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第十五話 魔法呪文集

こんばんは。五月雨葉月です。


いつもお読み頂きほ本当にありがとうございます!

 しばらくして、日没がやって来た。日本と何ら変わらぬ夕暮れを見ながら、ニルムさんに新たに教わった魔法をひたすら試していた。


 練習、ではなく試す、という言葉の通り、ニルムさんが思い付く限りの様々な属性の魔法を使い、その呪文を覚える、という単純な作業だ。

 ただ覚えるだけなら楽な物だが、一度使えば殆ど出来る事が分かったので、ニルムさんに一時間に五十近くもの魔法を何時間もひたすら使わされた。

 その間に使った魔法は膨大な量だった。


 その全てを覚え切った僕は、軽く頭を休める為にニルムさんに教わった瞬間取り寄せセントフォア・モーメントで椅子を取り寄せると、そこに座って休んでいた。


「お疲れさん」


 ニルムさんに声を掛けられた。


「ありがとうございます。でも、楽しいです」


 思った事をそのまま伝えると、ニルムさんがとても嬉しそうな顔をしていた。


「そうか、そうかそうか! 」

「はい。それに、元々魔法を使いたいと言ったのは僕なので、一生懸命やらないと」


 すると、ニルムさんが、きょとん、とした顔になった。

 しかし、直ぐにはははは!! と笑った。


「面白い奴だな! うちの連中よりも教えがいがある」


 と言ってきた。

 そんなに凄かったのか……と、体の年齢に似合わない頑張りように反省しつつ、明日からも頑張ろう、と自分に言い聞かせた。


「よし、すっかり日も暮れてきたし、そろそろ帰るか」


 気づけば、赤かった空も、星が輝く綺麗で幻想的な星空へ変わっていた。

 星の位置や、この世界での星座の形は違うものの、夜に見れる星の美しい夜空はどこで見ても格別だった。


(こんなに綺麗な星空。そう言えば、祈と山にドライブで行ったときにも見たなぁ…………)


 もはや昔とも言えるほど年月が経っても、この世界で生まれてからも片時も頭の隅で想いを寄せる、大切な恋人との忘れられない大切な記憶だ。


「はい。もうくたくたですよ」


 そう返事をしながら、先に少し歩き出していたニルムさんに向かって駆け出した。








 ********************








「綺麗な星空…………」


 ルイスが星空を見ていたのと全く同じ時間。

 王都シスタリアの郊外に建つ大きな屋敷の大きな庭園。

 その一角にある、透明で澄んだ水が張った湖のような大きな池。


 その脇に広がる、広大な原っぱ。

 その中で、少し盛り上がった小さな丘のような所の頂上に寝転がる小さな少女がいた。


 そしてその少女は、その小さな左腕を真っ直ぐに星空へ伸ばし、しばらくそのままでじっ、と星の海を見つめていた。


 何時がたっただろう。少女は、伸ばしていた手を軽く何かを掴むようににぎり、腕を自分の胸の前へ持ってきて、軽く乗せた。


 そのままの状態で少女は目を閉じ、生まれてからずっと、片時も忘れられない大切な恋人の姿を想い描いた。


 そしてその恋人の名を呼ぶ。


「三月…………」


 と。








 ********************









 翌日。


 朝起きて、昨夜から読み始めた、昨日ニルムさんと別れる時に渡された読みかけの上級(ミアス)魔法呪文集、最上(デュアス)級魔法呪文集を開き、呪文とその内容を頭に叩き込んでいた。


 ニルムさんによると、昨日のうちにあらかたの初級魔法(ロアス・マジック)中級魔法(トアス・マジック)を使いきったそうで、あとはもっと難しい物だけだ、と何百ページあるか分からない本を二冊、瞬間取り寄せセントフォア・モーメントで持ってくると、印刷技術の発達していないこの世界では貴重な本、それも金で装飾されたカバーの古めかしく怪しいものを渡された。


 持とうとしたが、子供の体では持ち上がらず、やむ無く覚えたての浮遊魔法(フローティング)を使って部屋まで運んだ。


 そして、そこでそわそわしながら待っていた父と、父から聞かされたのであろう、嬉しそうに待ち構えた母に抱きつかれた。


 よほど自分達の子供が凄い魔法を使えることが嬉しかったのだろう。


 ニルムさんとやってきた事を話し、質問攻めに逢いながら、どうにか離脱した僕は、部屋のベッドで貰った本を広げていた。


 その後やって来た父と母が、僕の読んでいた本を見ると、とても驚いたように、興奮しながら聞いてきた。


『この本はどうしたんだい!? 』

『ニルムさんから貸してもらいました。初級魔法(ロアス・マジック)中級魔法(トアス・マジック)はもう良いから、これを見て覚えて来なさい、って』


 それを聞いてますます興奮した父は、なぜこんなに興奮しているんだろう、と疑問符が浮かんでいる僕に事情を説明してくれた。


『これはね、ルイスも知っている、ダニエル・テールズの書いた、世界に現存する、数冊の直伝の呪文集のうちの一つだと言われている。うちの国ではニルムの持つこれらと、あとの二つだけなんだ』


 その後の説明を母が続ける。


『この呪文集はね、そのレベルの全ての魔法が載っているの。さらに驚いた事に、この本を読む人によって書いてある呪文の種類が違うのよ。

 この本自体がなんらかの魔法を持っていて、読む人の魔力と適正を図って、その人に合った魔法を標示してくれるの。

 だから、普段上級魔法(ミアス・マジック)のうちの少ししか使えないから、私が見れる呪文は限られてくるのよ。最上級魔法(デュアス・マジック)に至っては全く読めない。

 でも、ルイスならもっとたくさんの呪文が読める筈だわ』


 しかし、それだけではなぜそんなに興奮するのかは分からない。


 それを聞くと、父が


『さっきも言った通り、世界でも数少なく、持っていない国の方が多いんだ。だから、それを他国に奪われないように秘密にする。そのせいで、国の中でもおおっぴらに出来ない。これは分かるだろう? 』


 と言ったので頷く。


『だからこれを使える機会は少なくなるし、使わせる機会も少なくなる訳だ。普段はニルムの無限収納に仕舞われていて、滅多に見ないんだよ。私たちも数回読んだだけだ』


 そんなに貴重な本だとは知らなかった。

 しかし、それより気になるのは、ニルムさんの無限収納だ。


 そんな事を思い出しながら、今日会ったら聞いてみよう、と思い、丁度一段落ついた所で朝食に呼ばれた。


 本を閉じ、ベッドに置いて、いつも通り隣の部屋に向かった。

ここまでお読み頂き、ありがとうごさいます。


魔法をメインに置いた章も、いよいよ終盤です。


自分的にはさっさと飛ばして、簡単にプロット通り書いて、成長した後の冒険を書きたい(政治はどこへ行った……)のですが、まだまだ修行が足りないので、もっと上手く長く書くためにだらだらと続けて行きたいです←


さて、途中でなんだか懐かしい人物が出てきましたね。


これからもこの少女の出番は徐々に増えて参りますので、お楽しみに!


では、また来週。


ご感想、ブクマ、ありがとうごさいます!

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