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雷使いの少年

アリアにそう告げると同時、馬車がゆっくり動き出したのでアリアは急いでカーテンを締めた。

一つのランプだけで馬車内を照らされながらガタゴトと進んでいく馬車。

――――そろそろ山に入っただろうか?―――――

思った途端馬車がガタン!と鳴らし大きく揺れアリアは突然のことで態勢を崩してしまった。そのまま前に倒れそうになり衝撃に備え目を強く瞑るがいつまでたっても衝撃はこなかった。

恐る恐る瞳を開くとアリアはセイの腕の中にいた。倒れそうになったアリアをセイが受け止めてくれたのだった。

「 大丈夫ですか?アリア 」

そう問いかけられ、アリアは急いで体を起こした事で馬車の天井に強く頭をぶつけてしまった。突然のことだったので、今馬車に乗っているということを忘れてしまっていたのだ。

「 い…いたた… 」

涙目になりながら頭を抑えているとセイがアリアに心配そうな視線を送っていることにアリアは気付いた。

「 だ、大丈夫…です。アハハハハハハ 」

そう言いながらも片方の手だけ頭から外さず頭を撫でているとセイがアリアに手を伸ばしてきた。

「 アリア。少し失礼いたします 」

そういうなりアリアの肩に手を置き力いっぱいアリアを引っ張る。突然のことだったのでアリアはそのままセイに向かって倒れそうになった。が、完全に倒れることはなかった。

アリアの肩を掴んだままのセイが完全に倒れない程度にアリアの肩を引っ張っていたのだった。アリアが先ほどまで撫でていた場所を見つめると、アリアの片方の肩から手を外すと突然何事か呪文のようなものを唱えると、手の上に見たこともないような美しい青色の炎が姿を表した。セイはアリアが撫でていた場所にその炎を近づけようとする。

―――――― な、何?こ、怖い… ――――――――

そう思いアリアはきつく目を閉じるがいつになっても熱くはならなかった。そして、すぐにセイの声が聞こえてきた。

「 アリア。まだ痛いですか? 」

そう問われ、目を開けたアリアはセイの手を見るがもう青い炎は姿形なくなっていた。そして、もう一つあることに気付いた。痛かったはずの頭の痛みが消えていたのだった。

「 な、なんで…? 」

アリアが頭に手を当て不思議そうにそう言うとセイは安心したかのように微笑んだ。

「 貴方様の居場所を見つけるまでの間、我ら守護者は城に引き取られいつか現れる主をお守りできるよう力の制御法などを学びます。今のはサクサスに習った物です。私の魔法はサクサスのような癒し専門のものではないので今のようなぶつけた痛みなどを治すことしかできませんが、それでも使えないよりかはましと思い教えてもらったものです 」

セイは淡々とアリアの疑問に答えてくれたのだった。

そんなセイの言葉にアリアは目を大きく見開き輝かせながら手を胸の前で組み言った。

「 す、すごーい!炎使いなのに癒しまでできるなんてセイすごい! 」

そんなアリアの言葉にセイは驚いたように一瞬目を見開いたが、すぐに元通りに返事を返してきた。

「 すごくなどありません。我々守護者は5名いて始めて貴方に近づけるのです 」

そんなセイの言葉にアリアは『私に?』と問い返してしまった。そんなアリアの言葉にセイは頷き言葉を続けた。

「 お話したはず。伝説の王として神から愛を受け産まれた貴方は私達5人の守護者が使うことのできる魔法とそれ以上の魔力をそのうちに秘められておられるのです。城に行き1年もすれば今の私は追い越されてしまいましょう 」

「 で、でも私今までにそんな魔法なんて…使ったことないよ? 」

「 それは貴方様がまだ力に目覚められていないからでしょう。焦らずともゆ… 」

セイがそこまで言うと突然馬車が急停車し、またもやアリアは前に倒れそうになるが、今度はセイがちゃんと支えてくれたので怪我をすることはなかった。

アリアの無事を確認するとセイはアリアを支えた状態のまま外に話かけた。

「 どうした。サクサス殿 」

だが、外から返事が来ることはなかった。怪しく思ったセイはアリアを自分から放すとカーテンを少し開け外の状況を確認した。

確認し終わるとセイは再びカーテンをゆっくりと締めアリアに小さな声で語りかけた。

「 申し訳ありません。アリア。しばらくの間しゃがんでいていただいてもよろしいですか?そして、もし私やサクサス以外の声が語りかけても返事をしないで下さい 」

そう言うとセイはアリアの返事を待たずに扉を開け外へと飛び出してしまった。

アリアは言われた言葉のとおり、椅子から降り床の上で縮こまるように頭を抱え眼を強く瞑った。


その頃、ミーシュ国。

「 まだかな~…。姫様まだ着かないのかなぁ~… 」

一人の小柄な少年が椅子の上で口を尖らせ誰かを待っていた。

「 クスクス。もう少しで到着するはずですよ。一体どんな方なのでしょうね。我らの主様は 」

少年の言葉に答えたのはとても優しそうな声をした青年だった。

「 !きっと!可愛くて優しそうなお姉ちゃんだよ! 」

と、少年は突然言われた言葉に元気よく椅子から立ち上がりそう答えた。

少年のそんな姿に青年は優しく微笑み返した。

と、そこで突然廊下を誰かが走ってくる音が聞こえ、二人は扉の方へ視線を送った。それと同時に扉は乱暴に開かれ、そこにいたのは城の兵士だった。

「 ご、ご報告いたします!ただ今サクサス様より連絡が参りました!ただ今、魔の森にて悪魔達の攻撃にあっている模様!少数ならサクサス様とセイ様でなんとかできるかもしれないと二人で魔の森に入ったが、選ばれし者の力に引き寄せられた魔物は想像以上の量で馬車を取り囲んでいる。とのことです! 」

兵士がそこまで言い終わると青年と少年の後ろで「ストッ」と誰かが着地するかのような音が聞こえた。青年と少年がそろって後ろを振り向くと身長の高い落ち着いた状態の青年がそこにいた。

三人はお互い目を合わせるとその場から駆け出した。


「 アリア様は大丈夫ですか? 」

「 大丈夫だ。それに馬車には貴方の結界が貼られているし 」

馬車を背に立った、サクサスとセイは自分達の目の前にいる魔物を睨んだままそう語り合っていた。

セイの返事を聞くとサクサスは微苦笑を浮かべ『そうでしたね。忘れてました』と言った。

「 先ほどカルバに城へ文を届けさせました。すぐに援護が来るでしょう 」

そう言うサクサスの肩の上には白い精霊、カルバがセイに手を振っていた。

「 相変わらずやることが早いな 」

セイが魔物を睨んだままそう言うと、そんなセイにサクサスが『お褒め頂きありがとうございます』と呟いたのが聞こえた。

そんな会話をしている二人に一匹の魔物が歩み寄った。

セイがファイを呼び出し、構えると脳内に声が鳴り響いた。

『 お前達が守護者か?神に愛されし寵愛を授かった人間の娘を守るのがまさか人間とはな。神も何を考えてることやら。我らが主ならば、自らの寵愛をさずけた者にはそれ相応の守護をつけるぞ。クスクスクスクス 』

そして、その言葉に続くかのようにまた別の魔物の声が脳内に響いた。

『 そうだ。お前達ではあの娘は救えまい。我が主に献上する、よこせ 』

その言葉を同時に葉で隠れ姿を見せていなかった魔物が突然飛びかかってきたが、セイが既のところでその魔物を焼き払った。

すると、また最初の魔物の声が聞こえた。

『 ほぅ、魔法を扱うか。だが、我が主にとっては弱いな。クスクスクス 』

そんな魔物の囁きにセイが舌打ちをし、言い返そうとするとサクサスが肩を抑え留めた。

「 魔物の言葉に耳を貸してはいけません。私から言いましょう 」

そう言うと、サクサスは一歩前へと踏み出し魔物たちに語りかけた。

―――――彼らが来るまで時間を稼がねば。これだけの人数、人間ならまだしも私達だけじゃ歯が立たない――――――

「 ちょっとお聞きしたいのですが。先ほど『我主に献上』と言いましたね。我主とは誰の事でしょう? 」

『 決まっているだろう。我ら魔の者の頂点に立たれるお方。我ら魔族の神、魔王様だ 』

その言葉に驚いて目を見開いたサクサスに魔物は微苦笑を浮かべながらに告げた。

『 あの娘は神に愛される娘。それすなわち我らが王に愛された娘。魔王様は今すぐにでも娘に会いたいと仰っておられる。そこにいるのはわかっているのだ。どけ!人間!! 』

そう言うと同時にサクサスとセイの目の前にいた魔物たち全員が二人に飛びかかった。

「 ック… 」

すぐさま防御を貼ったおかげで魔物達は元の場所まで飛び退いた。が突然のことでサクサスは防御にありったけの力を使ってしまい足を地面につけた。

「 サクサス殿! 」

セイがサクサスに近寄ろうとすると、サクサスの腕が動きを制した。サクサスの頭上ではカルバがアタフタを飛び回っている。

「 大丈夫ですよ。こういう時のために今まで訓練してきたのです。我らが主を守りましょう 」

――――――しかし。今ので力を放出しすぎてしまった…このようなことがないようにの訓練だというのに…―――――――

そんなサクサスに魔物は笑い声を上げた。

『 ッケッケッケッケ。守護者と言えど元は人間。我らに叶うはずがあるまい。これで最後だ!娘を渡せ! 』

サクサスは目を瞑ると同時にそれは鳴り響いた。

ガラガラピシャーン!!!!!

何が起こったのか、突然その場に大きな雷が落ちたのだ。

突然の雷に怯えた魔物は森の中へ姿を消したがまだ気配を感じるので、近くにひそんではいるのだろう。

雷が落ちた場所に人影が見えた。身長は150センチほど、黄金色の髪に髪と同じ色の瞳をした少年がそこに立っていた。

少年は着地をした状態から頭を上げ、サクサスとセイを見るとニヤリと笑った。


「 だっらしないなぁ~。こんな少数に負けそうになってたわけ~?それで僕より年上なわけ?僕より訓練つんでるわけ? 」

腰に手を付き上から目線でそう言う少年はサクサスとセイにそう告げた。

サクサスは少年に歩み寄り言った。

「 来ていただいてすみません。どうやら力の強い者ばかりが集まってしまったようで私達の力だけでは歯が立たなかったのです。来てくれて安心しました。あとの二人はどうしました? 」

「 おっそいから僕だけで来たんだよ。あとでゆっくり来るんじゃないのぉ~? 」

そう言うと少年はサクサスの背後、馬車を見た。

「 あの中に姫様いるの? 」

少年がそう問うと、サクサスはゆっくりと『はい』と答えた。

サクサスの言葉を聞くと少年は楽しそうに振り返り、森に向かって言った。

「 じゃあ、さっさと片付けちゃおうよ。早く姫様に会いたいしさ 」

そう言うと同時に突然少年の体中から電気が溢れ出し、バリバリバリバリと音を立て始めた。


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