ま、やるっきゃないか。
「師匠が消えた」
そう知らせがあったのが数日前
で、俺がこの面倒な国の選定者を引き継ぐことになったのが数刻前。
俺達“導人”は“天の目となるべく下界へ降り、人々をより良い道へと導く”とか大層な謳い文句の元、天帝の力で造られた土人形だ。
下界の各国、各地域へ降り
神共が楽できるための存在。
そのために形のない状態の時から何百年とかけて己を作り、修行を積んで…この時点でもうやってられん。
何が“より良い道へと導く”だ。
ただ神共の都合の良いように場を持って行くだけだ。
いいように使われて胸糞悪い役目。
兄弟子、姉弟子達と先日そんな愚痴で盛り上がった。
が、まあ、そんな俺達をまとめる役であり、師であり、親的存在でもある“始祖の導人”が消えたらしい。
最近てんで帰ってこないと思っていたが…
何やってんだあの人。
師匠は導人として優秀だし、万単位で存在してるだけあってスゲー強い。
確かに師匠が選定者として受け持ってた国は胸糞悪りぃー国だが、既に六千年以上耐えてたんだ。何ともなしにいきなり役目を放棄するような人ではないはず…。きっと何か考えあっての行動だろうな。
なんて呑気に考えていたのが悪かったのだ。
他の兄姉弟子達のように、さっさと適当な仕事を見つけて逃げていればよかった…クソッ。
案の定、師匠の担当国だった“呪われし国”を押し付けられた。
“導人”にとって“選定者”は最も面倒な仕事だ。
選定者でなければ適当に旅して導いてればいいだけ。
に対して選定者は担当国の王族達を中心に彼らの観察・監視に記録、王の選定…やる事が多い。
今までのらりくらりと逃げていたのに…
油断した。
面倒だが
ま、こーなったらやるっきゃないか…ハァ。
こうして俺は万姫帝国の選定者として天来奉迎の儀とやらに応えてやったわけだが
降り立った瞬間から感じるこの空気…
想像していた以上に“あいつ”の息が濃くかかってる国だな。
「あ〜、クソめんど…」
つい口からそんな言葉が溢れたが、人間共が静かになったので良しとしよう。
さっさとこの儀式とやらを終わらせ引き継ぎをしなきゃな。
不愉快な周りの視線は無視するに限る。
丹陛前まで重い足を動かし上を見上げれば、この国の苦労人達…、王族様共の顔が見えた。
うーわ、想像はしてたが
こいつら目が死んでんじゃん
「ハァ、面倒なことを押し付けられたな…」
やっぱ、こんな面倒そうな国引き受けなけりゃよかった…。




