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だらだら過ごしてるけど能力者ですから  作者: 長月シイタ
第二章 そして物語は動き出す
11/20

11話 突拍子もないことって逆に頭が追いつかないよね

「捕まえた三人のうち二人が輸送中に襲撃されて殺された」


 昨日ゆうから聞いたそのことがずっと頭から離れなかった。別に知り合いでもなんでもなかった奴らだけど、知ってる人が殺されるというのは複雑な気分にさせた。


「あいつらが、ねぇ……」




 セミがうるさい木に囲まれた遊歩道を気晴らしに散歩をしてると、憎たらしい微笑を浮かべている悪友に会った。


「よ、相変わらず悩んでるな主人公」

「……うっせーな恭介。それに俺は主人公なんて器じゃねーよ」

 

 そっちこそ相変わらず心の中見透かしたようなこと言いやがって、と言ってやろうかと思ったがそれを言うと認めたことと同じになるので慌てて口を閉じる。


「言っておくが表情で読め読めだからな? 顔に書いてあるからな?」

「…………」

「まぁまぁ。どうせお前のことだから『あいつらが死んだのか……死んだってことはもう会えないってことなんだよなぁ……当たり前だけど』とか考えているんだろう」


 その通りだった。


「図星か。まぁ気晴らしにどっか行かないかと思って誘いに来たんだがな。どうだ?」

「うーん……」

「この前言ってたアニメのブルーレイ買ってやるぞ」

「じゃあ行くわ」




                 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 そんなこんなで来たのが第2区。総合デパートやファッションビルが立ち並ぶなんでもござれの商業区だ。今日も夏休みのせいもあってか大勢の人が溢れかえっていて蒸し暑い。


「だぁぁ……暑い……」

「やはり人混みは気が滅入るな。まぁもうすぐで目的地だから少しの我慢だ」

「心頭滅却すれば火もまたなんとやらぁ……」

「それは『涼し』よりなんとやらの方が文字数が多くて略す意味などないのではないか? とでもつっこんでほしいのか?」

「ややこしい言い方すんなめんどくさい」


 とまぁそんなどうでもいいことをしゃべりながら数分。前を歩ていた恭介が立ち止まった。


「あ、ここ? アニメ○トじゃないのかよ?」

「実は俺も用事があってな。お前はそのついでだ」

「そういうことかよ……」


 着いたのはいまなうでやんぐな若い衆(俺もだが)に人気のデパートだった。

 デパ地下や色々なブランド洋品店。電気屋にレストラン。果てには店のどこかで闇市まで開かれているという噂まであるのなんでもござれな百貨店である。


「で、恭介は何を買いに来たんだ?」

「HI☆MI☆TU」

「うぜぇ」

「はっは。ちょっと闇市にな」


 相変わらず冗談なんだか本気なんだかよくわからない口調で店の中へと進んでいった。そして俺も渋々そのあとを追うように店の中に入った。



             ☆☆☆☆☆☆☆



 で、店に入った後すぐに別れて数時間。


「おせぇぇぇ……」


 ブルーレイの約束も忘れてまんまと逃げられて、今別れる前に決めた待ち合わせ場所まで戻ってきたが一向に戻ってこない。元々ただの散歩のつもりだったから財布も持ってきてないので、ゲーセンで暇つぶしなんてこともできない。

 「どうしたもんかなー……」と思っていると


「ちょっといいかな」


 と声をしたほうを見ると、小学生くらいの赤い髪をした小さい女の子が小さな写真を持ってこちらを見ていた。女の子らしい白を基調としたフェミニンな服装だが、その意志の強そうな鋭い瞳を見るとこっちが萎縮しそうになってしまいそうだ。


「この写真の人見たことはないかの?」


 と手に持っていた写真をこちらに見せてきた。

 どこかの高校のブレザーを着た、優しそうな笑顔を浮かべた長い黒髪の女子高生が写っていた。もしも魅咲が中二病拗らせなかったらこんなのになってたかなーといった感じだった。


「いや、知らないな」

「そうか……」


 そう言って少女は写真をポケットにしまった。

 ……なぜかこの俯いて悲しそうにしている少女を見ていると少しだけ興味がわいた。決して幼女だからとかではない。決して。


「……人探し?」

「え? あ、あぁ。まぁそうなのだが……」

「……?」


 何故かいきなり幼女が俺の顔をじーっと見つめてきた。


「俺の顔に何かついてる……?」

「いや……お主の顔どこかで見たような……」


 と言ってきた。もちろん俺はこんな幼女見たことはない。というかずいぶんへんてこなしゃべり方だな。二次元ならともかく現実にこんな喋り方する奴いるのかよ。しかも幼女。


「なんで君そんな変なしゃべり方なの?」

「なっ……! こっ、これはこのしゃべり方なら人に甘く見られないとお祖父様が……」

「それ完全に騙されてるから」

 

 多分そのじいさんの趣味。ロリっ娘にこの喋り方をさせるとはなかなかいい趣味のじいさんだ。

 それはそうとロリっ娘はロリっ娘で結構ダメージ受けたみたいでどよーんとしたオーラ出して落ち込んでしまった。

 画面の向こうのロリっ娘は大好きだけど現実のロリっ娘は少々扱いがめんどそうだった。


「君、名前は?」

「……長生蘭。長生蘭愛宕ちょうせいらんあたご

「……本名?」

「当たり前だろう……なぜここで偽名を使う必要があるのだ」


 うちの知り合いにいつも中二な偽名使ってる奴が居るもんで。


「俺は風見緋色。よろしく愛宕ちゃん」

「……よろしくな緋色殿」

「……?」


 今、小声で『まぁ、いつものことか』って聞こえた気がしたけど……。


「とにかく、まずそのお尋ね者を見つけに行きますか」


 俺が立ち上がりながらそう言うと。愛宕が驚いた顔で俺の顔を覗き込んできた。


「え、一緒に探してくれるのか……?」

「まぁ今暇だしな。付き合ってやるよ」

「い、いいのか……? 私たち今知り合ったばかりなのだぞ……?」

「……まぁ俺は『主人公』らしいからな!」


 まぁただ単に困ってる奴をほっておくと後味が悪いだけだからなのだが、ここらへんが恭介に『主人公』だの『お人好し』だの言われる所以なんだろうな。


「そ、そうか……ありがとうな」

「いいってことよ。じゃあさっさと見つけちまおうぜ」

「へっ? 10年前に生き別れた姉がそう簡単に見つかるわけないだろう……?」


 …………本当に面倒くさそうなの幼女に関係持っちゃったみたいです。

次回に続きます


……次はちゃんと投稿したいなぁ

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