第三十四話 パーティーの前日*再開編1*
続きです。
すっかり暗くなった中、庭園に入り、月明かりを頼りにしばらく進んだところにあったベンチに座り、ボーッと暗い空を眺めていた。
すると────
「君、君。ちょっと待ちなさい!! そこははいっちゃいけない! 」
いくつかの慌ただしい足音と共に、近衛騎士と思われる声。
(だれか入ってきたのか? ここは王族しか入れない庭園なのに)
全く、馬鹿な事をする人も居るものだ。
「こ、こら!! 」
荒々しい足音が段々近づいてくる。と、
「っきゃ! 」
という小さな叫び声とドサッという鈍い音。幼い女の子の声だ。
音と声からして転んだのだろうか。
好奇心に負け、声のした方向に向かってみる。
すると……
「ううっ……いたい…………」
腰辺りまでの低木の茂みの影に、ドレス姿の女の子がうずくまっていた。
ドレスには広範囲に土が付き、前から転んだ事がよく分かった。
女の子は同じ年くらいで、可愛らしいピンク色の髪の毛で、まっすぐにおろしていた。
しかし、驚いた事に女の子は全くの無表情。痛いと言っていたはずなのに、泣いている様子もなく、ただ無表情に転んだ時に打ったと思われる膝をさすっていた。
はじめ、僕に気づいていなかった様だが、かなり近くまで近づくと、怯えたように、しかし無表情で聞いてくる。
「騎士さん、じゃない? だ、だれ……? 」
「大丈夫? 僕は、ルイスだけれど…………」
自分の名前を言った瞬間、女の子の目がハッと開き、驚いたような口調で聞いてくる。
「ルイス? ルイス・レイ・ラ・シスタリア王子? 」
「う、うん」
「あなたが……? まんがを描いたっていう……? 」
「そうだけれど…………」
質問に肯定した。すると突然、それまで無表情だった女の子が顔をくしゃくしゃにして泣き出した。そして思いっきり抱きついてくる。僕は突然の行動に驚いて何も出来なかった。
すると、女の子は涙をぬぐい、驚く事を言ってきた。
『会いたかった…………。八年間、ずっと。会いたかったよぉ! 』
「ぇ? 」
『あのときから探してた。ずっと会いたかったよ……三月』
「!? 」
三月? それは…………日本での名前。そ、そう言えばたった今女の子が喋っていた言葉も…………日本語?
まさか。まさかまさか。
『いのり、祈なの? 』
『うん。ずっと会いたかった! みつきぃ』
そう言うと、再び女の子────祈は僕に抱きついて泣き出した。
まだまだ続きますよ!
いやぁ、コミケ前日、設営疲れた~!456ホールを手伝ったのですが、50分くらいで終わって……初参加でも結構出来ました。これから反省会です!
暑い…………
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