第三十一話 布教への第一歩
こんばんは。五月雨葉月です。
ポケGOが配信されて、僕の周りでもプレイしている人は多いんですが、僕のスマホはバージョンが足りずに出来ない悲劇……
まあ、気にしてませんけどね
あの後、お父様に、貴族の人にも見せたいから、明日貸してくれないか、と頼まれた。
「――――という訳だが、良いかい? 」
「はい、勿論です! 」
これが元になってこの世界に萌えの要素が広がってくれれば、こちらでもコミケのようなイベントを開催出来るかもしれない! という密かな野望が新たに出来たが、それを顔に出さないように気を付けて頷いた。
その後、二、三言交わして、お父様は午後の執務ヘ戻っていった。
「よし、一応受けもよし、と。せっかくだしいくつか漫画描くか……この世界に来てからネタが貯まってたし…………」
また近衛騎士から大量の紙を貰った僕は、その日ずっと久し振りに漫画を描いていた。
ここの紙|(一応この世界での最高級品)では本番のようには描けず、どうしてもラフ程度になってしまうけれど、二十四ページの漫画を描ききった時、感極まってちょっと泣いてしまったのは秘密だ。
その泣いている時に、いつも慰めてくれたなぁ……と祈の事を思い出していたらさらに泣けてきてしまったが。
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さて、私は仕事を終え、妻と共に床についた時にも、ずっとルイスが描いた“漫画”という新しい発想の書物の事を思い出していた。
共に寝る準備を進めている妻、リーズに声を掛ける。
ちなみに二人の愛娘はルイスと共に寝るらしい。面倒見の良い兄で助かるものだ。
「なあ、リーズ」
「何ですか? アーノルド」
「ルイスのあれ、どう思った? 」
単刀直入な私の質問に、困ったようにうーん、と可愛く首をかしげながら少し考え込むと、
「新しい時代の幕開け、かしら」
「はやりか……明日家臣に見せて、反応をみよう」
「ふふっ……」
「な、何だよ急に笑ったりして」
「いいえ、あなたが乗り気になることが珍しくて」
「人がいつも面倒くさがり見たいに言うなよ……」
「事実じゃないの? 」
そう言いながらくすくすと笑ってくる。
「全く、もう寝るぞ」
「はい、おやすみなさい」
「うん。おやすみ」
そう言って目をつむってからも、考え事の続きだ。
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翌朝、いつも通り朝食をとり、ルイスから、昨日のパラパラまんがと、あの後に描いたというまんがを貰って執務室へ向かう。新たに貰った方を流し読みをしてみても、そのまんがは新たな発見の連続だった。
部屋に着くと、ナーガが居たのでついでに見てもらった。
「ふむ……なるほど、これは面白いですね」
「あの連中に受けるかねぇ……」
「あの方々はお金にだけは目がない。稼ぐチャンスと見たら食いつくでしょう。どうやらこの書物は王子殿下が初めて描いたもののようですから」
「やはりそうか? 」
「ええ。このような描き方、構成、どれも初めて見るものです」
ナーガがそう言うのなら間違い無いだろう。
これでも王国きっての知識人だ。
「さて、陛下。そろそろ会議の時間ですぞ」
「ん? ああ。行こうか」
よし、これが息子の初めての功績になるように頑張るか。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
やっと、その○から抜け出せました。
やはりもう少し続いて、萌えが世界に浸透し始めた頃に次の章へ移ります。
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