推しを信仰しています
前作の「推しを信仰します」の続きのつもりなので前作を読んでいただけたらわかりやすいかもしれないです。前作へのご感想、誤字指摘ありがとうございました。
今回は壮大になにも始まりません。某小鳥の呟きの勢いで書いていますので、大変読みづらいと思いますがこれがオタクですかという目で見ていただけたら幸いです。
はい、お久しぶりです。リーヴェ・ニスカヴァーラ公爵令嬢です。
小鳥さん、こんばんは。木々さん、こんばんは。私を包むお布団さん、こんばんは。皆さん、おこんばんは。
何故私がこんな著作権ネズミのプリンセスみたいなご挨拶をしたかといいますと特に理由はありませんがあえていうならば、なんかもうやらかしすぎて人生どうでもよくなった末の自暴自棄です。法廷でお会いしましょう。
そう私現在15歳になりました。学園入学間近ですね、というか明日からなんですよね。もうすぐで乙女ゲーム開始ですよ。
そんなこんなで今までヴィルヘルム様の闇堕ちルート回避に奮闘した日々を聞いてくださいますかね?
私はフレイヤちゃんに宣戦布告をしてから早速アロルド様信仰に勤しみながらも、ヴィルヘルム様の闇堕ちルートを根本的にぶっ潰してやろうと積極的に接触を図りました。根本的にというのは、ヨーハンソン公爵にちくったことまでは覆せないですが私が嫌われれば何も問題は無いのでそこの恋心をぶっ潰す予定でした。
しかし、ヴィルヘルム様は本当に闇堕ちする顔をしていらっしゃる。白金の髪ですがとても薄いのです、そこはかとなく王族の血を感じさせますね。王弟の息子ですから当然なのでしょうけども、ですが眼が惜しいですね、薄い紫の色です。顔がいいんですけど金髪碧眼が私の性癖なのでアレがアレですが、すみません、唸れ語彙、叫べ国語力。ちょっと全体的に薄い優しげなイケメンじゃないですか、惜しい感じです推しの次くらいに好きタイプのアレです。女オタクは気が多くてすみません。そんな相手に優しくしないとかわりと鬼畜生な気がしてですね…しかも本当に、本当になんかすごい私に対して優しいなという態度がわかりやすすぎる。なんかちょっと取り繕ってくれ〜好意ダダ漏れや〜という泣き言を垂れながらも、キツく態度をとるどころか、気がつけばヴィルヘルム様のメンタルケアをしていました。闇堕ちだめです。
そしてヴィルヘルム様が「俺のリヴ」ということをちょくちょく言い出した時点で、なんかやばくない?悪化させてない?病んできてない?依存させてない?と気付きました。
私はプライドを殴り捨てました。フレイヤちゃんにお手紙書きました。ご相談できるのはフレイヤちゃんだけでしたから。ご相談相手を間違ったという認識は私にもありましたが、返ってきた言葉は意外も意外、いやいい意味ではなく。
「私、人間味に溢れた人が大好きなんですよ〜好意を持った相手とくっつくが為に障害となりえる人物をいじめ倒し引き摺り下ろす、そこまでの愛って真実の愛って感じしますよね。だからリーヴェ様とヴィルヘルム様が私大好きなんですよ。」と返ってきました。
一周回って草。大草原ですよ、なんでいきなり性癖語り出したんですかこの人。私の相談を丸無視してきましたよ、お悩み相談に恋文で返す人初めて見ました。オタクの魂に問う限り多分フレイヤちゃんは信仰対象に頼りにされ嬉しい、ですが相談が相談の為、相談相手の望む答えを出したくないが信仰対象を無下にもしたくないが故の信仰対象をべた褒めした上で相談を丸無視し、このままいけ!そのままでいいぞ!という手紙なんでしょう。くっそ、オタクの気持ちが分かってしまう自分が憎い。
私の目は死にましたが、このままではいけないと自分だけが頼りだと、私は考えました。
考えた末のアロルド様との婚約です。私としては推しの幸せが私の幸せ、推しと結婚など夢女こじらせすぎのガチ恋勢か、清純女アイドルが処女じゃないと知った時のCDを叩き割って裏切ったな!ということをやりがちなドルオタぐらいの考えだと思っていましたので苦渋の決断だったのです。不本意ながらご婚約をお父様にねだりまくりました。私の信仰は異様でしたからね、お父様もご納得。
はい、本当に馬鹿だったのです。私、風魔法を独学で天才だと自称していましたが本当におバカ。淑女としてマナーも完璧ですけど本当に馬鹿です、え?もしかして私の欠点なさすぎ…?というから笑いすらされない冗談はいけません。オタクは自分の興味と推しに対する使命感に駆られなければ極められない人間なんです。
ですがこれにアロルド様は快諾してアロルド様からご婚約の申し込みをされたのは驚きました。しかしアロルド様なので身分もいい具合でわりとどうでもよかったのだろうと思うと私もなるほどな、と感じました。さすがアロルド様、顔だけが誠実。息をしているだけで世界に貢献していらっしゃるからなにも問題は無いんですけど女の子をボロ雑巾か何かとお間違えなのでしょうか。すぐポイしないでくださいね、何事もエコですよ。
そうして、私は達成感に満たされていました。ですがヴィルヘルム様に再びお会いした時にヴィルヘルム様のお顔が絶望顔で今にも闇堕ちしそうな雰囲気に私は乙女ゲームの物語を思い出しました。私も絶望顔です。何も、何も回避できていない。
本当に鬱。私はこの国を愛していますみたいな慈愛主義と博愛主義を掛け合わせて混ぜてクソ偽善な言葉を垂れ流して、だめですよーこの国滅ぼしちゃだめですよーヤンデレのヤンを5乗したような闇堕ちして意思のない略奪婚はいけませんよーということをオブラートに包みまくってヴィルヘルム様を闇堕ちを阻止している状態です。もはや洗脳に近い。
そして15歳現在、明日から学園入学です。ヒロイン助けて。しかしヒロインは助けてくれない宣言をされています、もう絶望。ヴィルヘルム様のルートを詳しく説明致しますとバッドエンドではアロルド様を暗殺し、それでも手に入れれないリーヴェを殺して永遠にヴィルヘルム様のものにしますが、もう一言も言葉の発さないリーヴェに我に返りこうしたのは自分だと闇堕ちし魔力が高すぎるために魔王になり国を滅ぼした上自害、ヒロイン子ちゃんはヴィルヘルム様の死体を見つけ涙を流すエンド。ハッピーエンドは闇堕ちしそうなヴィルヘルム様をヒロイン子ちゃんが慰め、リーヴェへの恋心と過去の心の闇を吐露。徐々に癒されヒロイン子ちゃんを好きになれるハッピーエンド。
闇堕ちルート、誰も救いがない。フレイヤちゃん頼むよ本当にノマカプ厨の絶対的意思など捨てて誰もが幸せになれるハッピーエンドを目指してくれないですかね。でもフレイヤちゃんはアロルド様と婚約した事にはお手紙で遺憾の意を表明してきました。「リーヴェ様、不安で心がいっぱいなのでしょう。心中お察しできますがいくらなんでも殿下との、それは…言葉にも表したくはないのですがいくらなんでも地雷とのそれは…私がヴィルヘルム様を慰めたとしてもそれはその場しのぎの気持ちであります。ヴィルヘルム様の恋はそのような軽い言葉で慰められるようなものでは決してないと思います。リーヴェ様が罪悪感でヴィルヘルム様にご結婚されても、友情から愛情へ変わるのも大変よろしいと思います。どれでもご飯がおいしくいただけます。けれども大好きなリーヴェ様が殺されるのもヴィルヘルム様が死んでしまうのも私は嫌です。どうかお考えを今一度見直し下さい。」という自分の欲望を垂れ流した上でヴィルヘルム様のハッピーエンドはぜってぇしねぇ!という旨を長々とびっしりと書かれていました。薄情な。私だって殺されたくないし誰も死んでほしくないのですけど!
ヴィルヘルム様って絶対にジャ〇オタの彼氏になったらジ〇ニの推しに嫉妬するタイプじゃないですか、私とくっついたとしても改宗しろオチですよ。嫌ですよ絶対、皆さん推し変すりゃいいじゃん彼氏推せばって簡単に言いますけど私の行動力生きる気力を全てのエネルギー源を変えて生きていられるほど推しに賭けてる努力も金も安くないんですよ!むしろ死ぬ。
まぁこんなぐちぐち言っててもどうにもならないですし寝ましょうかね。あぁ言い忘れてましたが私は既に寮にいます。明日から学園ですから、本当に嫌だな引きこもりになりたいです。明日になったら学園爆発してないかしら。もしかしたらするかもしれないですね期待しておやすみなさいませ。
はい、おはようございます。萌え萌えキュンなメイドさんに叩き起されました。お嬢様ご入学ですからおめかししましょうねーって言われたのでどうやら爆発してなかったみたいですね、馬鹿野郎この世に神などおらず。いるのはやはりアロルド様という神だけ、いや我が御仏…早朝の儀式を始めましょうか…。
支度を終えて寮棟から出ますと、見慣れた顔が見られます。ん?あれ、見間違いでしょうかねあの顔に恐怖を覚えていたのですけどまさか出待ちですかすみません事務所通してもらってもいいですか。
「リヴ、おはよう。一緒に行こうか」
一緒に行こうじゃねぇよ〜〜まじかよ勘弁してくれよもう朝からホラーだよ全くもって恐ろしいわ。はい、きましたよ、ヴィルヘルム様ですね、おはようございます。助けて、まじ助けてフレイヤちゃん。あれだけ憎い手紙を寄越しながらいてくれたらわりと心強いのでいるだけでいいのでいてください。
「ヴィル、おはようございます。…あの、入学式から婚約者がいる身でほかの男の方と一緒に登校だなんて悪い噂がたちますわ。ヴィルも悪い噂に巻き込まれてしまいますし…その」
察しろ!察しろビーム!もうほんとに猫パンチ程度の攻撃ですけど私わりとはっきり言ってますよねぇ。感じてほしい。この、一緒には行かないオーラ私今すごい出してる。
「でもそれって無理に婚約させられたんでしょ」
「ンンンン………」
私の察してほしい感情を総スルーされた挙句事実のねじ曲げきました。変な声で唸ってしまいました。無理に婚約(アロルド様が)させられましたねぇ!ここで私が無理にアロルド様に言い寄ったのですと言っても闇堕ち、受け流しても闇堕ち、なんかしたら闇堕ち。えぇ?もうヴィルヘルム様、情緒不安定です?不安定じゃなきゃ闇堕ちしねぇな!誰だこんなふうにしたの!私ですよ本当に申し訳ありませんでした。
ところでエンカウント中に人がこちらに向かってきています、だれでもいいから助けてください。えっちょっとまってくださいあれは。
「残念ながら無理にはさせていないな」
「…アロルド」
えっえー!?そのお顔は、そのお声は、え、そのお声はアロ、え?まってまってはぁーーやばい耳が、耳が耳掃除させて今。はぁーもう推しや!!!推しの声や!ワシの推しの声が鼓膜に響いてきたぞ!!眩しい!顔がいい!顔が芸術!!推しが息をしているだけで世界平和ラブアンドピース。あーしんどい、まってむりほんとにダメだって今来るの?え?いつくるの?今来たやん!ちょっともー本当にダメですって今は修羅場………今修羅場やんけ!!!!
「ねぇ、リーヴェ嬢?」
「ぁ、………ルド様…………ひっ………ウッ…………」
「……大丈夫?」
すみません、口をゆすいでから御名を言わせてください。でなければ死人が出ます。今ここで。なんのフル装備もなしに推しと対峙なんて無理ですよ。ちょっとそんな私ってば欲望に忠実ですのでやだな制服のアロルド様凝視しちゃいますよ、え、胸板は…ほうほう、腰細い!お手手大きいでちゅね〜ウーン身長たかぁい!ほそすぎないけどまさにモデル体型、脚なっが!えっ好き〜〜!本当に好き〜〜…えぇしんどくない?メッッッッチャしんどい。
「なんでここにいるんだよ」
「婚約者と登校するのはいけないか?むしろなんでヴィルがリーヴェ嬢と登校するわけ?」
「幼なじみで仲がいいから。ほとんどリヴと会わない君とは違ってね。」
「じゃあ久しぶりに婚約者殿と会ったから色々話すためにも、エスコート相手は婚約者に譲れよ」
「……チッ」
不敬不敬〜!こらこら〜!と思いましたけどもヴィルヘルム様とアロルド様は従兄弟か。わりと顔を合わせていたのですかね、すごくズバズバ言い合いますね。ですが昔のパーティやら舞踏会で会った時など誰が聞いてるかわからない所でも、フレイヤちゃんはアロルド様の事散々言ってましたけど不敬罪で捕まらないのなんででしょうね。これがヒロイン補正ですか。いやでも地雷殿下とか言ってますから地雷が何か分からなければ「何かの物語かな?」くらいになるのでしょうか。謎いですね。
「残念だけど、リヴまた後でね」
「う、うふふ」
また後でもバトルステージかよ、勘弁してくれや。ラスボスのメンタル弱すぎて闇堕ちしない言葉選びに私の胃がフルボッコだドンしてるのに酷くないですかね。ヴィルヘルム様、つよい無理倒せない。私ノマカプ厨にも負けてるのに、なんて私は無力なんでしょう。脆弱すぎでは。
「大丈夫だった?」
「えっ」
「遠目でヴィルが見えて近付いたら、リーヴェ嬢が一緒にいて狼狽えているのが見えたから先に行かせたんだけど、迷惑だったかな」
「ととととんでもない!あああありがとうございます」
私は今とても、感動しています。推しが、あの!アロルド様が!顔だけが誠実なアロルド様が!女の子に気を遣えたことに。嘘でしょう?あのこじらせ王子が?え〜〜嘘〜!成長したねぇよちよち。うわ本当にアロルド様?仏では?いや私の御本尊ですよ、今更アロルド様が仏って分かったの〜?遅れてる~!
推しと対峙すると一気にIQが下がってしまいますね、気をつけます。
「でもなんかちょっと意外だね、ヴィルって顔がいいからあれだけ言い寄られたらそっちにいくのかと思っていたけど」
おぉ……これぞ推しやぁ………女を小馬鹿にしてるとこ、これがデフォルトやぁ………自分の一目惚れは信じるけども他人の一目惚れは信じないタイプの男です。流石、アロルド様。テンプレこじらせ王子。
「ヴィルは幼なじみ、ですので…そっ……そんな風に考えた事……ありまっ…………うっ………せぬぅ…………」
「ねぇさっきから本当に大丈夫?」
大丈夫じゃないです。直接お喋りとか無理。最後武士みたいになってしまいましたけどあれでもだいぶ頑張りました。せめてもう一度口をゆすがせていただけないでしょうか。
「君から婚約の話を薦めたみたいだけどあれから必要最低限の関わりだったのはなんでなの?」
そういえばヴィルヘルム様のメンタルケアの闇堕ち回避で奮闘していたので、結果なにも回避してなくてやさぐれて部屋で大の字に寝てあーあの空に浮かぶふわふわの白いものは綿菓子なの?それとも乗れるのかしら?とかいうメルヘン女子花畑女という特殊な現実逃避をしていた為アロルド様の事は忘れた事はありませんが王城に赴く気力は削がれていたのです。鬱陶しがる表情もさぞお美しやなのでしょうがそんなまとわりつく元気すらなかった事がわりと良い印象になっています?
今まともに対峙してこれですからまとわりつけたかどうかも怪しいですけど。
「……殿下の事は本当に、本当にお慕い申し上げていますが、お、恐れ多くて」
今こうしているだけでも死にそうです。アロルド様お美しい。ふとアロルド様が目を開いたあと「ふぅん」と呟きほんのり頬を赤くされ目を逸らされたのですけど、えぇ…?尊い…何今の行動どうしたの何が原因ですかわからない…けれど今の表情でご飯10杯は余裕です。ちょっとアロルド様の行動パターンどんな声かけたらこういう表情になるのかを全部解析してデータ化してください、誰か。もしやそれをできるのは私しかいない…?聖書と書いてアロルド様本と読ませるもの作るか……そうか、私がやらねばならないんですね!使命感に駆られたところで歩きながら学園につきました所に、また厄介な人物が。
「やいやいやいやいやいやいリーヴェ様から離れんかい!ワレェ!」
私とアロルド様の間に入りアロルド様の腕をぱしこーんと良い音で叩いた人物。一人しかいませんこんな不敬罪やらかす人。
「フレイヤちゃん!!不敬!本当にそろそろ死んじゃいますわよ!!」
「リーヴェ様、人は死んでもやらねばならない事がございます。それに学園に一歩踏み込んだ時点で身分平等、セーフです」
「……リーヴェ嬢この女は?」
「……ひぃ……」
フ、フレイヤちゃんが死んでしまう。名前を言ってしまえばおしまいでは?さっき思いっきり言ってしまっていたけれど。いやこれは俗に言うシナリオ補正でこびない女…面白い奴だ……系のあのフラグとかそんなのでは?なるほど大丈夫でしょうか。
「そんなことよりリーヴェ様!どうなってるんですか!このイベントは、リーヴェ様とヴィルヘルム様が一緒に登校してる間に私がこの地雷殿下となんかよくわからない出会いをして話しているところを、それをたまたま見てしまったリーヴェ様が嫉妬に駆られてあれやこれやなイベントなのにどーーして、どぉーーーっして地雷殿下とご一緒に登校なされてるんです!?ヴィルヘルム様はどうされたのですか!?」
「………えへ…」
「えっっ!?かわいい~〜〜!!今のえっなになに可愛すぎるんですけどいやいやどうされたのですか可愛いからってなんでも許されると思わ、いや許す〜〜許しますよそんなのずるいですよ!!??」
やべぇな。やべぇオタクに絡まれてんな私。そういえばヴィルヘルム様と私が登校するのはイベントだったのですね。でしたら殿下は何故こちらにいらっしゃったのでしょうか。というかフレイヤちゃんと殿下のイベントはここで起きないはず、まさかこれヴィルヘルム様と私が登校してくるさまを一目見ようと待ち伏せしていたのでしょうか。そんなわけありますね、というかそれしかないでしょうね。
「フレイヤちゃん、どうしてそんなにシナリオ強制力が働いていないの?」
「いや、リーヴェ様シナリオ強制力とか一切無いですよ。リーヴェ様がわりと自分からシナリオ突入していってます。リーヴェ様多分このあと私の事絶対「平民あがり風情が」って言っちゃいますよ」
「い、言いませんわよそんなこと」
おかしいですね、私としては大真面目に闇堕ち回避に力を入れていたのですけど。同じ転生者がまたいれば、私の事は転生者と気付かれなさそうですね。他人事みたいに言ってますけどわりとショックですよ。フレイヤちゃんがざまぁ系の勘違い女オタクじゃなくて良かったです、その場合私大敗の自信がございます。
「リーヴェ様がこの調子ですし、このイベント回避の原因は地雷殿下…?成程、貴様一体何をしやがったのです?」
「何のことか分からないが、非常に腹立たしいのでお前に教える義理はないね」
アロルド様のキラキラ王子猫かぶりが最初から剥がれていらっしゃる。フレイヤちゃん、貴女本当に学園から出たら死んでしまいますよ。いやこれももしかしたら最初から自分の上辺を見破るとは面白い女…系のやつですか?ありえる…面白いレパートリー多くないですかねこういうタイプ。むしろなんでもいいんじゃないですか?ルックスオブベスト攻略対象は。
「……何か言われたのですかね…リーヴェ様のことを気にかけるとはやはり第一王子との関係が改善している?とか」
「何故お前が兄上との蟠りを知っているんだ?5年前の事だぞ」
「はぁ!?5年前!?やはり私がアルノルフ様に言ってしまったからですか、やってしまったわ」
んん?アルノルフ様とは第一王子様、アロルド様のお兄様です。5年前でフレイヤちゃんとアルノルフ様が関われる事と言ったら私も参加していた第一王子のお誕生日パーティの私とフレイヤちゃんが出会った時でもある日ですね。その時に何をやらかしたのでしょう。
「何をしてしまったのです?」
「あぁリーヴェ様お許しください。幼いリーヴェ様の後をこそこそとつけ目に焼き付けている時に、ご気分が優れないと退出したアルノルフ様と出くわし何故か色々話していましたところ「第二王子が幼いのでなんでも出来る」だの「私にあるのは王位継承権だけだ」だの地雷の話を散々された上に卑屈なことをうじうじと言いだすもんですから、余計にイライラしてしまい「うじうじとうるせぇですね。人と比べて勝ったものに満たされるのは結局自尊心だけですよ、貴方それだけ人のしかも私の地雷のいい所を見れるのですからそれも長所ですのに卑屈になるのすっげぇめんどくさいですよ!」と言って頭をしばきました。クソガキが一丁前に悟った顔をしているのも気に入らなかったのです…」
何をしているのですか、私のストーカーをしていることも含めて。明らかにヒロインの闇更生が荒い。そして言葉遣いもひどい。よくその後首が飛ばなかったですね、本当に何をしているのですか。私に懺悔する前に第一王子に謝りに行きなさい。
「まさか兄上が子爵令嬢と婚約をして俺にリーヴェ嬢と婚約しろと言ったのは兄上が王位継承から退く為だと思っていたけど、こいつと婚約したいが為に…?」
「ハァァァ!??初耳ですよそんなの!リーヴェ様が地雷殿下と結婚するのは断固反対ですし地雷殿下が義弟になるなんて鳥肌立ちまくりですよ絶対に嫌です」
「俺もお前と兄上が結婚することに断固反対だ。お前が義姉など吐き気がする」
「じゃあ地雷殿下リーヴェ様と婚約解消してください。そうしたらアルノルフ様は王位を継がなければならないので身分相応な婚約者をとらねばなりませんし万事解決です。」
「俺は兄上が継ぎたくない王位を無理にさせるつもりは無いしリーヴェ嬢と婚約を解消するつもりもないよ。お前が兄上を誑かすな、以上だ」
「はぁ!?いつ!私が!どこで!アルノルフ様を誑かしたって言うんですか!?このブラコンクソ野郎が!地獄で這いつくばってもお前の首をもいでやる!!」
「兄上がお前と婚約など血迷い以外でもなんでもなければお前が誑かしたとしか考えられないからだ!この平民あがり風情が、リーヴェ嬢にまとわりつくのをやめろ、学園から出た時点で不敬罪でお前の首をとばしてやる」
フレイヤちゃん、私ではなくアロルド様が言っちゃいましたよ。アロルド様、アルノルフ様との出来事暴露した時点でフレイヤちゃんの身分と経緯を分かってしまわれたのですね。もう私に庇うことは出来ません、フレイヤちゃん学園卒業と共に南無ですか…。
どうどう落ち着いてくださいませと言いたいところですがこの不毛な争いに首を突っ込みたくないですね。婚約解消に関してはヴィルヘルム様がお喜びになって余計に大変なことになりそうなので出来ればやめてほしいのですが、あとはわりとどうでもいいのでそこら辺の蝶々でも眺めてましょうかね。わーちょうちょとんでる、わーいちょうちょってうらがわきもちわるい
「というかなんですか、アルノルフ様別に王位つきたくないとか言ってないですよね。それってブラコンの鑑としてどうなんですか。というか知ってました?リーヴェ様別に殿下の全て好きなわけじゃないですから、顔が好きなだけですから特に性格はヴィルヘルム様のほうが好きですから」
「まず、兄上は自分の王位につきたくないという我儘で申し訳ないが王位から退きたいと仰った。が、他にも理由がありそうな顔をしていらしたからもしやと思っただけ。勘違いするなよ。…ところでリーヴェ嬢、そうなの?」
「わーちょうちょおきれいですねー」
フレイヤちゃん大嘘こくなよ。アロルド様私に話をふらないでくださいませ。ヴィルヘルム様の性格が大好きならこんなに苦労はしてないんですよ、さっさとヴィルヘルム様の元に行ってくっついてますって。
アロルド様はなんでも出来るハイスペック顔面偏差値高い方でございますが性格大丈夫?と言われれば私は迷わず否という事を提示致します。ですが推し、顔がよければ全てよし。私はアロルド様の女の子を廃棄物のように扱う姿を含めて大好きです。じゃなきゃ信仰できません。
「リーヴェ様に聞くまでもないでしょう?こうやって目を逸らされた時点で貴様は惚れられてもなんでもないんですよ!勘違いなさらないでくださいね!キャットファイトに権力行使する殿下はゴミなんですよこの産業廃棄物!」
「身に覚えが全くない上に王族に産業廃棄物呼ばわりとは余程死にたいらしいね。……リーヴェ嬢、……いや、リーヴェ」
「ホワッ!!??」
ななななにごとです!?アロルド様に呼び捨てされました!?えっ死んじゃう死んじゃう耳が昇天して体がお陀仏してしまう、えっ成仏させてくださいませアロルド様!とりあえず手を合わせておきましょう。はぁ~これで5週間は生きていられる。
「…?何故、手を…?…まぁいいや、リーヴェ。自分が不器用な性格なのも分かっているし、あまり好かれるような性格でもないのも。だけど、これからは顔だけでなく中身も惚れられるようになるから」
「ちょちょちょっ!!えっちょっと地雷殿下!?」
「…なんだお前は本当に死にたいの?今すぐに」
「……まさか、バトルロイヤルにリーヴェ様が勝っていた…?だとしたら私のやらかしたことが殿下との婚約を順調に進まさせてしまった……?」
「何をまたわけのわからないことを」
「……確かにリーヴェ様はスーパーウルトラミラクルにこの世が起こした奇跡と呼ばれるほど可愛いと思いますが」
呼ばれたこともないですし、語彙力の無さがすごいです。さっきからフレイヤちゃんどうしたのでしょう。おかしいのは元々でございますが勢いを無くし顔面蒼白になる姿は初めて見ました。
「一目惚れ、してたんですか…?」
「ししししていない!!していない!!!」
「うわめんどくさ、なんだこの童貞」
「首を差し出せこのアバズレ女が」
「うぅ……ぐすっ……ふぇ………」
「……!?どうしたんだリーヴェ!」
「ちょっと男子〜!大声出すからリーヴェ様泣いちゃったじゃない〜!…えっ!?待ってリーヴェ様泣いてます!?泣くリーヴェ様尊すぎて私も泣きそう」
場がカオスすぎるんですが、ちょっとまってほんとにまって推しが尊い………泣きそう、いや現在進行形で泣いた。アロルド様が真っ赤になって大声だしてるの可愛すぎない?そして突然泣き出す女に動揺した顔。ちょっと誰か見て、あれ私の推しなんですよ本当に可愛い、はぁ無理なんですけどしんどいしんどい。しんどい芸人推しが可愛すぎて本当にしんどいわ。
でも惚れられてなくて良かったです。惚れられていたら無理に婚約させた上にヴィルヘルム様の事を回避したら婚約を解消して貰おうと思っているのにわりと最低じゃないですか。まぁ推しのためなら何でも捧げる気ではありますけども信仰対象と結婚とは、アイドルと結婚するぐらいに現実味のないことなのでちょっと困るんですよね。やっぱそういうのなんか違うじゃないですか、誰かわかって。
「いやしかしちょいちょいリーヴェ様に対して猫かぶりしてるのはそういう事だったのですね。気持ち悪いなと思ってたんですよね。…まぁ見る目は見直しましたがリーヴェ様の地雷殿下の好感度はヴィルヘルム様の足元には及びませんよ」
「さっきからヴィル、ヴィルと。なんなのお前。兄上もお前とくっつくよりはるかに他の令嬢とくっついたほうがいい。絶対にリーヴェとは婚約を解消にはしないし、兄上もお前にはやらないからな」
「アルノルフ様に関してはよろしいですが、リーヴェ様にはヴィルヘルム様とくっついていただきますので、殿下はどうぞ婚約の解消のご準備を」
「わたくしを無視してお話が進んでおりますが、わたくしはヴィルヘルム様とご結婚しません。ぁ、アロ…ルド様も、お、お相手がおりましたらわたくしは…身を引きますので…無理に婚約させてしまって申し訳ございません………。あとフレイヤちゃんはいくら顔が良くてもお嫁に貰っていただける相手はもうアルノルフ様しかいらっしゃらないわよ、大人しく貰われなさい。」
「えっ?」
「えっ!?」
「えぇ…?」
それぞれの野望が複雑に違います。なんですかこれは。
ここで学園のベルが鳴り響きます、これは試合のゴングの音でしょうか?やだこわい。
冗談はさて置き、入学式がそろそろ始まる頃でしょう。アロルド様、行かなければまずいですよ。新入生代表挨拶でしょうにこんなことをしている場合ではありません。
「学園での勝負、よりハードになりましたね…私は負けませんよ」
そんな熱い感じでこられても私はついていけないですよフレイヤちゃん。入学式とともに戦いの火蓋が切られるのですね。…いや私も熱い感じで乗れましたね。
もうあの時のように逃げられないのが胃が痛い。明日学園爆発していますように。
―――そうして学園でのやるべき問題が増えたのであった。