第四十一話 マキ王女
こんばんは。
今回、二つの話に別れる形になっています。
「な、なんでマキ王女がこんな所に……!?」
「えっ、いや、ちょっと……その、ルイス王子、あなたの事が気になって……」
なんだか恥ずかしそうに言うその言葉に、リリーが反応する。
「ルイスは私の旦那さんです。変な事は考えないで下さい!」
「べっ、別に変なことではありません!」
「うぅ~!!」
「むぅ~!!」
睨み合う二人。……このままだと大変な事になりそうたから、取り合えず落ち着かせよう。リリーの肩を抱いて軽く抱きつく格好になって落ち着かせる。
「ほらほら、二人とも落ち着いて落ち着いて。リリーも、ほら」
「もうっ…………。ルイス、ありがとう」
「はぁ…………。って、ずるいですよ!」
「あら、羨ましいんですか? ふふっ、私たちは将来を約束された恋人同士なんですよ」
「こ、恋人!?」
「もうキスもしました」
「き、キス!? は、はわわわ……」
「リリー、その辺でやめてあげて」
頬を染めておろおろ落ち着きのないマキ王女。
あっ、忘れる前に用事を聞かないと……。
「それで、どうしてここに?」
「は、はい。こほん。…………何ででしたっけ?」
「「…………」」
「じょ、冗談ですよ~!!」
「「…………」」
「本当ですって!」
「「早くしてくれませんか?」」
「はっ、はぃぃ……」
それからマキ王女は一つ一つ順を追って教えてくれた。
なぜ留学しようと思ったのか、そしてなぜここにいるのか。
「私の国、ルピナス王国の王室には、私の他にも、多くの王子・王女がいます。始めは、私もみんなも小さいから、仲良く過ごせていました。
でも、兄や姉が大きくなり、成人し、そして私たちも国の在り方や政治の勉強をするにつれ、次第に兄弟姉妹を見る目が変わっていったんです。
所謂後継者争い、というものでしょうか。周りは敵だ、自分が王に相応しい、と。
細々とした嫌がらせや、いじめが毎日の様に兄弟姉妹の中から、ほかの兄弟姉妹へされていました。私も例外ではありませんでした。
でも、だんだん気づいたんです。なんで私たちはこんな醜い争いをしているんだ、なんで本来は愛すべき兄弟姉妹と争わなければいけないんだ、って」
そこまで言って一旦言葉を切るマキ王女。
僕たちは黙って話の続きを待つ。
名家や権力を持つ者の後継者争いとかは日本でドラマやアニメ、まんがの中でしか見たことが無いけれど、ここは違う。
当たり前に王族を始め、貴族や大商人が存在し、衛生上の理由からより多くの跡継ぎを残そうとする。
最近、この世界でもそこそこ衛生管理が良くなり、死亡するリスクが減ってきたとは言え、それでもまだまだ不十分だ。
結果的に兄弟姉妹が増える事となり、後継者争いが増え、生まれが遅い者の処遇があまり良くなくなるのが日常茶飯事だ。もはやそれが普通、と言っても過言では無い。
上の者が優遇され、下の者が差別される。
仕方のない事だと思う。この世界では。
日本でだって、兄姉の使った服やおもちゃのお下がりを貰う弟妹は多い。
それと同じで、この世界でだって、何らかの不遇を受ける事はあるのだ。
そう割り切るのは簡単だ。
しかし、規模が違う。やり方が違う。
僕はいずれ、このような問題をよい方向へ変えたいと思っている。
そんな想像をしていると、マキ王女が顔を上げ、僕の方をじっと見てきた。
マキ王女の話はまだまだ終わらない。
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出来るだけ次を早く上げられるように頑張りますので、よろしくお願い致します。
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