第五十七話 この三人……
すっかり慣れた女の子の姿で今日はリリーとマキと城下にショッピングに出掛けることにした。
他の人々への誤魔化しがききやすいよう、ルイスが永遠の血の能力を使い女の子になっているときの名前は、ミウリーズ・レイ・シルドミアに決まった。
誤魔化し、と言うのは、ルイスたちは王族というだけあって様々な情報が界隈に流れている。そこに突然王族を名乗る女の子が現れたら大変な騒ぎになってしまう。そうならない為に作った偽名である。ちなみにシルドミア、というのは王族が偽名を使う時に使用している家名である。
今のルイス――いや、ミウリーズはリリーやマキなどの親しい人々からは“ミウ”と呼ばれていた。
そんなミウは、王城にいるときにずっとルイスの服をそのまま使っていた。妹たちの服はサイズも合わないし、そもそも妹たちはまだミウの存在を知らなかった。それを可哀想に思ったリリーとマキ、そして何よりこの姿になって一層女の子っぽくなってきたミウ自身が、この姿でいるときは、本当の女の子でいたい、と希望したため今日三人|(付き添いの近衛騎士もいるが)でショッピングをしに城下にやって来たのであった。
「とりあえずは一通り全部そろえないといけないわね」
「ミウ、向かうお店は決めているの?」
わたしはまだこの姿になって間もないし、ルイスで居るときも服には困っていなかったから、あんまりお店、女の子向けの服を扱うところは特に詳しくない。
「ううん、まだ。リリーとマキのお勧めのお店はある?」
「私もあまり知らないかな……」
「私も街に出ないのであまりよくは……。あっ、でも有名なお店とかなら知っていますよ!」
「本当? じゃあそこに行こうか」
「……。ううっ、すみません、場所までは分かりません……」
「あぅ。……仕方がないわよ。みんなあんまりお出かけしないし。近衛騎士たちに聞きましょう」
すっかり失念していたけれど、普段お付きの人っぽいマキは、実は王女さまなんだっけ。大切なお客さまだから、何かあったら困るからあんまり外に出てないんだった。
近衛騎士たちの案内があってなんとか着いたけれど、もしかしてわたしたち……結構不味くないかしら?




