第五十九話 朝のファッションショー
久々の更新になって申し訳ございません。
「ふぁ~。……まだ起きてないわよね?」
翌日、恥ずかしいからリリーたちがまだ起きてこないうちに一度ゴスロリを着てみようと、窓の外が暗いうちから起きてすぐクローゼットに直行し、取り出してベッドに広げた。
「あ、結構構造は簡単なのね?」
早速パジャマとして使っていた、こちらも昨日買ってきたネグリジェを脱ぎ、ゴスロリに着替え始める。
フリフリで着にくそうな外見とは裏腹に、誰もが着やすいように、いくつかのボタンや紐で固定するタイプのもので、ジッパーがないこの世界では珍しく、着やすさを重視した一着だった。だからと言って他が適当だということもなく、しっかりとしていた。
「よい……しょっ。これでよし」
最後の紐を結び終え、腰かけていたベッドから立ち上がると、鏡の前まで移動し、その前で軽く回ってみた。
「か、かわいい……。すごい、やっぱりゴスロリはいいなぁ……」
フワッと広がる、漆黒のスカートとフリル。そしてそれに合わせるかのように小さく右へ左へと揺れる姫袖。
これに傘を持ったら完ぺきよね、と思いながら、鏡を見つめながら見とれていた。
「コホン」
「ひぁっ!?」
急に咳払いが聞こえてきて、びっくりして身体を抱えてしゃがみこんだ。
「り、リリー?」
「おはよう、ルイス」
「うん、お、おはよう。……いつから見てた?」
私は恥ずかしさをこらえながら恐る恐る、ベッドがある後ろのを向く。
「『ふあ~。……まだ起きてないわよね?』っていうところからかな」
そこには、ベッドの上で姿勢よく背筋をのばし、寒くないように腰まで毛布をかけて、にっこりと可愛らしく微笑みながらこちらを見つめてくるリリーがいた。
「さ、最初からじゃない!?」
「わたしにはルイス、じゃなかった。ミウの行動は全部わかるのよ?」
「そ、そう……」
リリーは、音もなくスルリとベッドから降りると、私の方へと近づいてきた。そして、ちょこんっ、と手を伸ばして、私の頭を優しく撫でてくれる。
「そんなに恥ずかしがらなくても、わたしがミウに似合うと思って選んであげたんだから。似合わないわけないじゃない。……すっごく、可愛いわよ♪」
「そ、そう? ありがと……。えへへ♪」
思いがけないリリーの嬉しい言葉に、つい頬が緩んでしまう。
そっとリリーを抱き寄せると、きゅっ♪ と抱き締めた。
「わわっ、ミウ?」
「リリー、ありがとう。さすがリリーね。私のことは何でも分かってる」
「……当たり前でしょ。何年付き合ってると思ってるの?」
「それもそっか」
くすっ、ふふっ、と小さく笑い会う私たち。しばらくして離れると、今度はリリーも昨日買ってきた服に着替え、軽くファッションショーみたいにお互いに披露しあった。
リリー、すっごく可愛かったなぁ♪




