13話 外食行くとメニューであれこれ迷うけど結局無難なものに落ち着いちゃうよね
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「…………」
現在朝の6時半。いつもの自分だったらまだ是目覚めてすらいない時間だ。考え事をしていたら寝付けなくていつの間にやら朝になっていただけで、別に早起きに目覚めたとかではない。
「……ふわぁ」
若干ぼやっとする頭を抑えながらこの前の事件についてやっているニュースを見ていた。あの時は本当に修羅場だったんだろうけど未だに実感が湧いてこない。今までそれなりに非日常なことは体験してきたつもりだったがあれだけは別格だった。ていうかゆうはいつもあんなことに巻き込まれているのだろうか。
ボケた頭でそんなことを考えていると二回からドタドタとゆうが慌てて下りてくる音が聞こえた。
「ゆうー? どこいくんだ?」
「ちょっとした出勤! こんな朝っぱらから仕事増やしてくれた立てこもり野郎をぶちのめしに行くだけだから!」
ゆうはこうやってたまに事件が起きると、こうやって休日だろうが夏休みだろうがお構いなしに家を飛び出していく。まぁ街の便利屋さん(ブリッツ・スパーク)なんてほぼボランティアみたいなもんだし。
「……ねぇゆうさん?」
「なにお兄ちゃん。一応今急いでるんだけど?」
「俺もついて行っていい?」
「は?」
☆☆☆☆☆☆
「んで? 断れなくて連れてきたと」
「そーいうわけです支部長。別に大丈夫ですよね?」
「そこはまぁ自己責任だけど……それと支部長は君だよね風見」
「本当は苦視先輩がやるはずだったんじゃないですか。……っと兄さん。この人が私の上司の安藤苦視パイセンです」
そんな感じで今までのけものだった俺になんかいきなり話が振られてきた。紹介されたのは肩まで伸びてる手入れされた若干青みがかったきれいな髪と、なんとなくややくたびれた表情の顔をした同世代くらいの若干ボーイッシュな女の子だった。
「どうも。優子の兄の風見緋色です。妹がいつもご迷惑をおかけしております」
「安藤苦視です。あ、こう見えても僕男なんでそこんところよろしくです」
「あ、そうなんですか………………うん?」
「お兄ちゃん……反応遅い。クルミちゃんはちゃんと男の子だよ」
「じゃあ『ちゃん』って付けるのをやめてもらおうか!?」
いやいやいや……目の前のこの可愛い女の子が男の子だって? いやいや……え? だってここ現実だよね……? まさかまさかこの世界にこんな可愛い男の娘が本当に存在していたなんて……!
「お兄ちゃん。若干漏れてる」
「かっ、可愛いとかもう言われ慣れましたし……」
とか言いながら顔染めてるこの子は何。天使か何か? いや、逆に考えるんだこんな可愛い子が女の子のわけがないと……。
とかなんとか悩んでると安藤さんのズボンのポケットからなにやら声が聞こえてきた。
『はいはーい。イチャラブ青春コメディはそのくらいにしてさっさと仕事に戻ってくれないかねー? こっちは一応仕事休んでるんだからささっと仕事戻りたいんだけど』
「うっさい。こっちは今お兄ちゃんとクルミのラブコメ堪能してんだ! 邪魔すんなババァ!」
と思ったらゆうが声に反応して怒鳴りだした。どうやらイヤホンっぽいのを片耳に仕込んでるみたいで左耳に手を当てていた。ていうかちょっと取り乱しただけでラブコメしてたつもりは全くないんだが。
『あ゛ぁ!? テメェ今ババアって言いやがったな!? あたしはまだ二十代だガキィ!!』
「どうせあと数年で三十路だろババァ! こっちは青春を謳歌してんだよ!!」
『それは暗黒の学生時代を過ごしたあたしへのあてつけか! えぇ!?』
「お前のは自業自得だろこのニート!」
「はいはい二人共集中して。風見、峯岸の言うとおりここは仕事に集中しよう。あと僕はら、ラブコメしてたつもりなんて全くないから」
「チッ……はいはいわかりましたよーだ。私だってさっさと終わらせて二度寝したいからね」
『学生はいいご身分ですこと』
「なんか言ったかババァ」
仲悪すぎるだろこいつら。多分この人達がゆうのチームなんだろうけど……色々大丈夫なのか心配になってきた。……いや、ゆうだって結構前からこういうことやってるはずなんだきっと大丈夫なんだろう。
「それじゃあ深山が戻ってき次第作戦を伝えるそれまで各自準備して待機」
「私が突っ込んで犯人ぶちのめしてくればいいんじゃない?」
「……頼むからやめてくれ」
「アイアイサー」
……果てしなく心配だった。
これでも一応日常回枠です←
ホントはもう少し考えてのほほんとした日常回にしたかったけどとある人に脅されて仕方なく繰り上げましたハイ←
まぁそうでもされないとまた遅くなってたかもしれないですしね。
それではまた近いうちに(できたら)次話あげますので