好きな人は素直じゃなかった
女「ぶっちゃけ、その好きな人って誰よ?」
男「あ…今の流れそんなに嫌だった?」
女「正直寒気したね。いや、それよりも─」
男「なんつーか、あれだよね。ちょっと乗ってあげた結果降りれなくなっちゃった的な。」
女「いや、だから、結局誰なの─」
男「しかし、『冗談のような関係』ねえ…。何と無く分かる気もするけど、よくよく考えるとそれってお前が─」
女「いい加減にしないとアレダヨ?」
男「まあ、落ち着け。ちゃんと話は聞いてる。えと、俺が好きな人ってぶっちゃけ誰なのかって話だったな。」
女「そそ。意外に素直じゃん。」
男「答えたくないね。」
女「素直じゃなかった。」
男「恋の悩みというが、これは俺の気持ちの問題。相手が誰かなんて関係ないだろう?ん?」
女「ほんと素直じゃない…っていうか悩み聞いてもらってる人の態度じゃないよね、それ。」
男「そもそも俺が素直な奴だったらこんな相談しない。」
女「…どうして?」
男「好きな人に対して素直になれないのが悩みなんだからな。」
女「なるほど…。でも、好きな人に対して素直になれないって誰でもそうなんじゃない?」
男「そういうもんか…?」
女「まあ、あんたの場合、好きでない人に対しても素直じゃないようだけど。」
男「…ん?…ああ、そうだな。確かに俺が素直になれないのは誰に対してもだ。別にお…好きな人に対してだけじゃない。」
女「やっぱ、そうだよね。すると、これって恋の悩みとは違うんじゃない?」
男「なぜ?」
女「つまりあんたは誰に対しても素直になれない自分の性格に悩んでいるわけで…。」
男「…そういうことになるか。」
女「でしょ?」
男「……いや、やっぱ違うな。俺が素直になれないのは好きな人に対してだけだよ。」
女「…え?そうなの?」
男「ああ。」
女「……あれ?そうなると……それって…」
男「……。」
女「どういうことになるんだろ?」
男「…ほんとお前も素直じゃないよな。」