【17.5】ヒイラギ君のお勉強
ぶっちゃけ、わけがわからない。
だってそうだろう。SFだぞ、SF。
そりゃ普段からSFに親しんでいる人はいいよ。でも俺はファンタジー派!
なのに、これってどういう事よって思いながら、この船での滞在時間は40時間を回っている……らしい。
この船はスターシップと呼ばれる星間連絡船で、定期運行される全く持って珍しくも何ともない普通の移動手段らしい。ムクさんの話しっぷりからすると、多分高速バスくらいのレア度。
俺はあれだ、サービスエリアみたいなところで貨物室を開けたら入ってた無賃乗車男だ。
仕方なく目的地には運んでくれるらしいけれど、運賃を支払う事と会社のルールに従う事っていう約束をさせられた。
働かざるもの喰うべからず。
そんなルールの敷かれているこの船で、俺に与えられた役割は体力をちまちま削って船にお渡しするという、燃料ポジションだった。
まあ良い。これは良いよ。
ファンタジー世界に行きたかったってのは、今後もきっと言うけれど、今はとりあえず置いておいて。
一番はアレだよ。
食事。
まじペ○ングとか、マッ○とかが恋しくなる。どっちも普段はあまり食べてないのに、こんなときにこそ欲しくなる。
それから娯楽!
この船にはジムはあるしなんか曲を聞く機械はあるけど、映画をみたりするチャンスが無い。
そもそも映像娯楽があるのかすら怪しい。
同僚の推定Fカップ美少女と、萌え声のオペレーションシステムを持つマイ戦闘機に文句は無いけどさ。
もうちょっと、もうちょっとさあ……
とりあえず備忘録ってことで
マッチョ:ムクさん
黒マッチョ:リオン
委員会の人たちは結構いい人だった気がする。
俺は、なんとか弄れるようになったタブレットを操作しながら、そんな事を書き連ねた。
俺の知っているローマ字より3文字ほど増えたアルファベットしか打てないので、アルファベット習いたての小学生みたいに、とりあえず日本語の音で読めるようにタイプする。
盛大なため息がもれる。
せめてビール。いや、本当にせめてコーヒーがあれば……
「そういや、コーヒー豆が無くてもなんか違う植物からコーヒーって作れなかったっけ。流石にステーションとやらついたら植物くらいは手に入るだろ」
俺は春先の黄色い花を思い浮かべながらタブレットをベッドの上に放り投げた。
自らもその傍らにダイブする。
寄港地まであと何日あるのだろうか。
気の重さでまぶたも重くなってくる。




