第三十八話 1度目のプロポーズ
な、な、なんと第2回お仕事小説コンの楽ノベ文庫賞を頂く事が出来ました!
皆様のおかげでここまで来ることが出来ました!ありがとうございます!!
これからも、オタク議員の異世界転生〜異世界政治は難しい〜をよろしくお願い致します!
お互いの事を話し終えた僕たちは、無意識に近づいて抱き締め合って、何年かぶりのお互いの体温を、鼓動を、息づかいを、そして愛を確かめあっていた。
この国という思ったより近くにいた祈。身分という思ったより遠くにいた祈。長い時間会えなかった寂しさと、やっと見つけ出せたと言う安堵。
僕たちは、ずっとずっと抱き締め合っていた。
「祈」
「ミキ」
「「大好きだよ」」
ちゅっ♪
久しぶりの甘いキス。短くて、一回きりだったけれど、僕たちは通じあった。
いとおしい。可愛い。大好き。
言葉に出さなくとも僕たちは通じあっている。
互いに何を考えているかよく分かる。
「ミキ」
「なぁに、祈」
「もう一回、して」
ちゅっ♪ ちゅっ♪ ちゅぅぅぅっ♪
潤んだ瞳。涙で濡れた頬。何もかもいとおしい。
八年もの間、ずっと会えなかった分の寂しさと不安が一気に溢れだし、一回どころか、二回三回、数十回にも及んでキスをする。
愛を確かめ合いながら。
存在を感じ合いながら。
吐息を、鼓動を、体温を。
腕と体と全てで感じながら。
そしてそのまま僕たちは、見つけ出せたという安心感と、今まで捜し続けてきた疲れが一気に押し寄せてきた反動もあってか、疲れて一緒に寝てしまった。
勿論、熱くきつく抱き締め合ったまま。
(こうして一緒に寝るのも久しぶりだな……)
そう思った直後、強烈な睡魔に襲われ、祈の心地よさを感じながら眠りに落ちた。
差し込んだ月明かりで目が覚めた僕は、すぐ近くにある祈の頬にそっとキスをする。
時計を見ると、どうやら数時間眠っていたようで、そろそろ日付が変わろうかという時間だった。
(しまった、祈、家に帰らないといけないんじゃ?)
ハッとして慌てて祈を起こす。
「祈、祈?」
「ぅぅ? ミキ? どうしたの?」
「祈、早く帰らないといけないんじゃないかって思い出して」
「えっ!?」
僕の言葉に祈が慌てて時計を見る。
そして、顔色をサッと蒼くしてバッと起きると、慌てて身だしなみを整えていた。
「祈、僕のお父様の所に行って、事情を説明してもらおう?」
「ミキのお父様って────国王陛下じゃない!?」
「大丈夫。ちゃんと話せば分かってくれると思う」
ねっ? と説得し、僕たちはしっかりと指を絡ませながら手を繋いでお父様の部屋に向かう。
実は先日、新しく自分用の部屋を替えてもらったばかりで、両親の部屋とは多少距離が離れているのだ。
「ねぇ、祈、僕たちこの名前で呼び合うの、二人きりの時だけにしよう?」
「えっ…………? あっ、ああ、そうね。確かに日本の名前だと変に思われちゃう」
「僕の事はルイスで、祈の事は……」
「リリーで良いよ。私の今の名前はリリー・リナ・リーアシュトラーセ。リーアシュトラーセ侯爵家の長女なの」
「そっか……。あ、でも貴族なら普通の人より会いやすいかも」
「それもそっか!嬉しいな!ミキと、じゃなかった。ルイスとこれからずっと、日本にいた時ほどじゃないけど沢山の時間を過ごせるなんて」
「うん!あ、あと日本語も出来るだけ使わないようにしないと」
「……?他の人は分からないし、良いんじゃない?」
「でも一応だよ。……秘密の話をする時と、あとは……」
言葉の続きを待ってくれる祈。
そんな祈の耳元にそっと顔を寄せ、ずっと伝えたかった言葉を囁く。
『僕たちと、僕たちの新しい家族の前以外では、ね』
『ふぇっ!?そ、それって…………』
『いつかちゃんとした時に改めて言うけれど、僕は祈と結婚したい。祈のことを愛しています。』
『ミキ…………ありがとうっ!嬉しいっ…………!』
ガバッと祈が抱きついてきてくれた。
祈を体中で感じながら、言葉の続きを紡ぐ。
『日本にいた時、小さな頃からずっと、この世界に来た日からも一日たりとも忘れた事は無かった。ずっと毎日祈のことばかり考えていたんだ』
『わたしも、私も!ミキ事が大好き!』
『だから祈……僕と結婚してください』
『はい…………!』
ここまでお読み頂き、ありがとうございます!
久々に男女のキスを書きました。
一応体は子供なので描写は自重しました。
おおよそ2週間ぶりの投稿男女した。お待たせして申し訳ないです。
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