◇プロローグ
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2日に1話、鋭意更新中!
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ブラック企業のサラリーマンで帰宅は常に夜中だった。
行動範囲は関東と広く、クライアントの店舗を一日五件ほど巡回する。
仕事内容は、平たく言えばマネジメント。第三者目線で店舗をチェックし、弱み強みや改善項目の提示。長期にわたる場合は、しっかりと改善までのプランニング。定期的に巡回し、フィードバックや更なる提言を行う。もちろん、一番重要な店舗予算の管理や分析も行い、しっかりとデータに基づいて指導を行う。
今日も疲れた。いや、日付変わってるし、昨日か……
帰宅したらすぐに、今日巡回したクライアントの営業進捗状況を部長にメール。
しかし、途中で眠気が襲い、ソファへ寄りかかる。
あぁ、まだメール打ち終わってないのに……早くメール打たないと……いや、最悪会議に間に合えば大丈夫か……
明日の会議は何時始まりだっけ……?
何時はじまり……
はじまり………
「はじまりの村、ヤタワへようこそ!」
「へ!!!?」
笑顔の眩しい少年が、俺を見上げている。さらに視線を落とすと、なんか俺、よくわからないボロい草履みたいなの履いてる! しかもズボンが見当たらないし、腰に布巻いただけのワイルドな格好だ!
もう一回、恐る恐る少年と目を合わせる。
「はじまりの村、ヤタワへようこそ!」
この少年、訓練されている。……ラチがあかないので、少し奥の井戸の前にいる女性に色々聞いてみることにした。
「あのお、ここって…」
「村長の家なら、西の階段の上よ。」
指差すのは、小高い丘の上に建つ、立派な家。俺は聞いてないけど、あちらが村長の家らしい。
よし、行くか! って、ちょっと待って! 一回整理をしたい!
井戸をのぞき込む。揺れる水面に映るのは、俺。なんか胸元がざっくり開いたボロ服を着てるけど、俺。残念ながら俺なんだよなぁ。
慎重に体を確認する。他に異常はというと、そうだな……今着てるボロが何故かノースリーブで、非常に露出が高いということくらいか。
ベタだけど頬をつねってみる。悲しいことに、痛い。
色々よくわからないし、仮定だらけでも、精一杯今の状況を客観的に決定づけるとしたら、
ここって、異世界じゃね?