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第二十一話 初めての外出

こんばんは。五月雨葉月です。


異世界要素が沢山――――沢山?出てきます。

 この世界に来て八年と半年の間。ずっと王城で生活し、異世界というアニメやラノベでは中世ヨーロッパくらいの街並みで、この世界でもその例に漏れず、王城の造りや文献、様々な人の話を聞く限り同じような街並みの様だ。


 しかし、ヨーロッパに旅行に行ったとき、旧市街などの一部の観光地で見だけであり、街全てがそのような姿であるとこは想像も出来ない。


 果たして、どのような街並みが広がっているのか。


 近衛騎士のチェックをパスし、敬礼をされながら第一の門を、ついに――――外へ出た。


 王城は小高い丘の上に位置している、最も目立つ位置にあり、そこから数百メートル先の丘の麓までは、幅が広く、なだらかな石畳の道が続いていた。その両脇には木一つない草原が広がっていた。


 上から眺める王都の景色は、ヨーロッパで見るハーフティンバーの古い街並みその物で、石畳の道に、木と石や煉瓦などで造られた家がとても美しく映えていた。


「わぁ…………」


 行き交う人々の波。

 荷物を運んでいる馬車。

 様々な種族の様々な年齢の人々が集まっている様子を見ていると、改めて異世界に来たなぁ……と思う。


 全てが新鮮に映り、思わず声が出てしまった。


「そんなに凄いか? 」


 隣のニルムさんが、くすくすと笑いながら、面白そうに聞いてくる。


「すごい顔だぞ」


 そして、軽くハハハ、と笑われた。

 そんなに面白い顔をしていたかなぁ?


「すごいですね……」


 何の装飾もない、思った通りそのままの感想が出てくる。


「そうだな……人も多いが、何よりも街並みだろう」

「はい。とっても綺麗です」


 うんうん、と頷き、丘の麓まで歩きながらニルムさんが説明をしてくれた。


「何代か前の王が芸術に感化されてな……景観の揃った美しい街を造ろう、と言い出したんだ。当然多くの貴族に反対されて。しかし、絶対美しくなる。誰が止めてもやるぞ! って。その結果、誰にも想像も出来なかったこんな街が出来たんだ」


 なるほど……その王様に感謝しなくては。

 その人が居なかったら僕は、この素敵な光景を見ることが出来なかったのだから。


「ここから魔法協会は見えますか? 」


 丘の半ばまで下っていたが来て聞いてみると、


「ん? ああ。あれがそうだよ」


 と、指を指していた。


 ニルムさんの指の指す方向を見ると…………


 何やら随分と大きくて立派な、教会のような塔がある建物を見つけた。


 多分、あれで間違いないだろう。しかし――


「なんで教会のような感じがする建物にしたんですか? 」

「何でだかは私にも分からないが、多分初代国王の師匠、リス・シャルテにちなんでだろう。リス教と一緒の建物を使っているしな」

「なるほど」


 初代国王、レイラ・シスタシアが魔法でイルス侵攻を抑え、混乱した国を纏めて収めたことは有名だ。


 魔法協会も、それぞれの国に合わせている、という事か?


 思案を巡らせていると、すぐ近くに建物が迫っていた。つの間にか丘のふもとまで降りてきていたのだ。


「お~!! 」


 初めて見る、異世界の街並み。

 姿景色はヨーロッパとあまり変わらないが、地球には存在しない物や、種族を見る度、感慨深くなってきた。


「すごいですね! 」


 思わず声のトーンが高くなる。


「そうか? 私には普通だが……まあ、ルイスもそのうち馴れるさ」

「そうですか? あっ、あれは何ですか!? 」


 街中に入った途端、始めてみるものが一気に増え、全てが新しい発見だった。

 そしてまた一つ、見慣れない店を見付けたのでニルムさんに聞く。


「ああ、あれは鍛冶屋だな。武器や防具だけでなく、日常生活で使う鉄製品も作っているんだ」


 時には、賑わっている魚屋の店先で見付けた、見慣れない魚。


「あれはサーモン・クイーンだ。サーモンの上位種で、普通のサーモンより美味しい」


 時には、フリーマーケットで見付けた、見慣れない結晶の数々。


「あれは全部、冒険者向けの結晶だな」

「冒険者向け? 」


 異世界特有の職業、冒険者。その人々が使うものだけあって興味深かった。


「うん。あれを握って、呪文を唱えれば体力や傷を肩代わりしてくれるんだ」


 極めつけは、


「あのお肉の名前……聞き慣れないものですが…………」

「ん? あはは、聞いて驚くなよ。あれは、モンスターの肉だ」


 予想はしていたのであまり驚かなかったが、王城では最高級品が出るのであまり感じないが、先程から何軒か通ったお店で出ている普通のお肉よりも美味しそうな匂いがする。


「へええ! 普通のお肉と違いがあるんですか? 」


 よく気付いた! とばかりに、大きく頷くと、


「うん。ものによってはそこらへんの普通の肉よりも美味しいな。ただ、運ぶのが面倒だから王都では少ないかな……」


 と言った。王都で少ないなら――――


「モンスターが多くでる所では多いんですか? 」


 田舎や、森の近くなどモンスターが多く生息する場所であればもっと多くあるのかもしれない。そう思ったが……


「いや、美味しい肉が取れるモンスターが生息する場所は結構少ないんだ。だからあまり出回っていないんだよ」


 なるほど。確かに全てが全て、美味しい肉が取れれば当に殆どのモンスターが討伐されきっているだろう。


「お、そろそろ魔法協会が近いぞ」


 その言葉に、道の先を見てみる。

 すると、一際大きくて立派な建物が広場の奥に建っていた。


「近くで見ても、やっぱり立派な建物ですね」

「うん。私が初めて見たときには、何十分か立ち尽くしていたよ。でももう馴れたが」


 確かにはじめは良いかもしれないが、ずっと見ていたら飽きる。


「じゃあ、行こうか」


 と、ニルムさんが正面の大きな入り口から、中へ入ろうとする。


 しかし、僕はまだ外を見ていたくて、一歩を踏み出せずにいた。

 そんな様子の僕に、


「帰りはまた違う道を通って帰ろうか」


 とニルムさんが言ってくれた。


「ほ、本当ですか!? 」


 もっと多くの発見が出来る、と喜びを感じた。

 それに抑制する心が負けて、なんともはしゃぐ子供のような返事をしてしまった。


「ああ。もちろん」


 若干にやにやしながらニルムさんが答える。


「じゃあ、早く済ませましょう! 」


 と言って、僕たちは早足に建物の中へと入っていった。


ここまでお読み頂き、ありがとうございます!


次回は、「せっかくオタクが異世界行ったんだから、萌えを広めてもらおう」という作者の勝手な思いから、三月ことルイスにそのパワーを発揮してもらいます。



ご感想、ブクマ、評価ポイントの数々、ありがとうございます!


宜しければお願いします。

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