれに気を取られた直後、がなり声が轟いた。


『左右に退避しろ!』


 小銃分隊の隊員たちが辛くも城門の左右に移動した直後、鋼をぶち抜くかのような激烈な砲声が轟いた。歩兵の群れに水平に打ち込まれた多目的榴弾が炸裂、高速の爆風と破片を撒き散らし殺傷する。

 発射の爆煙の向こうから姿を現したのは、ドーザーを装備した10式戦車4両。


『済まない、遅れた!借りは10倍返しにしてやるから許してくれ!』


 小隊長と思しき人物のがなり声が再び聞こえてくる。それと同時に、猛然と敵陣へ突っ込む4両の戦車。帝国兵を轢き殺すというおおよそ正気ではない攻撃方法で蹂躙して行った。

 魔物使いがいたのか巨人が姿を現してきたが、


『怪物殺しは自衛隊の伝統なんだよ!』


『弾種徹甲、小隊集中射!』


『てぇっ!』


 数発の装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)に全身を穿たれ、あっけなく絶命した。

 4丁の同軸機銃が咆哮し、砲塔に剣をつきたてようとした敵を薙ぎ払う。戦車の装甲は堅牢であるため、剣や弓による破壊は不可能だ。


 魔術師もいたが、狙撃分隊の手によって迅速に排除された。




 ◇




 城塞の守備隊長と、駐屯する攻撃部隊の指揮官の下に伝令の兵が駆け込んできた。


「報告します!敵軍は城内の西外郭、南外郭、南内郭を制圧しさらに進撃中!」


「くっ……守備隊長、残存戦力による奪還は!?」


「無理だ。残り1万もいないが、敵方の魔物にはこちらの攻撃が通用しない。しかも、歩兵もその魔物の中に入って移動するという……『魔術ですら貫通できるか怪しい硬さ』らしいしな」


 ユグドラシル城塞には、守備隊込みで当初3万の帝国兵がいた。それが今は9000しかいない。そのうえ、こちらの攻撃が通用しない敵もいることが判明したのだ。

 ーーーー奪還は不可能、敗北が確定。


 その事実が、彼らの胸に冷たく突きつけられた。


 冷たい水のように忍び寄ってくる絶望。逃げ場はないーーーー。


 その時、守備隊長がポツリと言った。


「残存戦力を率いて東門から脱出だ。幸い、包囲はされていない」


「……しかし、誰がしんがりになる?全員の脱出はもう不可能だ」


「……俺がやろう」


 守備隊長は、決死の覚悟でそう言った。




 ◇




 帝国軍エルヴィス侵攻部隊残存の約9000が撤退を開始した。特科の砲撃で焼き払うことも具申されたが、連隊長は「俺たちの役割は殲滅じゃねえ」と一蹴。

 帝国領へと撤退する帝国兵を追うことはせず、ユグドラシル城塞の制圧を第1目標とした。


「内郭は全て制圧、外郭は東側だけです!これより中央構造物を制圧します!」


「うむ、やってくれ」


「了解、652中隊3小隊、4小隊突入開始」


 無線機に吹き込まれたその指示は、瞬時に各部隊に伝達された。

 突入を行う2個小隊が通過できるよう、戦車が砲撃で門を破壊、ついでに盛んに弓を射かけていた射窓の並んだ廊下にも砲撃を撃ち込んだ。


 城内が混乱に陥った瞬間に、2個普通科小隊が突入。



「きたぞぉぉぉ!槍兵隊、構え!」


 しかし、入ってすぐの大広間に守備隊の重装歩兵が半円状に布陣、槍衾を形成していた。射撃で殲滅することもできるが、


『射線より退避せよ、10カウントで掃射する』


 自衛隊側もこうなることを予想して守備隊門のすぐそばに装甲戦闘車を2両、待機させていた。


『2、1、射撃開始』


 騎兵相手に無類の強さを誇る槍衾に、遠慮容赦のない35㎜砲弾と12.7㎜銃弾の連射を叩き込んだ。


 計4丁の機銃が生み出す弾幕の前に、重装歩兵の槍衾は無力である。

 装甲戦闘車の砲塔が旋回し、高性能な自動装填装置をフル稼働させて榴弾をばら撒いた。猛烈な速度で連射される12.7㎜銃弾とともに、空中炸裂した榴弾は遠慮容赦のない殺戮を行う。


 爆煙が晴れた時には、無事な兵はいなかった。


「クリア!」






 制圧を行う隊員たちが走り、扉を開けて回る。

 一つ一つの部屋をしらみつぶしに捜索、制圧するのだ。無論、抵抗する敵がいれば射殺する。


『西エリアクリア、東エリアはどうか?』


「東エリアクリア。1階オールクリアだ」


『よし、後続の1小隊、2小隊に捕虜を任せて2階へ上がれ』


 無線でやりとりし、隊員たちは階段を駆け上がった。

 帝国兵のこもるバリケードに小銃擲弾を撃ち込み、扉を蹴破り室内の敵をホールドアップさせる。廊下に待ち構える弓兵隊には、射撃でもって対応した。


『2階制圧』


「3階は最上階だ。心してかかれ……行くぞ」


「了解」


 階段を駆け上がり、廊下をクリアリングし、部屋を一つ一つ制圧していく。それは1階、2階と変わらない作業だった。

 ただ1つの部屋を除いて。




 それは、城主の部屋だった。扉の前に抜剣した守備隊が約10名おり、虎の子であろう魔術師が2名もいた。


 見て取った分隊長は、角に潜む隊員たちにハンドサインで一斉射撃の旨を伝える。

 指を3本立て、カウント。


(ゼロ!!)


 指がすべて降りると同時に、通路の角から飛び出した隊員たちが小銃を構え、引き金を引ききった。

 その時、詠唱が響いた。無論、敵の魔術師の。


「ーーーー〈尖礫〉!!」


 飛翔する5.56㎜弾の群れとすれ違いに、尖った石の塊が猛烈な速度で飛翔した。

 秒速200メートルを越えようかという速度で射出されたそれは、不幸にも膝射姿勢を取っていた隊員の大腿に直撃する。左足を切り飛ばされた彼女は、弾かれたように転がって悶絶した。


 弾丸の群れは守備隊を一掃したが、1人重傷。分隊においてこれは、大きな損害である。


「……後送しろ!俺たちがやる!」


 到着した別の分隊がそう言い、銃を抱えて走り去った。そして、守備隊が守っていた扉の向こうへと消えてゆく。


「……急ぎ、城外へ。衛生兵を!」






「さて、貴様らがこのユグドラシルを攻め落としたのか……褒めてつかわそう。帝国領となって以来、難攻不落とされた城塞だ。それをこうも鮮やかに陥とすとは……」


 守備隊長を兼任する城主は、感慨深げにつぶやいた。


「ーーーー見事だ」


 次の瞬間、宝剣を抜き猛然と走り出す。


 討ち死に覚悟の一撃を前に怯んでしまった若手の隊員たち。しかし、ベテランの曹長は動じなかった。


「その意気やよし!」


 銃剣を装着した小銃を小さく構え、真正面に突き出す。

 城主の、首筋を狙って。




 一撃だった。






 ーーーー大陸暦1034年6月28日、ユグドラシル城塞陥落。

いつも感想、評価、誤字報告ありがとうございます。

では、次回。

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