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現場監督×異世界転生_異世界現場監督は勇者より優秀につき ~チート無しでも5大管理で魔王城を落とします~  作者: もしものべりすと


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第十九章 決着

扉の向こうには、広大な玉座の間が広がっていた。


 黒い石の柱が並び、天井は遥か上にある。奥には、巨大な玉座。


 そして、その玉座に——


 「ようこそ、人間ども」


 低く、重い声が響いた。


 魔王だった。


 巨躯。全身を覆う漆黒の鎧。兜の隙間から覗く、赤く光る双眸。両手には、巨大な剣を握っている。


 「愚かにも、ここまで来たか。だが、ここがお前たちの墓場となる」


 「黙れ、魔王!」


 リヴァンが剣を抜いた。


 「今日こそ、お前を倒す!」


 リヴァンが突進した。


 しかし——


 「甘い」


 魔王が剣を振るう。


 その一撃で、リヴァンは弾き飛ばされた。


 「リヴァン!」


 マリアが魔法を放つ。しかし、魔王はそれを片手で払いのけた。


 「魔法も効かぬ。お前たちの力では、俺には勝てぬ」


 魔王が歩み寄ってくる。


 カイルが矢を放つ。しかし、魔王の鎧には傷一つつかない。


 「無駄だ。俺の鎧は、あらゆる攻撃を防ぐ」


 絶望的な状況だった。


 三人の勇者が束になっても、魔王には敵わない。


 その時——


 「監督から伝言です!」


 伝令が、玉座の間に飛び込んできた。


 「監督?」リヴァンが振り返った。「誠司か?」


 「はい! 監督からの指示です! 『魔王の足元、右から三番目の柱を壊せ』と!」


 「何?」


 「『その柱が、天井を支えている主柱だ。壊せば、天井が落ちる』と!」


 リヴァンは、言われた柱を見た。


 確かに、玉座の右側に柱が並んでいる。その三番目の柱は、他よりも少し太い。


 「……分かった!」


 リヴァンは、魔王に向かわず、柱に向かって走った。


 「何をする!」


 魔王が追いかける。


 しかし、カイルの矢が魔王の足元を狙い、動きを止める。


 その隙に——


 「おおおおおおお!」


 リヴァンの剣が、柱に叩きつけられた。


 全力の一撃。渾身の力を込めた斬撃。


 柱に、亀裂が走った。


 「まさか——」


 魔王の声が響いた。


 そして——


 轟音と共に、天井が崩落した。


          *


 誠司は、城の外で待機していた。


 玉座の間の様子は、カイルが事前に調べた情報で把握していた。そして、誠司は魔王城の構造図を分析し、弱点を見つけ出していた。


 あの柱は、玉座の間の天井を支える主柱だ。あれを破壊すれば、天井は崩落する。


 魔王がどれほど強くても、城ごと押しつぶされれば——


 「監督!」


 報告が飛び込んできた。


 「玉座の間が崩落しました! 勇者たちは、直前に脱出! 魔王は——瓦礫の下です!」


 「生きているか?」


 「分かりません!」


 誠司は、城に向かって走った。


 玉座の間に着くと、そこは瓦礫の山だった。


 勇者たちは、入り口付近で息を荒げていた。


 「リヴァン! マリア! カイル! 無事か!」


 「ああ……何とか……」


 リヴァンが答えた。


 「お前の指示がなければ、俺たちは全滅していた」


 「まだ終わっていない」誠司は言った。「魔王は?」


 その時——


 瓦礫が、動いた。


 ガラガラと岩が崩れ、その中から——


 魔王が立ち上がった。


 しかし、その姿は、先ほどとは違っていた。


 鎧は砕け、兜も失われている。その下から現れたのは、意外にも人間に近い顔だった。角が生え、肌は灰色だが、表情は——どこか疲れたような、悲しげなものだった。


 「見事だ……」


 魔王が呟いた。


 「人間ごときに、ここまで追い詰められるとはな」


 「まだ戦うつもりか」


 リヴァンが剣を構えた。


 「いや……もう十分だ」


 魔王は、首を横に振った。


 「俺は……もう疲れた」


 「何?」


 「何百年も、この城で戦い続けてきた。勇者が来るたびに殺し、軍隊が来るたびに撃退し……終わりのない戦いだった」


 魔王は、虚ろな目で空を見上げた。


 「だが、お前たちは違った。正面から戦うのではなく、城の構造を利用して俺を追い詰めた。それは、今までの勇者にはなかった発想だ」


 魔王の視線が、誠司に向けられた。


 「お前か。この作戦を考えたのは」


 「……ああ」


 「お前は、戦士ではないな。剣も魔法も使えない。だが、お前がいたから、勇者たちは俺に勝てた」


 「……」


 「見事だ。認めよう」


 魔王は、膝をついた。


 「俺は、もう戦わない。この城と共に、消えることにする」


 その言葉と同時に、魔王城全体が震え始めた。


 「城が崩れる! 退避しろ!」


 誠司の叫びで、全員が城の外に走り出した。


 背後で、轟音が響く。


 城が、崩壊していく。


 魔王と共に——


          *


 城の外で、誠司たちは振り返った。


 魔王城は、完全に崩落していた。


 瓦礫の山だけが、そこに残っている。


 「終わった……のか」


 リヴァンが呟いた。


 「ああ」誠司は頷いた。「終わった」


 セレスティアが、誠司の傍に歩み寄ってきた。


 「勝ちましたね、鷹野殿」


 「……ええ」


 「あなたがいなければ、この勝利はありませんでした」


 「俺は、何もしていません。戦ったのは、勇者たちと兵士たちです」


 「いいえ」セレスティアは首を横に振った。「あなたは、彼らが戦える環境を整えた。補給を確保し、作戦を立て、そして——魔王城の弱点を見つけ出した」


 「……」


 「それが、あなたの力です。戦う力ではなく、戦いを支える力。それがなければ、私たちは勝てなかった」


 誠司は、何も言えなかった。


 ただ、瓦礫の山を見つめていた。


 「これで……俺の仕事は、終わりか」


 呟きが、口から漏れた。


 「いいえ」セレスティアが言った。「これからですよ、鷹野殿」


 「何?」


 「戦争は終わりました。しかし、復興はこれからです。破壊された街を再建し、インフラを整備し、人々の暮らしを取り戻す。その仕事を、あなたにお願いしたいのです」


 誠司は、セレスティアの顔を見た。


 「復興工事か……」


 「はい。王国全土の復興。それが、あなたの次の『現場』です」


 誠司は、少し考えてから、頷いた。


 「分かりました。引き受けます」


 「ありがとうございます」


 セレスティアは微笑んだ。


 「さあ、帰りましょう。王都で、勝利の報告をしなければ」

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