二章7 蒼き乱入者
「あ~暇だぁ~」
自習は退屈だ。こんなバカげた時間を過ごす位なら普通に授業受けた方がマシだ。おまけにDQN共がペチャクチャ喋って耳が疲れた。
暇だから後ろの席でスマホいじりに励む山本とでも話すか…
「おーい山本ー、お前何やってんだ?」
「おお勇氏、コレを見てたんだ。勇氏もどうだ?」
山本のスマホには俺もよく見るネット板が映っている。
そのタイトルは…
[三次元にスーパーヒーロー見参!格好良すぎワロタwww]
まさかもうネット板にスーパーヒーローのスレが立っているとは。でもまぁ3日経ってるからスレ位立っててもおかしくないか。
「ちなみに山本は誰推しなんだ?」
「俺は勿論魔法少女プリティーエンジェルたそだな!でもマキシマム・サイキッカーきゅんもなかなか良いな!」
山本の話からすると、どうやら咲也は男であることを公表したようだ。でも前者は知らないな。
「勇氏は誰推しなんだ?」
「お、俺?」
まずい、大変な事になった。俺の知ってるスーパーヒーローはキャプテン・スカーレット(俺)とマキシマム・サイキッカー位だ。
「きゃ、キャプテン・スカーレットだ。うん、キャプテン・スカーレット」
「ほう、キャプテン・スカーレットか…お前が女性を選ばないとは…まぁ格好良いからな。どうやら子供を中心に人気らしいがイケメンであることから女性からの人気も高い。男性にも人気がある例もあるらしいぞ?」
「へぇ。」
キーンコーンカーンコーン♪
気が付けば自習が終わった。お喋りの力は偉大なり。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
時は変わって今俺は滝ヶ谷駅前にいる。ここの駅から自宅の最寄り駅の三英駅まで行こうとした時…
『勇!大変だ!ウツロが出たぞ!』
ビックリした。何故ならバトがいきなり俺の後ろで叫ぶからだ。
「驚かせんな!ポンコツコウモリ!で?ウツロはどこだ?」
『君の真ん前だよ!気付かなかったの!?』
あ、本当だ。人型の格闘家っぽいのがいた。って早く変身しないと!
「変身!」
物陰で変身する。ヒーローらしさ皆無だけど。
「おい怪物!お前は俺がぶっ倒す!」
『ほう、我に逆らう愚か者がいたか…よろしい、相手をしてやろう』
あ、あれ?ウツロって喋ってたっけ?
「お、おい。ウツロって喋れたか?」
『何だ、そんなことも知らないのか?まぁよろしい、教えてやる。私が喋れるのは、私の宿主が人間だから、つまり私は人間の心の闇から生まれたのだ。君が今まで戦ってきたウツロの宿主は動植物だっただろう?」
なるほど、それなら合点がいくな!
『勇、気を付けて!人間が宿主のウツロは動植物が宿主のウツロより強力だ!』
「そんなことは百も承知だ!いくぜっ!バーニングフィスト!」
困ったときはバーニングフィスト。威力もさることながらそのお手軽さから小手調べには持ってこいだ。
『笑止!デッドリーカウンター!』
「何っ!?カウンターか!?ぐあっ!」
最初からこれじゃいけないな…もっと頭を使わなきゃ勝てない相手だ!
「どーすっかな…」
俺が考えている時だった。突然光弾が飛んできた。
「な、何だ!?」
するとそこには銃を構えた青いヒーロースーツのヒーローが立っていた。
「おい、戦い方がなっていない甘ちゃんは引っ込んでろ!コイツは俺が殺る!」
また面倒そうな奴が出てきたぞ!?
どうすんの!?