第三十六話 再会まで
久々に長いです。
少し長くなりそうでしたし、出来るだけ早くお届けしたかったので分けさせて頂きました!
私の今の名前は、リリー・リナ・リーアシュトラーセ。
リーアシュトラーセ侯爵家の一人娘として生まれた。
ミキと暗闇で別れて、気付いたらヨーロッパのお城のような部屋に寝かされていた。
よくよく観察してみたら、私は赤ちゃんになっていて、ミキ達の言う所謂転生というものだと、今のお父様、お母様やメイドさんたちの魔法で気付いた。聞いたことのない訳の分からない不思議な言葉から、別の世界にいるのだと気付いた。
私はミキを探し出すため、必死に言葉や魔法、この世界の事を勉強した。
大好きな人を探し出すため、両親や周りの人々が心配するほど必死に勉強した。
あまりにも必死になりすぎて、後で聞いた話によれば全然笑ったり、泣いたり、怒ったりしなかったらしい。
そして何の手がかりも無しに、この世界に生まれ変わって八年が過ぎた。
私は諦めなかった。大好きなミキを探すため。大好きなミキと再び抱き締めあうため。大好きなミキとまたキスするため。
手がかりを集めるため、大きくなってこっそり街に出かけて直接探した時もあった。ひどく怒られたけれど、私は何度も何度も街に出かけた。
私の行動に始めは難色を示していた両親も、やがて根負けした様で、護衛付きでの外出が許された。勉強が終わったら、という条件付きで。
私にとってはお手のもの。ささっと片付けてミキを探しに向かった。しかしやり過ぎたか、かなり噂になったりしたみたいだけれど、気にならなかった。
しかし、ある日お父様が持ち帰ったある物によってミキの今の名前を知ることが出来た。
それは、ミキが描いた、まんが。
この世界には本はあったもののまんがは無く、ミキのお手伝いをしていたお陰もあってかすぐに気づく事が出来た。
私はお父様にまんがを見せられた時、やっと見つけた喜びと、今までの必死な捜索の疲れからか倒れてしまったらしい。
起きた後、お父様に詳細を聞くと、ミキはルイスという名前になって、この国の王子さまとして生活しているらしい。
それも私と同じ年齢、同じ誕生日だそうで、とってもうれしかった。
やっと見つけられて、やっと探し出せて。
私はどうにかして会おうと、王城まで会いに行こうとした。王子さまだから、自由に出歩けないだろうし、何よりも王さまになるための勉強をしているという事で、忙しいかも、と思ったから。
しかし、一人で入れる筈もなく、私は侯爵である父について王城に見学、という形で何度も何度も入った。
しかし、ミキが住む区画には、王族とその近衛騎士しか入れず、何度か入ろうとしたが駄目だった。
そんな中、お父様に言われた、外国のお姫様の歓迎パーティー。パーティーにはミキも参加するらしく、私には行く以外の選択肢が無かった。
しかし運命は残酷なものだ。
何日も何日も経っても一向にミキに会えない。時間が合わず、日取りも会わない。
気づけばミキに会えないまま、パーティーの前日になってしまっていた。この日は、お父様が貴族同士の事前の打ち合わせ、お母様が他の貴族の奥さんたちとのお話があるらしく、私は夕方まで王城にいる事が出来た。
しかし両親共に時間が伸び、私は家のメイドさんに付き添ってもらって先に帰る事になった。
(これはチャンスだ。この機会を逃したら二度と会えない)
私の頭の中にそんな言葉がこだました。
私はメイドの意識が別の所へ逸れている間にこっそりと抜け出し、王城の中を駆け巡った。
家のメイドの中でも少し天然っぽいメイドさんで良かったと思いながら探し続けたが、気づけば窓から差し込む光が暗くなり、広い王城の中のどこに自分が居るかもわからなくなっていた。
しかし私は気にせずミキを探すため、歩き続けた。
警備の近衛騎士に見つからないように、そっと。
働いているメイドさんちに見られないように、そっと。
ミキを見つける。これだけの為に歩き続けた。
しかし。
靴で誤って弾いてしまった音を聞き、すぐ近くにいた近衛騎士たちが私を追ってきた。
(ミキ、どこにいるの? ミキ!! )
私は逃げた。どこまでも。ミキを探しながらずっと。
なぜか疲れは感じなかった。きっと近くにミキがいる。
なぜか痛みは感じなかった。きっとミキが近くにいる。
そう信じ続けて。
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