第五十三話 正解は……
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「それで……元の姿へは戻れないのでしょうか?」
「戻れるとも! ……ただし、それには強い“想い”が必要だ。永遠の血は、心の奥底で望んでいる事を叶えてくれる、特別な魔法。その力を引き出すにはそれ相応の“想い”がないとね」
「“想い”、ですか……」
「そう。強い“想い”さえあれば、いつでもこの力を使うことが出来るよ」
そう行って、仕事が残っているというお父様、お母様とマキは夕食の支度にそれぞれ部屋を後にした。残っているのは僕とリリーの二人だけだ。僕は、お父様に言われた事について考えてみる。
僕にとって、女の子、というものはどういうものなのだろう。祈、キャラクター、可愛い服、恋。考えれば考えるほど、“想い”は途切れることなくいくらでも溢れだしてくる。
大好きな祈と一緒に楽しんだショッピング。
いつも楽しく描いていたキャラクターたち。
なによりも祈という素晴らしいパートナーと出会えた恋という奇跡。
僕にとって、女の子とは。僕にとって、男の子とは。
……考えを巡らせるうちに、一つの答えが出た。
「やっぱり、祈のことが大好き、っていう気持ちかな」
「えっ!? 私と女の子になることが、どんな関係があるの?」
「三月でいたときも祈の事は大好きだし、愛していたよ。でも、女の子の服を着て、女の子になって祈と接するうちに、新しい祈の一面にも気づけたんだ」
「……私の新しい一面?」
「うん。男として、恋人として接してくれる祈と、女の子として接してくれる祈との違い。見た目だけは女の子同士だから、“三月”でいる時よりも軽い気持ちで接していられたんじゃないかな。僕もそうだったし」
その言葉に祈は頭の上にはてなをいっぱい浮かべながら小首を傾げる。
僕はリリーの正面に回ると両の手のひらを頬に添え、こつん、とおでことおでこをくっつける。……僕と祈のキスの合図だ。
「う~ん、でも私、三月に対する態度は変えたことはないと思うけどなぁ……。あっ――」
ちゅっ。
「……祈。リリー。大好き」
そっと唇が触れる。そして僕の言葉を合図にしたかのように僕の全身があっという間に白くて淡い色の光に包まれる。そしてその光は一瞬で消えた。
リリーは突然の光に驚い、てぎゅぅぅっと目を瞑っている。見ると、リリーの頬に当てられている僕の手は、さっきよりもちょっぴりたくましくなっていて――
「ほらね、正解でしょ?」
――声も、声変わりはしていないけれども、元の男の子のものに戻っていた。第五十三話 正解は……
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