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第六話 異世界転生

こんばんは。五月雨葉月です。


今回から異世界パート本番です!

 三月はその日、あれ以降、何があったのかは覚えていない。


 鏡の前でショックを受けた後、国王に抱えられたまま、王妃と三人で並んだ所で、メイドがマーキーズ・ブリリアントの様な形に切り揃えられた透明な宝石みたいな石を持ってきて、何が何だか分からないままその石を見ていると、急に石が光って半透明の青い石へと変化したのだが、覚えていないものは覚えていないのだ。


 そしてその後再びベッドに寝かされたのだが、すぐに寝てしまったようだ。


 そして今日、昨日ショックで早々に寝てしまった事のせいで、窓の外がまだ暗く、徐々に空が白み始めた時間帯に起きた三月は、十分以上に寝て、しっかり冴えた頭で今の状況を整理していた。


(トラックに轢かれ、暗闇を落ちてきたら知らない屋敷で、それも赤ちゃんになっていた…………

 さらによく考えると、全く知らない言語、見たことのない調度品。

 ……………………地球じゃ、ない……? )


 そしてしばらく頭をフル回転させた三月が得た、今の状況の答え。

 それは…………


(異世界転生!? )


 三月は、自分の考えに否定的になりつつも、すっかり忘れていたオタク的な考え方が浮かんでくると、それ以外に可能性はあり得ない、という結論に達していた。


(トラックに轢かれて死んで、気づいたら全く見知らぬ所……!

 もうこれ異世界以外にないでしょう)


 と思った、次の瞬間。


 ハッ、と三月が突然思い出したように部屋の中をキョロキョロ見回した。


(この姿になった、言うことは、生まれ変わったことになる訳だ。つまり昨日の王冠を被っていた夫婦――って横で寝てるし――の子供になるのか。王冠、王冠…………国王と王妃!? つまり僕は王子か! )


 と考えながら、何気なく天井を見ていた三月は目を疑った。


(ローズカット状の……石? )


 ただの石ならば何の不思議はない。

 いや、綺麗に切り揃えられた石が天井にあったら不思議ではあるが、三月が驚いたのはそこではない。


(ただの宝石がまるでシャンデリアの様にぶら下がっている!?)


 そう。宝石がシャンデリアの蝋燭ろうそくや電球の変わりのように嵌め込まれていたのだ。


 ただの装飾ではない。三月が見るからに、明らかに実用性と豪華さを兼ね備えた物だ、と見抜いた。


(宝石が電気の変わり…………だと……? いや、それ以外に電気や蝋燭の様なものは一切無い。つまり明かりを発する石。何なんだ一体)


 さらに三月は驚愕する。


(あの時計? 見たことの無い文字が書いてある……十二個書いてあるから進みかたは同じか?

 ん? )


 それ・・を見つけた三月は目を見張り、思いっきりガン見した。


(石が………………………浮いているとは……。さすが異世界というべきか)


 とてつもなく高価そうな調度品の上に、石で造られたように見える、手のひら程の台座。その上五センチほどに、昨日メイドが持っていたマーキーズ・ブリリアントの青い石が浮いていた。


(磁石の力……では無さそうだが、そうでなければ説明がつかない)


 そこに、三月の頬をそっと撫でるように、心地よいそよ風が吹いてきた。

 窓でも空いているのか、と思い三月が風の発生源を探したが、何処にもそれらしい物は無かった。


(これが、魔法、か? )


 そう結論付けたら後は早い。

 昨日光った石についても説明が出来るし、浮く原理も、“魔法だから”で納得出来る。


 と、


 コンコン


 とノックの音がした。


「××××××」


 何かを言いながら、昨日もいたメイドが音をなるべく立てないように入ってきた。


 そして、そっとベッドの側に歩み寄ってくると、寝ている二人に向かって何かを言いかけたが、三月と目が合った為一度口を閉じ、三月を見てにっこり微笑んでから再度口を開けた。


「×××××××××××××××××××」


 メイドが声をかけると、二人が起きてきた。


「(メイド)××××××××××××××××××」

「(王妃)×××××××」

「(国王)×××××××××××」


 三人は何かを会話すると、一斉に三月を見た。


 三月はなぜ見られたのか不思議だったが、国王夫妻を起しにきたメイドが、三月が早めに起きていて、かつ赤ちゃん(肉体的に)であるのに静かにしていることに驚いたのである。そしてその事を二人に伝えたのだった。


 王妃はそっと三月を撫でてから、国王は急いでいるのか、そそくさと顔を洗い、身支度を済ませ、早々に隣の部屋に出ていった。

 王妃は着替えてからも三月をあやすようにずっと抱っこしていた。

 先程のメイドは、どうやら王妃専属のようで、ずっと近くに控えていた。


 ちなみに国王が顔を洗った水道は、日本と同じような蛇口だった。


 しばらくして、今度は執事が入ってきて、何かを言った。

 すると、王妃は三月を抱えたまま、先程国王が向かった執務室とは別の部屋に向かった。


 そこには、地球で言えば、ヨーロッパの高級レストランで出てきそうな高貴な食器に、朝なので軽めの食事が、広い部屋の真ん中に用意されていた。

 大勢が座れるような大きくて細長いテーブルではなく、丸くて五人が座れる程度の比較的小さめのテーブルが置いてあり、周りにはメイドや執事が何人も立っていた。


 王妃が椅子に座ってすぐ、国王が入ってきて、王妃の向かいに座り、三月は二人の中間に、ベビーチェアの様な椅子に座らされた。


 二人の朝食はパン、スープ、サラダ、ふわふわの玉子焼きにベーコンのような肉。そして紅茶という、いかにも高級レストランの朝食です、というようなラインナップだった。


 しかし三月は、肉体的には生まれたての赤ちゃんであり、転生したことは本人以外、誰も知らない為、こちらでは普通の赤ちゃんに食べさせるであろう、異世界ベビーフードが用意されていた。


 その後三月は、何ヵ月に渡って議員生活に比べ、比べ物にならないくらい暇な生活を送っていたが、異世界独特の魔法や、不思議な石など、新しい発見の毎日であり、さらに一刻も早くこちらの知識を知って状況や情勢を理解するために、苦労を自分から背負っていく日々の連続であった。


 しかしそんな日々の中でも、毎日のように考える事がある。

 それは、


(祈……君は今、何をしているのかな…………)





 

ここまでお読み頂き、ありがとうございます!


次話は少し時間が飛んだ後のお話です。


前回の後書きに、土曜日に投稿、と書きましたが、GWと言うことで、今日以降、GW中は、4/29,30。5/1,3,4,5,7,8日に投稿したいです。


投稿時間はその時々という事でよろしくお願いします。


さて、なんと450PVを突破しております!

ありがとうございます!

これからも頑張りますので、よろしくお願い致します!


ブクマ、ご感想、ありがとうございます!

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