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第二十話 魔法協会

こんばんは。五月雨葉月です。


今回もよろしくお願い致します。

「魔法協会へ登録に行こう」


 免許皆伝宣言から一週間、ニルムさんの元を訪れた僕に、そう声を掛けた。


「魔法……協会、ですか? 」


 僕の問い掛けに、うん。と頷くニルムさん。


「ランクがA(マイナス)以上の魔法使いは、国の魔法協会に登録しないといけないんだ」

「登録? 」

「そう。高ランクの魔法使いを把握しておく事で、犯罪や事件に関与した疑いがある時にすぐ分かる様にするためだ」


 なるほど。確かに難しい、使用できる人が限られてくる時にはある程度分かっていた方が良い。


「すぐ分かる様に、ですね」

「そうだ。しかし、それは表向きの理由だ」


 表向き?

 と、首を捻って考えていると、


「さすがに分からないかな? 」


 と問い掛けられた。


「うーん、難しいですね」


 登録しておいて良いこと、か。


「ではヒントだ。高いランクの人々は少なく、滅多に居るものではない。どの国も同じだ。これで分かるかな? 」


 人が少ない……と言うことは、探すのが大変なのか?

 この世界で高い能力で役に立つこと…………あっ。


 僕の何かを思い付いた顔に、ニヤリと笑みを浮かべると、


「おっ、分かったか? 」


 と聞いてきた。

 僕は、ある確信が得られた事を口にする。


「もしかして……戦争ですか? 」


 正解!! と手を叩くと、


「そうだ。争いには人が要る。しかし、ただの歩兵や弓兵、騎馬隊だけでは歯が立たない。なぜなら、この世界には魔法があるからだ」


 と説明してきた。


「何よりも魔法の働く力が強いこの世界では、どの国でも、他の国に負けない数の能力の高い魔法使いを確保するかが争点なんだ」


 戦争かぁ……日本ではあまり縁のなかった言葉だ。

 何よりも、平和な国を目指し、憲法で戦争放棄を強調しているから、あまり議員でも戦争に関する話題を聞くことは無かった。


 しかし、この世界では度々大規模な戦争が起こる。そして、常日頃から世界のどこかで争い事があると言われる程、戦争が多い。


 ここ、シスタリア王国がある、ローズ大陸では滅多に無いが、一部の大陸では小さな争い事が多発しているらしい。


 大規模な戦争は、大きな二つの国が戦いあっている事も有れば、数国が連盟を組んで戦い合っている事もある。


「最近はあまり無いがな……シスタリアの隣に、イルスが有るだろう。軍事国家の。そこがよく侵攻して来るんだ。だから、イルスと国境を接している、うち(シスタリア王国)、ミルドラス皇国、クラス王国では特に魔法使いを確保することが重要なんだ」


 話を聞きながら、やっと思い出していた。

 イルス帝国があったな……と。


 過去、三度の大陸を巻き込んだ戦争を起こしている張本人であるイルス帝国は、各国からとても恐れ、脅威を感じられていた。


 ここ、シスタリア王国も同じで、国境近くの街や都市には、常に軍が常駐しているなど、常に警戒が強められている。

 戦争目当てに訪れる冒険者や世界中の傭兵が訪れる等して、交易が盛んだったりするが、世界の荒い人々が集まるので、治安があまり良くない。


 そこの改善も政治の重要な部分であると言える。


 まあ、まだまだ政治が出来る年までかなり時間があるが。


「人口が最も多い国だからと言って、他の国より高いランクの魔法使いが多いかと言うと、そうでも無いんだよなぁ……」


 と、ため息をつきながら言った。


「でも、それなら登録しない人が居るのでは? 」


 疑問が出てきたので聞いてみる。

 登録するだけして、戦争があったら参加して。これだけでは受ける側のメリットがない。これでは誰も登録しないだろう。


「それは大丈夫だ。高い魔法使いという事は、大体半分くらいの人が冒険者なんだ。だから、冒険者ギルドを利用したりする際に特典が付く。

 身分証の変わりにもなるんだ。

 そして、冒険者ギルドで無くとも、一部の生活の場で特典が付くんだ。それに、一応登録の義務があるからね」


 と言った。

 それならば登録しない人は居ないだろう


「何がともあれ、登録には明日行こうか」

「はい。大丈夫だと思います」


 そう僕が言うと、よし。と頷きながら、


「決まりだな」


 と言った。


 それから僕たちは、明日の詳しい待ち合わせ時間等を決め、その日は別れた。






 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






 翌朝。


 約束していた通り、僕たちは第四の門の前で集合していた。


 王城には、四段階の警備レベルがある。


 国の機関が集まる、第一の門を越えた所にあるレベル一。

 謁見の間等がある、もう少し警戒が厳しい、第二の門の先にあるレベル二。

 普通の貴族が出入り出来る最高の場所で、王国議会など、重要な施設が集まるレベル三。

 そして、許可された、一部の者しか立ち入る事が出来ない王族が生活する間がある警備レベルMAXの第四の門の先のレベル四。


 その最高レベルの警備の入口、第四の門の前で集合していた。




「お、来たか」


 僕が着いた時にはもうニルムさんは門の前で待っていた。


「すみません。遅れましたか? 」


 時間には気を付けていた筈だが、広い王城を移動している時に知らずの内に遅れていたのかと心配した。


 しかし、その心配は取り越し苦労だった様で、


「いいや、まだ約束の時間の十分前だよ」

「ふう。なら良かったです」


 普段からいつも時間を気にしていた事もあり、ちゃんと時間より前に着くことが出来た様だ。


「しかし、ルイスはアーノルドとは違うなぁ……」

「ん……? 父様とは違うんですか? 」


 腕を組んで、うんうん、と頷きながら思い出すようにしみじみと言った。


「アーノルドは全然時間を守らなかったなぁ……」

「へぇ……」

「まあ、リーズさんは真面目だったがな」


 さすがしっかりものの母様。


「それはともかく、行こうか」


 そんな言葉に、今日の予定を思い出すと、頷いた。


 近衛騎士のチェックを、事前に父様から貰った特殊なネックレスで通りすぎると、次の第三の門へと歩き出した。




「ところで、魔法協会が何処にあるか知っているか? 」


 と聞かれたので、


「いいえ。レベル一の所ですか? 」


 と、正直に答えた。

 しかし、僕の予想とは全く別の答えが返ってきた。


「いいや、そこにもあるんだが、あくまで小さな支部なんだ。本部は街の中にあるよ。どこの役所も王城の外に本部があるんだ。もしもの時の為に王城の中に構えているだけなんだ」


 えっ? と、僕はニルムさんに聞き返した。

 今、王城の外って言った?


「王城の外……ですか? 」


 すると、ニルムさんは驚いた顔をして答えてくれた。


「そうだよ。それも、立派な建物がな。

 ん? もしかして、王城の敷地の外に出るのは初めてかい? 」

「は、はい」


 そうだったのか…………これでやっと昨日の謎が解けた。


 昨日、ニルムさんと別れた後、ニルムさんの伝言を父様に伝えた時、


『そうかそうか。じゃあ、これで何か好きなものを買って来なさい』


 と言われ、金貨を幾つか渡された。

 なんでおこずかいを? と思ったが、王城の外に出るなら納得だ。

 初めて街に出るのなら、好きなものを買ってみなさい、という事だろう。




 そして、会話しながら歩き続けること数十分。

 いよいよ、第一の門の前までやって来た。



ここまでお読み頂き、ありがとうございます!


次回はいよいよ、異世界の街の登場です!!



ブクマ、ご感想、ありがとうございます!


そしてそして、5100PVを突破しました。ありがとうございます!!

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