第三十五話 パーティーの前日*再会編2*
続きます。
『いのり、祈なの? 』
『うん。ずっと会いたかった! みつきぃ』
そう言って抱きついてきて泣き出した祈──の生まれ変わりの女の子。
泣き方も、仕草も、全部心の中にしまっていた祈のそのものだった。
「あ、おい! こっちだ! 」
「いたぞ! 」
呆然としていたら、近衛騎士達が走り寄ってきた。
きっとここが王族専用の庭園で、祈が入ってしまったのを咎め、祈が逃げ出したからだろう。
しかし入ってきてくれたからこうしてまた会えた。
庭園に行こう、という思考に感謝しなくてはならない。いや、感謝してもしきれないものを感じている。
こうしてまた祈と会うことが出来たから。
「よし、見つけ…………」
「おい、どうし……た……」
走り寄ってきた近衛騎士達が固まる。
「……王子殿下」
「……ハッ! ご、ご無事ですか!? その者は──」
我を取り戻した騎士達が僕と僕の腕に抱かれる祈
向ける視線を行ったり来たりさせて戸惑う。
「この方は私の友人です。少々別行動をしていたのですが……」
「そ、そうでしたか。その、お嬢様、申し訳ありません。我々の勘違いだったようです」
僕の嘘の理由を聞いた隊長らしき人が代表して祈に謝る。その謝罪の言葉に祈は、こくり。と頷いて答える。
近衛騎士達はどうにも納得していない様子も見られたが、僕に言われれば信じなくてはならない。
一礼すると元の警備場所へと戻っていった。
『もう大丈夫だよ。もう誰も来ないから。一緒に僕の部屋に行こう』
『……うん』
近衛騎士達が居なくなった事を確認し、祈に声を掛ける。そして先に立ち上がって手を差し出し、祈を立ち上がらせる。
立ち上がり方も、ついた埃をはらう仕草も全て祈のものだった。
王城の人達の目を盗むようにして僕の部屋に着いた僕と祈は、お互いの事を話し合った。
僕は、暗闇の世界で別れてから今日、祈に再会するまでの事、妹たちの事、まんがの事。そして魔法の事を、かいつまんで包み隠さず祈に全て話した。
祈だという事は既に確証していたし、隠し事をしても仕方がない。
祈は話を真剣に聞いてくれた。
一通り話を終えたら次は祈の番だ。
小説の紹介文にも書きましたが、2017年4月まで諸事情で、僕が投稿している全ての作品の更新が不定期になります。
よろしくお願いします。
まだまだ続きます。
短く区切って申し訳ないですが、区切りの良い所で分けてますのでご容赦を……!
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