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コンラン

これは、

http://celestie.info/

このホラーサウンドノベルを文章化したものです。

一日に一話づつ、最終的に起承転結の起の部分まであげる予定です。

読んで内容が気になった方は、フリーですのでゲームをプレイしてみてくださいm(_ _)m

では、本編をどうぞ。



「なんで、開かねぇんだよッ!?」


「ちょっと、何やってんのッ!?」


 ガンッ、と昇降口の扉を乱暴に殴りつける江藤敬吾。

 七瀬愛梨は苛立ち混じりの声を抑え、更に扉を殴ろうとしていた江藤敬吾を慌てて止めに入る。

 廊下に大きく反響する衝撃音を、七瀬愛梨は舌打ち混じりで聞いた。


「いいっ? 私達は、見つかるとマズイのッ! 理解してるッ? その上で器物破損とか、停学もありえるのよッ?」


 七瀬愛梨は警備員に見つかっていないか周囲の気配を探りながら小さな声で、しかしキツく言い募る。

 学校という場所の都合上、監視カメラはない筈……。

 だが、こんなに騒いでいたら、見つけてくれと言っているようなものだ。

 運が良かったのか、耳を澄ますも見つかった気配はない。

 ほっと安堵して、江藤敬吾をキッと睨みつける。


「もうこんなバカな真似は止めて」


「……ッ。だってよぉ、おかしいじゃねぇか、こんなの……」


 頭に登った熱が少しは冷えたのか、今度は気弱そうに言う。


「……特殊な警備システムかもしれないわ。未成年が通う、学校という場所の都合上、監視カメラはつけにくい。だから泥棒が紛れ込んだ時の為の逃がさない処置、かもしれない。これが普通なのよ」


 言ってて無茶苦茶すぎると七瀬愛梨は自覚しつつも、取りあえず理由をでっち上げる。

 人間というのは精神的に弱っている時、考える事を放棄して、第三者から与えられる自分に都合の言い解釈を無条件に信じたがる傾向がある。

 おそらく、この三人はその典型。

 下手に騒がれては厄介なので、頭の悪い理屈と理解っていても口にした。


「だ、だよな~。そういう事もあるかもしんねえよな! ほら、江藤! 違う出口探そうぜ!」


「……ぁ? ああ」


 高槻晶が場をとりなすように明るく言って、江藤敬吾の肩をぽん、と軽く叩いた。

 江藤敬吾は納得がいかないといった顔つきをするも、取りあえずは落ち着いたようで、小さく首肯した。


「それで? どっから出るんだ?」


 江藤敬吾が七瀬愛梨に顔を向ける。

 高槻晶も、宮月美弥でさえ、七瀬愛梨を見ていた。

 七瀬愛梨は内心で重い息を吐いた。


「体育館に行きましょう。横にある鉄扉の一つが、壊れてるでしょ? 今は南京錠で無理に閉めてるけど、部活の関係でその鍵を持ってる。あそこの鍵なら校舎に関係ないし、開くと思う」


 七瀬愛梨は、制服の内側に入れたままの鍵を取り出してチャラリと振って見せる。

 これから先の指針が示され、心理的な余裕ができたのか、三人の顔が少し明るくなった。


「じゃあ、早速行こうぜ」


 高槻晶が意気揚々と先頭に立って歩き出そうとした、その時、


「あ、あの……」


 小さく宮月美弥が声を上げた。

 つと、皆の視線が宮月美弥に集まる。


「どうしたの、宮月?」


 七瀬愛梨は訝しげに声を掛けた。


「その前に、ちょっとその……。トイレに寄って貰っても……いい、かな……?」


 もじもじと軽く内股気味で、宮月美弥が消え入りそうに言う。

 七瀬愛梨は溜め息混じりで答えた。


「アンタねぇ……。今がどういう状況だか、解ってる?」


「ぅっ。ごめん……」


 すまなそうに、必要以上に縮こまって謝る宮月美弥を見て……まるで自分が虐めているような錯覚を覚え、七瀬愛梨の心に妙な罪悪感が生まれた。


「……まあ、いいわ。トイレくらい大した手間でもないしね。アンタ達も別にいいでしょ?」


 七瀬愛梨は男二人に視線を向ける。


「それくらいなら」


「まぁ、いいけどよ……」


 顔を見合わせて頷く男二人を確認して、七瀬愛梨は頭の中でトイレと体育館のルートを思い描く。

 可能な限り警備員との接触を避ける為、教職員用のトイレを除外して、最短ルートを思い浮かべた。

 ……まあ、丁度良いと言えば、丁度良かった。

 尿意はないけど、さっき噛み切ってしまった唇の具合を確認したかったから、トイレにある大きな鏡は都合がいい。

 意識すると染みるように痛む唇を軽く押さえ、七瀬愛梨は三人を引き連れて、まずはトイレへと向かった。


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