第十一話 魔法の適正
こんばんは、五月雨葉月です。
まさかの予約投稿設定をミスってしまいまして、投稿が遅れました。
申し訳ありません。
魔法の属性の適正を調べると言っても、現代の血液検査などの様に、血を調べるわけでは無いらしい。
魔法を使うための魔力は、血液とは違うものの、量に関係なく血液と同じように全身を巡っているため、その存在を関知することは容易い。
様は、その魔力を検査し、その魔力に合った、つまり使いやすい魔法の属性を調べるというものである。
属性によって例外はあるものの、適正検査で、合っていない、という結果であった属性の魔法でも、 理論的には 使用することが出来る、らしい。ただ、適正があろうが無かろうが、当人の素質次第とも言えるものが魔法である。
魔法は精霊の王の力を借りているそうであるため、水・火・風・地・光・闇・太陽・月の八属性を主に成り立っている。
一般的に、一人に適正が有ると言われている属性は二~三個ほどだが、光の上位存在である太陽、闇の上位存在である月は、相当の実力や才能を持っていないと適正が現れないそうなので、事実上六分の三、つまり確率としては半魔法属性の分の適正があ現れることになる。
僕としては魔法が使えれば何でも良いので、特にこれと言ったこだわりは無い。ましてや属性と言われても、ただ魔法を使いたいだけであるので問題は無い。
父と僕は、国の筆頭魔法使いに会うため、王城の大理石で出来た廊下を、手を繋いでゆっくりと歩いていた。
「ルイスはどんな魔法の適正があると良いのかい?」
と不意に父が聞いてきた。
きっと、あれだけはしゃいでいたのだから、使いたい魔法があるに違いない、と思っているようだ。
ただ、本当にこだわりは無いつもりなので、
「うーん、僕はただ魔法を使ってみたいだけなのです」
と答えると、父に不思議そうな顔をされた。
それはそうだろう。この世界では、日常的に魔法が使われており、魔法に対する憧れや執着が少ないのだ。
「そうか……? 」
理解したような、していないような顔をしながらも、一応は納得したようで、それ以上何も聞いてこなかった。
とても広い王城をノロノロとした足取りで十五分ほど歩き、王城の城門付近までやってきた。
有事の時に攻められたりしても、逃げる時間を確保するために、重要な施設などや、王族の私室など王城の奧に設えられていた。
一方、外周付近には警備関連の施設や、住み込みの使用人の部屋、研究施設などがある。
今僕が居るのが二つの城門を抜けた先の近くにある、軍の魔法使いが普段の生活や修行をするための区画だった。
王城の端に来たところで階段を下り、中庭に面したある部屋へと二人で入っていった。父が扉を開けると、
「お待ちしておりました」
と部屋の脇で一礼をした男女がいた。ナーガさんと、見慣れない一人の、二十代後半だろうと思われる、若く、ボーイッシュな短い髪の、凛とした、格好良いという言葉が似合う女性だ。
そして、何故かその女性を見た途端に、凛とした身体の中から溢れんばかりの、目に見えない不思議な力を感じた。
「陛下、既にニルム侯爵に話を通してあります」
どうやら、女性は今の代の筆頭魔法使い、いや、筆頭魔女のニルム侯爵で間違いが無いようだ。
以前読んだ文献に載っていた資料に書いてあったが、この人はSSランクという、現時点での世界最高ランクを持つ三人のうちの一人で、三人の中でただ一人の国家に属した魔法使い(魔女)らしい。
「久しぶり、アーノルド」
「おう。あれから調子は大丈夫か? 」
「ええ、お陰さまで」
父とニルム侯爵の会話から、そこそこ親交のある友人であろう、という考えが浮かんできた。
そうでなければ、王である父を名前で読んだりしない。
そう考えればこの国に留まっている理由が解らない。
また、口調や振る舞いから、男らしい。
他の二人のSSランクは、いつどこに現れるか解らず、いつも見つけた、と思ったら直ぐにどっかへ消えてしまう様だった。
「早速で悪いが、息子の適正を調べて欲しいんだ」
と父が言う。
既に先程話を通してある、とナーガさんが言ってはいたが、念のためだ。
「ええ。聞いている。ルイス? 様だったっけ? 凄い魔力だね…………」
急にニルム侯爵が驚くべき事を言ってきた。
「うーん、これだと練習をすれば私よりも凄い魔法使いになるよ。適正も良さそうだから」
「ふーん、そうなのか。……………………はぁっ!? いいいい今何て言った? 君よりももっと!? 」
「ああ。私は嘘は言わないよ? 」
「それは知っているが……」
「まあ、聞いて信じられなければ、見て信じろ」
「お、おう。…………本当かなぁ……むむむ……」
「聞こえてるぞ」
「うげっ、何でもない、何でもないからな! そ、それより手早く頼む」
「はぁ……相変わらずだな。まあいい。ルイス、と呼んで良いかい? 」
自分の魔力が凄い多いことを知り、ずっと呆けていた僕は、急に呼ばれて、思わず声が上ずった。
「はっ、はい! もちろんです! 」
「緊張しているのか? 本当に父親そっくりだな。アーノルドとリーズと私で五歳の頃、適正検査を受けに行ったとき、アーノルドは緊張して――」
「おっとそれ以上は言わせないぞ。ささ、ルイス、あっちの部屋で検査を受けてきなさい」
何か気になる事をニルムさんが言ったが、聞かなかった事にして、ニルムさんと隣の部屋に入っていった。父も一緒である。
また変な事をルイスに吹き込まれたら困る! と、付いてきたのだ。元々適正を見るために一緒に入るつもりだったようだが。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます!
魔法、と言いながら全然魔法が出てこなかった今回でございます。
次回こそは魔法、出ます!
ブクマ、ご感想、ありがとうございます!




