第五十話 永遠の血・Ⅲ
50話目です!!
「なるほど、それはきっと永遠の血のせいだろうな」
「永遠の血、ですか?」
「うん。……ええと、確か前に説明しなかったかな? 王族一人一人に世界でただ一つだけの特別な魔法が与えられる、精霊と妖精の力だよ」
僕はやっと誤解を解いて、今の状況をお父様に説明している。未だに女の子の姿のままでなんだか落ち着かない。
そう言えばずっと前にそんなことを言われた気がするけれど……。
「でもどうして今日なのでしょう?」
「永遠の血が与えられるのは一人一度まで。その人物が心の奥深くで願っている事を実現するための手助けをしてくれるのに一番役に立つ魔法、らしい」
「らしい、なのてすか」
「うん。基本的に王族内だけの秘密だからね。だから研究とかも進んでないんだ。……ただ、今までの長い歳月を経て分かったことはいくつかあるんだ」
困ったような顔から一転、自信ありげに若干胸を張って言うお父様。
……本当なのかはよく分からないけど、とりあえず話に乗ろう。
「そうなのですか?」
「おう。私を含め、今までの大勢の王族が研究を重ねたんだ。かなり信憑性があるぞ?」
ドヤ顔で言ってくる。……正直、お父様がこういう顔をする時ほど不安になることはない。
前だって、ロゼ達にせがまれて、出来る出来ると言っておきながら、やったこともない種類の魔法を使おうとして暴発させていたし。
お父様の話をそのまま書くと、無駄な話や冗談が混ざってしまうので、僕なりに簡単にまとめるとこうだ。
・全ての王族に一人一つ、一度のみ与えられる。
・与えられるタイミングは、十歳になった誕生日または王族と契りを交わした翌日。
・与えられる能力は、与えられる者の心の奥深くに潜んでいる願望を叶える助けになる能力。
・与えられた能力は世界にふたつとない。
などだ。
…………この話を聞いていて思ったことがある。
この能力って、心の奥深くで叶えたいと思っていることを実現する助けになる、という能力だ。
「えっ、じゃあつまりさ……。僕、女の子になりたいってずっと思ってたって事!?」
再びリリーと二人きりになったタイミングで自問自答する。
リリーもその可能性をうすうす感じ取っていた様で、
「この世界にまで来て女装とか、コスプレの事を考えてるの?」
と、若干呆れた様子で言われてしまった。
…………そんなつもりじゃないのになぁ。
…………そんなはずはないんだけどなぁ。
でも、十年ぶりに女の子になれて、ちょっぴり嬉しかった事は、僕だけの秘密だ。
今度は本当に、正真正銘の女の子になったのだから、それなりに過ごしてみたいなぁ……。と思っている自分がいた。
僕のオタク度は、日本という素晴らしい国から離れ、アニメやゲーム、同人誌等から十年も離れようと下がらない様だ。
50話目、お読み頂きありがとうございます!!
様々な応援、ありがとうございますm(__)m
これからもよろしくお願い致します。




