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apricot fizz  作者: 高浦
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ツンデレ娘と情緒不安定さん

「本当どうしようもねぇよなぁ、お前は」



「はいはい」




薄くニヤつきながら彼女を罵倒した。


自分は呑んだ時はいつもこうだ。

だが彼女は、そんな自分に反論する事なく、呆れながらも受け入れてくれていた。


そんな彼女と居る時間は、誰と居るよりも心地良かった。




「ほーんと、いつも同じ罵倒の仕方だよね。アンタは」




ゆったりとした口調で言うと、ウイスキーを一口呑む彼女。

その仕草がまた愛おしくて、頬がほころんだ。




「…何ニヤニヤしてんの」




こちらが見詰めているのに気が付いたらしく、怪訝そうな目で睨まれてしまう。


それすらも可愛らしい、と思ってしまう自分は重症なのだろうか。




「相変わらず可愛げねぇな、って思ってただけ」




本心を悟られぬ様、外方を向きながらウイスキーを口にした。


幸い誤魔化せた様だが、彼女に不満げな顔をさせてしまった。

怒らせてしまっただろうか、と不安に駆られる。




「…最っ低

アンタ…よく女の子にモテるよね。本性知ったら絶対愛想尽かされるよ」



「この前も言っただろ、別にアイツらは好きじゃねーって」




この前というのは2月14日、つまりバレンタインデーの事だ。


自分は酒に強い方なのだが、あの日は珍しく酷い酔い方をしてしまい、あんな事態となった。

あの後は当然ながら妙な空気になってしまい、酔いがさめてから悶えた。後悔でいっぱいだった。


だが、その後から彼女に「泊めろ」と言われ始め、毎晩の様に呑んでいた。

いい事の様にも思えるが、自分の中には焦りが生まれていった。




「ふーん…」




半信半疑な返答をされる。



―そう、自分はまだ彼女に想いを告げていない。その為、必然的に彼女の想いも知らない。


この想いは一方的なものなのでは?自分は彼女に男として意識されていないのでは?

そもそも嫌われているのでは?

と、あの日からずっと、勝手な妄想を繰り広げていた。




「…あのさ」




はぁ、と溜め息をつくと、真剣な面持ちで遠くを見詰める彼女。

嫌な予感がした。




「もう、終わらせない?」




―嗚呼、やはりか。


いつかはそう言われる気がしていた。いつかはこうなる気がしていた。

そりゃあそうだ、いつまでも都合の良い関係を続けていられる訳が無い。

分かっていたはずだ。


そもそも、あの時あんな事をした時点で嫌われて当然じゃないか。

自業自得だ。


頭の中で自分に言い聞かせる。


だが、心は現実を受け入れられない様で、苦しさが増した。

涙ぐみそうになり、唇を噛み締める。




「…何で?」




やっとの事で絞り出したのは、そんな女々しい言葉だった。


それを聞いた彼女は、表情一つ変えずに此方を見詰める。




「だってさ、アンタ私の事好きなんでしょ?」



「…はぁ?」




突拍子もない発言に、目を白黒させる。




「いや、私の事好きなんでしょ?

だからこんな…曖昧な関係やめてはっきりさせようよ。その方が良いでしょ」



「は…いや、どういう…」




「あー…もう!本当鈍感だな…」




未だに理解出来ずぽかんとしたままの自分を見て、彼女は決まりの悪そうな顔をする。


唸りながら俯きがちになり、額を抑える彼女は、些か顔が赤かった気がした。




「…愛してる、って言えば分かりますか」





その言葉を聞いて、また唇を噛み締めた。

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