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だらだら過ごしてるけど能力者ですから  作者: 長月シイタ
第一章 『超能力者』と書いて『一般人』と読む
7/20

7話 邪な風で風邪なんだよねー

「ふぁぁ……もう10時か……寝過ごした」


 昨日龍騎となんやかんやあって家に帰ったあと、普通にゆうと買い物に行って、飯を食って、色々やって寝た。まぁいつも通りなんだけど。

 でも何か違う気が……。


「あ、ゆう(アイツ)が来ない」


 いつもだったら朝いきなり突っ込んでくるか既に布団の中に侵入してるかのどっちかなのに……。とりあえず不思議に思いながら下に降りてみたけどやっぱり誰もいない。


「? 自分の部屋かな……」


 もう一回上にあがって俺の部屋の隣の部屋に入る。一応ノックはする。

 中は構造は俺の部屋と同じなんだが、カーペットが薄いピンクだったり可愛い羊のぬいぐるみが置いてあったりで俺の部屋とは随分雰囲気が違う。


「いんのかゆう?」

「けほ……お兄ちゃん……?」


 けほ?


「お前まさか、具合悪いのか?」

「う、ううん! ぜーんぜん大丈夫だよっ!」

「おま、顔真っ赤じゃねぇか!」


 布団から起き上がったゆうの顔は全体的に真っ赤になっており、息も上がっていて目も焦点があってない。


「だ、だからこれはお兄ちゃんへの愛で……けほっけほっ!」

「バカ言ってねぇでさっさと寝てろ!」


 ゆうをベッドに戻して布団をかけ直す。

 まったく……ほんっとこんな時でも揺るがないよなこいつは……。


「けほっ……ごめんねお兄ちゃん……」

「謝ってる暇あったらさっさと治せ。なんか食えるか?」

「ううん、今は大丈夫……ありがとお兄ちゃん……」

「そっか……」


 そういえば昨日もなんか顔赤かったな……。ていうか顔が赤いってことは熱があるのか? って思いながら熱を計るためにゆうの額におでこに当ててみる。


「ふぁっ!? な、何お兄ちゃんっ!?」

「何って熱計ろうとしたんだけど……?」


 額と額くっつけて熱を測ろうとしたら、ゆうが手をわたわたしながらさらに顔を真っ赤にさせてしまった。

 なんかダメだったか?


「そ、そんなの体温計使えば……」

「あーそれもそうだな。体温計ってどこにあったっけ?」

「あ、え? え、えーっと、下の戸棚……」

「おっけわかった」


 それを聞いて扉を開ける。

 後ろから小さな声で『そう、すぐ戻ってきてね』って聞こえたから早くとってきてやらないと。そう思いながら部屋を出て階段を下りていく。


「……私の、バカ」


 だから部屋を出たあとにゆうがつぶやいた言葉なんて聞こえるはずがなかった。



               ☆☆☆☆☆☆☆☆


「ほら、持ってきたから脇だせ」

「やだお兄ちゃんやらしい……//(スラッシュスラッシュ)

「はいはい、口で//とか言ってもなんも萌えねぇからな」


 手早くツッコミを入れて体温計をゆうの脇に挟み込む。

 いくら科学が進んでといってもいいものはまだまだ高級品だ。そんなもんに金使うなら食費に使うわ食費。


「しばらくそうしてろよ。じゃあ俺は下で粥作ってるから」


 そう言ってもう一回下に行こうとしたら『ま、待って!』と呼び止められてゆうのベッドまで戻ってボスっと座る。


「? どうしたゆう?」

「……えっと、寂しいから一緒にいて……?」


 ……あれ? 俺の妹ってこんなに可愛かったっけ……?


「ねぇ、お兄ちゃん……『わ、わかったからっ! わかったから顔を近づけるのをやめてくれっ!』……?」

 

 くそっ、顔が赤かったりしてなんかいつもより可愛く見えちまう……。って俺のバカ! 自分の妹だぞ! 落ち着け……素数を数えて落ち着くんだ……。素数とは1と自分でしか割れない孤独な数。俺に勇気を与えてくれる……。1.3.5.7.11……あと次は……次は……。


「9の次は11だよ。お兄ちゃん」

「お前ついに心理透視テレパスまで手に入れたのか!?」

「お兄ちゃん途中から声に出してたよ……?」

「嘘だろ!? ど、どこから……?

「『落ち着け……素数を数えて落ち着くんだ……』ってところから……」


 ……あっぶねぇー……。


「と、とりあえずじゃああいつに来てもらうか……」




                ☆☆☆☆☆☆☆





「で、私を呼んだわけ?」

「おう。お前なら料理できるだろ魅咲。よく考えてみたら俺お粥のつくり方とか知らんし」


 そんなわけで呼んだのが隣の家の嫦娥院じょうがいん魅咲みさき(笑)一人暮らしだし料理もそこそこできるから呼んだわけだ。

 隣だし。近いし。


「しょうがないわね……異界の女王(アウトオブクイーン)である私に料理を頼むなど……『でもできるだろ?』……まぁ一応」

「頼んだ。冷蔵庫に入ってる食材ものは何でも使っていいぜ。じゃあ俺は上でゆうの相手してるから」


 そう言い残してさっさと二階に上がる。早く戻ってきてって言われたからな。



「……さて、頑張りましょうか」




 それから数時間後ー。


「んぅ……あれ、いつの間に私寝ちゃってたんだろう……」


 確かお兄ちゃんが出てっちゃったあとすぐに眠くなって寝ちゃった気が……。って思いながら布団をめくろうとすると。


「すー……すー……」


 お兄ちゃんが私のベッドに寄りかかってぐっすり眠っていた。

 多分そばにいるうちに眠くなって寝ちゃったんだろう。本当にテンプレなんだから……。


「お兄ちゃん……」


 顔をあげると、頭から冷えピタがスッと落ちた。 これもお兄ちゃんだなー……いつも貼るのが下手で斜めってたりして何回も貼り直しするから粘着力が弱かったりするんだもん。


「ほんと……不器用なんだから」


 ……すーすー寝息をたてながら気持ち良さそうに寝ているお兄ちゃんの顔見てると、なんかイケナイことしてくなってくるなぁ……。


「ほ、ほっぺにキスくらいいいよね……」


 お兄ちゃんの顔にくちびるをすーっと近づけて。あと3cm……2cm……1cm…………0.5cm……。

 ってとき。


「うぅん……」


 ってお兄ちゃんが寝返りをうったもんで位置がずれちゃっ……!?


「んん……あれ? 起きたのかゆう……。てか俺寝ちまってたんだな……」

「おっ、おにっ……おにいひゃっ!」

「? あ、そうだ。魅咲にお粥つくってもらってたんだっけ。今とってくるからちょっと待ってろ」


 そういうが早いか部屋を出てドタドタと階段を降りていってちゃった……。




 ……ね、寝てたからノーカンだよね……?




              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「ほれーお粥持ってきたぞー」

「あ、うん……ありがとお兄ちゃん……」

「? 俺の顔になんかついてるか?『にゃ、にゃんでもにゃい!!』……?」


 ゆうの熱はほとんど下がったみたいで(顔は真っ赤のまんまだったけど)お粥を食ったあと、魅咲も一緒に色々話して夜まで過ごして久しぶりに二人きりで寝た。

 もちろん魅咲は帰った。えぇ、やましいことなんてこれっぽっちもありませんとも。


 とりあえず次の日。




 当たり前のように隣にゆうが寝ていたことは言うまでもない。


「はぁ……」

「あれ? 今日は怒らないの?」


 体をぎゅ~っと密着させながら聞いてくるゆうの顔はまだなんだか少し赤い気がする。


「……病み上がりだろ……?」

「お兄ちゃん……」


 まぁあと少しぐらいだけはいいかな……っ。


「けほっ」


 え"まさかこれって……感染った……?


「お兄ちゃん?」


 ギ、ギ、ギ、ギと擬音のしそうなぎこちなさで後ろを振り向くとゆうが満面の笑みで。


「看病してあげるからねっ大好きなお兄ちゃんっ♪」


なんか長くなったですよぅ(--;


次回もお楽しみにです♪

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