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オタク議員の異世界転生~異世界政治は難しい~  作者: 五月雨葉月
プロローグ 4月~出合いと別れの季節~
2/62

第二話 駅からの帰り道

こんにちは。五月雨葉月です。


第二話です!

またお読み頂き、嬉しいです。


では、今話も、よろしくお願い致します!

 


「何か他に用事はある? 」


 三月が着いたばかりの祈に気をつかって聞いた。


「ん~ん、ないよ。早くミキと帰りたい」


 その言葉に、三月は照れたように頬を小指で軽く掻き、 こほん、と咳払いしてこう言った。


「僕もだよ、祈」


 二人はじっと見つめ会い、ゆっくりと、少しずつ顔を近づけた。それぞれの息づかいが聞こえてくるような、とても近い距離まで近づくと、三月がぐっ、と一気に顔を寄せ 、祈の唇にそっと自分の唇を触れさせた。 そして祈の体をきゅっ、と抱き寄せた。祈も三月を抱きしめる。


「ちゅっ♪ ちゅぅぅぅっ、っはぁ……んっ」


 甘くてとろけそうな感覚と共に、いとおしさを感じた。 そして、長いようで短いキスが終わり、すぐさっきまで触れあっていた唇に切なさが込み上げてきた。 そして祈が、


「もうおわり? 」


 と、お互い抱き合ったまま上目使いで三月を見つめる。 三月の方が若干背が高く、三月の見る角度からは、上目使いをする祈は最高に可愛く見えるのだった。


「今度は祈からって……ん」


 三月の言葉が終わる事も待たず、祈は三月にキスをした 。


「ちゅぅぅ、ちゅ……はぁはぁ、ちゅぅぅぅぅう♪」


 三月は、唇をふれ合わせている祈を優しく見つめると、目をつむって、祈の可愛い口の中に、自分の舌をそっと入れ る。


「ちゅぅっ。 !?むぐっ……んっ……みちゅきぃ…………はぁ、んんっ」


 接している唇と唇の中と互いの口、その小さな空間で二人 の舌は情熱的に求め合っていた。


 そして唇を離し、二人は見つめ会いながらそっとはなれる と、


「祈」

「なぁに、ミキ」

「大好き」


 三月のその言葉を、満面の笑みで聞いた祈は、思いっきり三月に抱きついた。その勢いが思ったより強く、三月は少しよろめいた。


「おっと…………」

「わたしも、ミキのこと、大好きよ」

「祈」

「ミキ」


 短く互いの名前を呼びあった二人は、またも互いの顔を近づけ、 キスを………………………………することが出来なかった。


「ん? 」

「どうしたの? ミキ」

「いや、妙に注目されている気がして……」


 そう。あまりにも情熱的なキスを続けていたせいで、周りの注目を集めてしまっていたのである。


 まだまだ帰宅途中のサラリーマンやOLが多い時間帯、 そこそこ人の多い駅のなかでイチャイチャしている二人を、もう誰もが見ていた。


 サラリーマンは殺気の籠った嫉妬の眼差しで三月を射殺すかのごとく睨み、OLは祈を羨ましげに見ていた。


「きゃっ、本当……ミキ……」

「そうだね。行こうか……」


 恥ずかしがる祈は、ミキの右腕にそっと隠れるように抱きついた。 祈が恥ずかしい時についやってしまうクセだ。


 その事を理解している三月は、これ以上祈が恥ずかしがら ないよう、その場を離れようとする。


 そしてその様子も周りに見られており、たまたま居合わせ二人の様子を見ていた女子高生が、顔を真っ赤にして二 人が見ないように、両手で顔を覆っていた。しかし、その 友達だろうか。同じ制服のこれまた顔を赤くさせた女子高 生に、いやあんたそれ隠れてないじゃん、と突っ込まれていた。両手の指の隙間はしっかりと空いていたのである。


 二人は周囲の目から逃れるようにして駅を後にした。 もちろん祈は三月に抱きついたままだった。


 駅から歩くこと数分、桜の並木がある大通りまでやってきた。 二人は相変わらずくっついたまま、三月が祈の話を聞く形で会話をしながら歩いていた。


 三月が駅へ向かった時の、半分近い速さで二人は歩いて いたが、一緒に居られる幸せが、時間を忘れさせた。


 二人はさらに歩を進め、緩やかなカーブにやってきた。

 駅から二人の家へ向かうときは、坂を上る形になる。


「ここの桜もほとんど散っちゃったね……」

「そうだね。見に来る人も少なくなったね」

「ミキと桜を見ることは、最近あんまりなくなっちゃった 」

「ごめん……」

「ううん、二人とも忙しいから仕方がないよ。また来年、 二人で見に来よう? 」

「そうしようか。一年後のデートの予定も決まったね」


 そんな他愛のない話をしていた、その時。


 三月は緩やかな坂の上からやってくる、猛スピードで小刻みに蛇行しながら下り降りるトラックの姿を見つけた。


(危ないなあ……)


 祈は、三月と喋っていて気づいておらず、また、危ないなと思いながらも三月は祈との会話を再開した。


 しかし数秒後。


 視線を前に戻した三月が見たもの、それは、カーブであるはずなのに、真っ直ぐ猛スピードで自分達に向かってくるトラックの姿だった。


 三月は自分の見たものが信じられなかった。 しかし、何もせずに見ていることは出来なかった。 何せ、自分達に向かってくるのだから。


 意識した瞬間、咄嗟に三月がとった行動は、さしていた 傘を投げ捨て 、思いっきり祈を抱き締めて、自分の背を迫りくるトラ ックに向ける事だった。


 何より大切な祈を守ろう、その一心で体が動いたのだ。


 突然の三月の行動に、トラックが見えていなかった祈は戸惑った。


「きゃぁっ、ミキ、こんなところで何をっ………………えっ? 」


 三月にいきなり抱きつかれたことで動転した直後、祈が見たものは、 自分達のすぐ、祈から見るとすぐ目の前にいる巨大なト ラックのフロント部分と、真っ青になり気を失ったドライバーの姿だった。


 次の瞬間、二人を襲ったのは、突然の浮遊感と、声も出ないような全身を突き刺すような傷み。 直後の、ドンッと地面に打ち付けられる感覚は、既に感 じている痛みのせいで感じることは出来なかった。


 二人が、トラックにかれた、と理解するのに時間は必要なかった。







ここまでお読み頂き、ありがとうございました!


まだまだ続きます。

物語はまだ始まってもいません。


次話の前に、少し登場人物の紹介(現時点)をしたいので、第三話の前に、登場人物紹介を入れさせて頂きます。


投稿時間は、午後6時に予約投稿を設定しています。

第三話は、午後9 時になります。


ブクマ、ご感想、ありがとうございます!

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小説家になろう 勝手にランキングとは、めい様が作成したおよそ45万作品が登録されている、とても大きな非公式ランキングサイトで、作品に設置して読み手の方がクリックする事で点数が入るシステムで────」 「もうっ、また始まった。……良かったら投票してくださいね?」
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