第四十七話 いい夫婦の日
ギリギリ、ギリギリです!!
「そう言えば今日、いい夫婦の日だったんだって、ルイス」
「11月22日……そう言えばそっか。いい夫婦の日、か」
「私たち、いい夫婦なのかな?」
「……まだ結婚してないけどね。まあ、ずっと恋人とか婚約者とかで仲良く暮らしていたし。これからもずっと、一生リリーの事を、祈の事を守るから」
「ミキ……。ありがとう。私、ミキの事が大好き。愛してる」
「僕も愛してる、祈」
ちゅっ♪
そっと口づけを交わして、共にベッドに入る。
指を絡ませて、向き合う形で布団を被り、眠りを待つ。
先に言葉を発したのは僕だった。
「……もう10年なんだね」
「……会えるまで寂しかった」
そう言いながら指を離し、腕を僕の体の後ろに持ってくると、きゅっと抱き締めてきた。
僕もリリーの背中に腕をまわして抱き締め返す。
「……今は?」
「……すっごく幸せ。大好きな人と抱き締めあって、愛しい人の体温を、体を通じて感じて。本当に幸せ」
静かな空気の中始まった小さなやり取りは、次第に昔話へと変わっていった。
「昔さ、ミキが女装したりしてショッピング行ったでしょ?」
「うん。恥ずかしかったけど、楽しかった。女の子について色々と知れたし、何よりも嬉しかったのは祈と話す事が増えた事かな」
「そうだったの?」
「祈が急に自分の服を取り出して、着てみたら? って言ってきた時は驚いたけど、着てみたら案外悪くなくて」
「ふふっ、今でも覚えてる。いたずらのつもりだったのに、すっごく似合ってて」
「色々と服を見るうちに、お洒落ってこんなに楽しいんだ、見せ合いっこするのも楽しい、そう思ってからハマるのは一瞬だったなぁ」
その頃の事を思い出して、揃ってクスクスと笑いあう。
「ミキがさ、サークルの人達といる時間が増えてさ、私とっても嫌だった」
「……どうして?」
「みーちぇさんとか、うみさんとか、同性の私から見ても綺麗で魅力的な人がいつもそばにいて。仲良くしたり、二人だけでいる所を見かけると、嫉妬したんだよ?」
「そっか……。でも、僕は祈が一番だから。どんな事があっても、何があろうとも。これだけは変わらない」
「うん。知ってる。だって、私がミキの事を愛していて、ミキも私を愛してくれたから。……でも、分かってても嫌だった。どんなに自分に言い聞かせても、嫌だった。だから手伝い、って言っていっつも傍にいたの」
目の前の少女が本当に愛しい。
嬉しさのあまり何度も何度もキスする。
「……んん、ちゅぅ。ちゅぅぅっ♪ ……それでだったんだ。ずっと不思議だった」
「んちゅ……。……私は嫉妬深いよ?」
「そんな所も好き。祈、リリーの事は全部が好き。大好き。僕だけのお姫様だから」
「えへへ、私も大好き。…………あ、私本当にお姫様になるのかな?」
「多分、そうだと思う。王妃さま〜って、みんなに言われる日が来るよ」
「なんだか不思議だね」
「ん〜?」
「何年か前までは普通の人だったのに、今では王族とお姫様」
「確かに。まるで夢みたい」
「うん。そうね……。こんな幸せな時間をくれた神様にお礼をしなきゃ」
「……神様、祈と、リリーとこんなに幸せに過ごせる日々をくださって、ありがとうございます」
「もうっ、恥ずかしい……」
「ちゃんとお礼はしないと。……愛してる、リリー」
「愛してる、ルイス」
もう一度口づけを交わすと、僕たちはそっと眠りについた。
純愛は最高です。
書いてても、見ていても。
ちなみに今回の時系列はあまり変わっていない、筈です。
ご感想、ブクマ、評価ポイント等、ありがとうございます!!




