表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/62

第五十四話 わたしじゃ、いや?

 僕の声にリリーがハッと目を開き、僕を見つめる。


「ルイス」

「うん。戻ったね」

「よかったぁ……!」


 ちゅっ♪


 今度はリリーから、涙の混じった少ししょっぱい味のキス。ぎゅっと抱き付いてきて、何度も何度も。


「ごめんね、不安だったでしょ」

「ううん。……ぐすっ。よかった、よかったぁ!」

「ちゃんとここにいるよ? ほら、ね?」

「うん! うん!!」


 ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅぅぅっ♪


 何度も何度もせがませる。ごめんね、リリー。また不安にさせちゃったな……。でも、心に誓ったんだ。もう決して祈と離れない。祈を守り続けるって。




 しばらくして、祈が落ち着いた頃。お互い正面を向いてベッドに座り、僕の右手とリリーの左手を重ねてきゅっと手を握りあっていた。


「ルイスは好きな時にあの姿になれるのかな?」

「うーん、多分そうだと思うよ。また祈大好き! ってなったらなれると思う」

「そっか。そっか……」

「ん~? もしかして、結構気に入った?」

「べ、別にそんなんじゃない。ただ、昔を思い出しただけ。……こんなに小さくはなかったけれど、なんか懐かしくなっちゃって」


 僕はそっと隣を向いてリリーを抱き寄せる。そしてリリーの耳許で問いかける。


「あの姿で僕がいると嫌かな?」

「ううん、全然そんなことないよ。むしろちょっと嬉しいかも。こっちに来てから、身分のせいでちっとも友達とか出来ないし。はじめてのお友達みたい」

「友達?」

「うん。……うん?」


 僕の質問の意味が分からなかったのだろう。僕を見て、どういうこと? とアイコンタクトで聞いてくる。


「僕たちさ、恋人……婚約者、だよね」

「うん。そうだけど、なんで?」

「あの姿でも、僕は僕だよ?」

「うん、それは分かるけど……」


 僕は先程と同じ手順で、一瞬で女の子の姿になってリリーにキスをする。


 ちゅぅっ♪


「女の子同士は嫌、かな?」


 日本で男の娘度を高めるために結構頑張って学んだ、見る人がグッとくる、女の子が可愛らしく思える角度からリリーを見つめてそっと囁きかける。ちょびっとだけうるうるっと涙目になることも忘れなかった。


 そのリリーは、僕が女の子になった瞬間から、キスをしている間も、僕が問いかける時も、ただただずっと目を大きく見開いて驚いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキングとは、めい様が作成したおよそ45万作品が登録されている、とても大きな非公式ランキングサイトで、作品に設置して読み手の方がクリックする事で点数が入るシステムで────」 「もうっ、また始まった。……良かったら投票してくださいね?」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ