第四話 シスタリア王国
こんばんは。五月雨葉月です。
今回から異世界パートです!やっと異世界!
実はあまりにも急いで執筆していたため、誤字などが多いかもしれません……
見つけ次第修正しますが、皆様の方でも、報告をしていただけると嬉しいです。
では、今話もよろしくお願いします!
大海原に挟まれた、ローズ大陸・シオン大陸・リュウキンカ大陸・バイオレット大陸・マリーゴールド大陸・カルミア大陸・ルピナス大陸。
その七つの大きな大陸のうち一つ。ローズ大陸でも、世界でも稀に見る2000年以上の歴史を誇る、大陸で最も大きな王国・シスタリア。
そのシスタリア王国・王都シスタリアにある、王や王族が住まい、国の主だった政治が行われる、まさに国の心臓部。威厳に満ち溢れた、国一番の観光地・王城。
その王城は、普段なら静かなお昼時。
しかし今日は喧騒に包まれていた。
「急げっ! 早く運べ! 」
「お湯を早く、王妃様の所へ! 早く! 」
「タオル、誰か洗濯部門から取ってこい! 大量に! 」
「騎士殿、これ頼みます! 」
「ええ。わかったわ! 」
今日は朝からずっとこの 調子だった。
城のメイド達は、ほんの少しの休み時間に、そわそわと話し合っていた。
「おめでたいわね! 王妃様の初出産でしょう? 」
「そうよね~! やっとできたお子様だもの。」
そう、この国を統治する、日本で言えば総理大臣。アメリカで言えば大統領。そのポストに着く、王様・シスタリア王国の妻の初めての出産と言うことで、皆一様に慌ただしく動き回っていた。
そして、新たに暇を見つけたメイドが加わり、話しはさらに加速する。
「ねえねえ、聞いた? 」
「なになに? 」
「リーアシュトラーセ侯爵様の所でも、お子様が産まれそうだって!! 」
「そうなの!? 今日はおめでたい事がいっぱいね! 」
「さっき、オックスレット侯爵様が、急いで帰られていたわ! 」
「あれはそうだったからなのね! 」
どうやら、シスタリア王国に使える、侯爵家でも子供が産まれそうな様だ。
「貴族様達が集まっている中、オックスレット侯爵様の所もお子様が産まれそう、と言うことで、国王様が早く帰って奥様の近くにいなさい、って言ったんだって! 」
「え~! 国王様、お姿もそうだけど、性格も格好いいわね! 」
どうやら、国民に良い印象を持たれている国王のようだ。
メイド達は、まだまだ話し足りないとばかりに、さらに様々な事を話そうとしていたが、奥から叫びながら駆けてきた近衛騎士の言葉によって、彼女達や、近くにいた他の王城に仕える者達も、興奮した様子でざわめき始めた。
「おーい、おーい、王子様だ! 王子様がお産まれになった! 」
ついに子供が誕生した様だ。
その言葉を残した近衛騎士は、更に多くの者に伝えようと、走り去って行った。
しかし、その近衛騎士の事は、王子の誕生、という一大ビッグニュースにより、すぐに忘れ去られた。
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少し時間が戻った頃の、国王の個人執務室。
そこでは、国王であり、これから産まれる子供の父である、アーノルド・レイ・ラ・シスタリアは、部屋のなかを右へ左へ忙しなく、そわそわそわそわと動き回っていた。
実は彼、出産の邪魔だと言うことで、寝室の隣に位置する、自室に追い出されたのだった。
「まだか…………まだなのか…………」
彼の発する、呪いのような独り言に気づいた、国王付きの老年執事は、まるで自分の子供を見るような優しい目で、
「もうしばし、お待ちください」
と言った。
「出産には、時間がかかるものなのです。アーノルド様」
「そうか……」
執事の名は、ナーガ。今年で国王に仕えて三十年の、ベテラン執事だ。
国王が子供の頃から、毎日傍に居るため、彼が何を考えるのかがよくわかっている。そしてナーガは、身分が違うにも関わらず、まるで自分の子供の様に接して長らく過ごしてきた為、国王への信頼も厚かった。
そして国王自身、子供の頃から、忙しい自分の父に変わりずっと近くにいるナーガを、とても信頼していた。
「おぎゃあ、おぎゃあ! おぎゃあ!!」
その時、彼らの耳に、産声とおぼしき声が寝室から聞こえてきた。
そして、寝室で、王妃の介助をしていたメイドが、
「国王様、お産まれになりました! 元気な王子様です! 」
その言葉を聞いた彼は、寝室に向かってダッシュした。
一刻も早く、自分の子供を見たかったのと、何よりも王妃を労るためだった。
扉を開けることももどかしく、一目散に、天涯付きの立派なベッドに駆け寄ると、
「リーズ! よくやった! ありがとう! 」
と声を掛けながら、出産を終えたばかりで疲れているであろう王妃に気遣いながらそっと抱きついた。
「あなた…………ほら、念願の男の子ですよ」
今、出産を終えたばかりの、王妃、リーズ・レイ・ラ・シスタリアは、駆け込んできた自分の夫を見て、ほほえんだ後、そっと抱きついてきた事に驚きつつも、自分の胸に抱いた、産まれたばかりの王子をそっと渡した。
「そうか……そうかそうか! この子が私の、念願の子か!! 」
国王は、普段は凛としている顔を盛大に崩し、我が子の誕生を祝っていた。
そして、王子誕生の一報は、その日のうちに発表され、瞬く間にめでたい事だと、国中にお祭り騒ぎをもたらすこととなった。
そして、王城で王子が産まれたのと、全く同じ時刻。
王都にある、リーアシュトラーセ侯爵の屋敷でも、女の子が産まれ、リーアシュトラーセ侯爵領では更に喜ばしい事が増えた、と領民が、他の地域よりも更に騒いだのは、また別の話。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました!
次話は、日本で死んでしまった主人公メインの話になります。
投稿時間は未定ですが、今日、24日中には投稿する予定です。
ブクマ、ご感想、ありがとうございます!




