Case.2 私の家族を守って!
ここでいいのかしら?マユツバだけど、私にはもうここしか縋れるところはない!
尊悟・「「いらっしゃいませー」」
あらまぁ、イケメン兄弟が経営しているのねー。仲いいのかしら?ちょっと目頭が熱くなった。うちの子達と比較しちゃダメよね。
「カフェラテで、ラテアートはドロップ……」
尊・「では、しばらくお待ちください」
待つこと1時間。若い女の子が多かったわね。仕方ないわ、だってイケメン兄弟が経営してるんだもの。
尊・「で、用件は?」
「私を殺してください!“お命頂戴致します”だからできるでしょう?」
(うーん、参った。実際には殺生はしてないんだよねー。自分の命を懸けてもいいものを依頼によりけりで壊してはいるんだけど……)
「ここに保険の受取人を貴方に変えた保険証があります。だいたい3000万かけました。主婦の限度額です。お願いします!私を殺してください。お金は、子供の養育費にしてください!」
尊・「およっ?珍しい。兄貴が出てきた」
「お願いします!」
聡・「貴女……隠していますけど……DV被害者ですね?私は医者です。動きとか古傷の痕でわかるんですよ」
依頼人は涙ながらに語った。自分には夫との間に3人の子がいる事。夫が3人目を妊娠している時から浮気をしている事。仕事せずに酔っては暴力をふるう事。お金をせびる様になった事。
瀬蓮(以下瀬)・「うーん、コレはひどい。裁判沙汰で離婚成立ですね」
悟・「あ、瀬蓮も思う?」
瀬蓮には、うちの執事のような…。‘お命頂戴致します。’の雑務を担当してもらっている。経歴とか不明だけど、俺らが生まれる前からうちに仕えているし、人脈がものすごくて助かってる。
瀬・「私は法律もかじっていますから、やはり問題となるのは親権かと……」
尊・「その際の子供はどうなるんですか?」
瀬・「生活能力は完全に依頼人様の方にありますし、そのご主人は生活能力がないようで、このままだと、親権は依頼人様のものとなる確率が高いと思われます」
依頼人は俯き加減に話始めた。
「それが問題でね。夫といても虐げられるのでは?と私は邪推してしまって……」
依頼者は涙を流しながら訴える。
聡尊悟・(((いや、邪推じゃなくて普通考えるよ)))
尊・「よし、3日間だけ、あと3日間だけ我慢してください。3日後にまたここで」
「わかりました。では3日後に」
尊・「だってよー、今回も頼むわ。キャサリン」
キ・「こっち見ないでー。あまりの事で涙が止まらないワ。化粧落ちちゃう。任せて頂戴。すぐに調査するんだから!」
―――3日後
尊・「色々調査しまして、結果旦那さんは貴女がわかっている相手の他にも浮気相手がいます。恐らく、過去にも。どこかに非嫡出子がいてもおかしくない状態です」
「覚悟はしていました。やっぱりそうなんですか……」
尊・「貴女には顔を変える形成手術を受けていただきます。名前も変えます。そこで貴女は亡くなります」
「え……、そんなお金はありません。形成手術代なんて……」
尊・「心配いりません手術代はこちらで支払います。術後の戸籍・住居・職場も用意致します。お子様たちは私たちが保護して丁重にお育て致します」
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
尊・「では、さっそく手術を。手術は長男が行います。医学部を首席で卒業していますし、麻酔師の免許ももっています。安心をしてください」
免状とか嘘だけど、キレイに治療できるから、OKか?免状見せろとか言う人いないし、そもそも切羽詰まった人がここに来るからそんな小さなこと(正式な医師免許の有無)は気にしない。
「「「では、“お命頂戴致します”」」」
尊・「今回もありがとな、キャサリン」
キ・「あんなの女の敵じゃない!プンプンよ!!」
尊・「今回の手術はちょっと時間かかるかな?」
キ・「顔は女の命ヨ!」
尊・「どんな顔にするんだろ?兄貴の好みだったりして!」
キ・「見たいような、見たくないような。乙女心はウラハラねぇ」
異世界の手術室はイイよなぁ。こないだは外科的手術だったのに、今回は形成手術。体が勝手に動くから出来るんだけど。形成…俺はあんまり女性の顔を知らないからどうすればいいんだ?正解がわからない!
とはいえやらないとなぁ。俺は彼女の顔に手を添えた。
悟・「聡兄の手術はあっさりしてるよね?」
聡・「お前もやるか?それよりも、お前は試験があるんじゃないのか?ここにある手術道具の名前を覚えた方がいいぞ」
悟・「サイアク瀬蓮によるスパルタ教育?を想起させるよ……」
聡・「わかってるじゃないか!」
~その後の依頼人
「いやぁ、君を目当てにこのスーパーに来るお客さんが増えて大助かりだよ!売上が右肩上がり!」
店長は扇子であおぎながら私の持ち場から離れていった。
(顔を変えるって…ブサイクになると思ったのに、美人になるなんて――)
その時、ドンっと背中の方に衝撃があった。
「ゴメンね、ボクー。ぶつかっちゃったでしょ?痛いところはない?」
(マズい!子供に関わらないで生きるって決めたのに)
「ママ?ママの匂いがする。ママー‼」
「ママのはずないだろ?……ママは死んだんだ。俺たちは兄弟で生きていくんだ」
強くなったわね。泣きそう。そうだ!
「――ねぇ、怪我しちゃったかな?コレ、今日作ったお菓子なの。食べる?」
「知らない人から食べ物をもらったらいけないって言われてるだろ!ママも言ってただろ?」
「でも、この人ママの匂いするし、お菓子もママの匂いがする……」
「なんで、この味するんだよ?隠し味、ママしか知らないはずだ」
「この人、ママだもん」
末っ子にくっつかれた。
「弟がすいません」
「あなたもおひとついかがですか?」
結局食べるのね――
「本当におふくろなのか?顔が違うけど?」
「あなたたちが信じてくれるなら、私はあなたたちのお母さんになるわ」
キ・「ってね。ちょっと子供をお母さんの職場に連れて行っただけなのヨ。ホントよ。一番下の子が匂いで気づいちゃって。」
悟・「野生の勘か?」
キ・「なんかロマンティックじゃないわネ。ワイルドなか・ん・じ♡ で、結局子供3人とお母さんが暮らすことになりました♡」
尊・「うーん最終目的はソコだったからいいかな?ところで、あの人の顔って兄貴の好みなんだろうか?」
キ・「それは思うワ。多分ね。アラ、貴方たちは気づいてないのかしら?あの顔、貴方たちのお母様に似ているのヨ?」
尊・「マジか?兄貴はマザコン?」
聡・「女の人の顔のイメージがなかったんだよ!おふくろか、キャサリンか…」
尊・「城でいろんな令嬢に絡まれてた時に見ただろう?」
聡・「よく見てない」
キ・「わたしの顔はよく見てるのネ。うれしいワ♡」
聡・「キャサリンの顔は採用しなかったけどな。今後形成外科の参考のために、いろんな雑誌見た方がいいんだろうか?」
兄貴よ……反省点そこなのか……。他にもあるだろう?
キ・「あー、ダメよ~。流行りの顔ってあって、似たような顔ばっかりだから。あと整形疑惑の人ばっかりだったりね」
尊・「兄貴もホールで働く?」
聡・「いや、それは俺には向いてない。尊みたいにうまくできない」
尊・「あー、そういうキャラだよね(笑)」
執事の瀬蓮が報告をあげる。
瀬・「子供様方は手術後、依頼人の旦那様とは隔離させていただきました。生命保険金も入りましたし。そのお金もせびられる可能性がありましたので。ご兄弟で生活をうまくしていましたよ。もちろん影で部下に支えさせていましたが――」
聡・「瀬蓮はできる本当に執事ってだね。確かに保険金を子供からせびりそうだな」
悟・「いやぁ、うまくまとまってよかったよかった」
悟は楽観的だと思う。
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