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◇第二章「なんで俺が宿屋のサービス向上を!?」②


 まず俺が着手したいのは「宿屋」!


理由は……

・確実に客が確保できる

・サービスは予算をかけずに改善できる

・村の顔となり、宣伝ができる


思い立ったら、即行動!

村民たちに俺の存在は伏せておいてもらい、いち旅人として宿屋に泊まることとなったのだ。


ーヤタワ村・南西部

 宿屋「エターナル・ラブ」


もう、突っ込みどころがたくさんなもんで、俺は宿屋の前に立ち尽くしていた。

名前からしてアレだし、外観はネオンの看板が艶かしく輝いていて、国道沿いのアレだ。一番突っ込みたいのは、駐車場のビラビラだ。完全に利用者のプライバシーを保護している。


「……村長、もしもし。松田ですけど……ヤタワに宿屋って一か所ですよね? ……ラブホなんですけど?」

『なっ!? 松田くん何を……年寄りをからかって楽しいか!? やっぱり変態ではないか!』

「……」

とりあえず、ビラビラをめくって中へ入る。うん。薄暗いし、なんだかやましいことをしている気分。

「しゃーぁせー……」

フロントまで遠いし、声が小さいというか……だって受付スタッフの顔も隠れてるしね。

でも、部屋がボタン選択式じゃなくてよかった!

俺は受付の前に立つ。

「大人一人、一泊でお願いします!」

スッ…とマネートレーが出てくる。

「全室前払いで、三千五百円にゃりゃーす……」

妙に安い! 価格は良いじゃないか!

支払うと、スッ…と部屋の鍵が出てきた。結局ラブホかよ。


 今日泊まる部屋は、二○三号室だ。


なぜかめちゃくちゃプライバシーが守られた薄暗い廊下を進む。一、二、二○三号室……ここか!

ーーガチャリ、電気を点ける。

「おおお!」

照らされた室内は意外と広く、綺麗に清掃されていた。ソファ、ローテーブル、小さい冷蔵庫、ふかふかのダブルベッド…… 窓がないのが残念だが……十分に寛げる空間だ!


風呂場と洗面台、お手洗いもとても綺麗で申し分ない。室内はあまりラブホっぽさがなく、普通のビジホの印象だ。


……良い点、悪い点をノートにまとめて改善案と理由を書き出す。

そうこうしている間に、チェックインから二時間ほど経過。そろそろ夕飯の時間だ。

 ♪ピンポーン ガチャリ

「はーーい」

玄関にはすでにスタッフがおらず、トレーに乗った夕飯が置いてあった。すごいプライバシーの徹底ぶりだ。

肝心の夕飯は……

!? これが……これが異世界メシなのか……!?

謎生物の頭の煮付けと、白米、デザートに謎のゼリーだ。

ゴクリ……

白米以外は全く味の見当がつかない。怖い……でもこの世界の食材や調理法をしっかり学ばないと、スーパーバイザーとしての指導なんてできまい!

「いただきます!」


 結論から言うと、すごい。何がすごいって、もうギンギン。ギンギンになってから気付いたけど、スッポンの煮付けとデザートはローヤルゼリーだったみたい。ある意味これなら安いって思ったけど、美味しくはないし、単身で泊まると虚しさがすごい。


どうすりゃいいの、これ。

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