第三十三話 パーティーの前日*準備編*
今回、前後編に分けさせて下さい。
『来週、うちにルミナス王国から第二王女が留学しに来る。そのパーティーがあるから準備しておきなさい』
相変わらずいきなりの父様の宣言に、早く言ってよ! という気持ちを隠しきれないまま一週間が過ぎ、そのパーティーの前日になった。
ルミナス王国は、シスタリア王国があるローズ大陸の南に位置しているルピナス大陸唯一の国で、今度来る、マキ・ユーリア・フォン・ルミナリス第二王女は十三歳で五つ年上らしい。
パーティーと言っても、国王主催なだけあって、とても段取りが多く、それのせいで準備することも多くなってくる。僕は他の貴族やその妻子などと共に準備に追われていた。
しかし……
「一度お目にかかる事を望んでおりました、王子殿下。私、ヘールブラッソ伯爵家の当主――――」
「王子殿下! 私はタークハーン侯爵家の長女、テレーズと申しますわ。――――」
といった挨拶やお近づきになりたい子女の自己紹介に捕まりなかなか準備することが出来なかった。しかし、いくら幼いとはいえ僕は国王の長男。しっかりと応対しなければ国の品格が疑われる。
「ご丁寧にありがとうございます。僕は――――」
「ルイス・レイ・ラ・シスタリアと申します。――――」
と丁寧に返す。
しかし内心では
(今すごく忙しいんですけど!? )
(僕は祈一途なんで無理です)
と終始穏やかでは無かった。
パーティーの前日、最後のリハーサルが終わるまでに挨拶された回数、数百回。色々な子女から自己紹介されること、これまた数百回。
正直うんざりだった。
この世界では実力がある程度重要視されるが、それでもまだ多少コネのようなものが必要になることもあり、特に貴族同士の関係や、商人が売り込む時などにも貴族へコネがあった方がやりやすいこともあるらしい。
全く、迷惑な話だ。
けれどそれは仕方がない様にも思える。
王子というのも大変なんだな……と今まであまり人前に出なかっただけあって今更考えさせられた。
明日の予定は、午後に今既に王城に滞在しているマキ王女を迎えた歓迎パーティー、挨拶のうえ、終了後に王族との食事会があるらしい。
食事会と言っても、歓迎パーティーである程度食べてしまうため、軽食らしい。
父様もマキ王女が何をしに来たのかを知らないようだが、明日聞けばいいさ、と楽観的だった。
母様から、今日はもう休んでいいよと言われた僕は、自分の部屋へと戻る途中、庭園に寄ってみようかな、といつもの帰り道から寄り道して少し遠回りして帰ることに決めた。
後々、何年も後思えば、これはまさに神様からのお告げだったに違いない。
続きます。
最近何かと忙しくて……言い訳するわけではありませんが自分でチェックしたら誤字が多く、もしかしたらまだ残っているかもしれません。
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