表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

面倒なことを押し付けられた…


「あ〜、クソめんど…」


雲一つない晴天。


数百と集まる群集の中、

青年のその呟きにより、辺りは静まり返った。


ーーーーーーーー


東大陸最大の土地と軍事力を有する大国、万姫帝国(ワンヂェンていこく)では、

神聖なる儀式が行われていた。


下界を管理し導く天界。

そんな天の神より造られ、人間国を導き、記し、

その国の“王”を“選定”するため遣わされる“選定者(せんていしゃ)”を迎える儀式――

天来奉迎(てんらいほうげい)の儀だ。


六千年以上続くこの国で、

建国より選定者として役目を担っていた者が突如姿を消し、

今日、新たに選定者が遣わされることとなった。

殿上(でんじょう)には皇帝と王族達が鎮座し、

正殿前広(せいでんぜんこう)には数百の大臣や高官が集められている。


儀式は順調に進み、

史実通り、奉迎のための舞台に眩い光が天より差し、広場全体を包み込んだ。


神々しい光にその場の者は目を閉じざるを得ず、

光が収まるのを待って瞼を上げれば――


そこには到底選定者とは思えぬ姿の者が立っていた。


本来、選定者とは神の使いと言うに相応しい、

透き通る青い瞳に純白の髪と衣を纏った神々しい姿をしている。


が、此度遣わされた選定者は、

血のような真紅の瞳に、漆黒の髪と衣を纏った、

とても神の使いとは思えぬ者だった。


会場には一斉に動揺の声が広がり、

選定者へ疑念の眼差しが向けられる中――


その選定者が発した第一声が、冒頭の言葉だった。


観衆の視線も言葉も気にすることなく、

舌打ちと共に気怠げに吐き捨てられたその言葉に、

場は凍り付く。


だが選定者はそれすら意に介さず、

ため息を吐きながら丹陛前(たんぺいぜん)までの御道(ぎょどう)を堂々と歩き


こちらを見下ろす皇帝と王族達を、

大胆にも真っ直ぐに見上げ、


「ハァ、面倒なことを押し付けられたな…」


と呟いた。



【用語補足】

※あくまで作者が調べた範囲での解釈です。

史実とは異なる場合がありますが、

本作の世界観における設定としてお読みください。


殿上でんじょう

皇帝や王族が座す、正殿の上段部分。


正殿前広せいでんぜんこう

正殿の前に広がる石畳の大広場。

儀式や朝議が行われる場所です。


丹陛前たんぺいぜん

“丹陛”が正殿前にある大階段のことなので、

その階段下に位置する場所のこと。

臣下が進み出る際の定位置。


御道ぎょどう

正殿前広の正殿へまっすぐ伸びる中央の石畳(道)。

皇帝だけが通ることを許された神聖な通路。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ