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監視協会の収容と裏切りの光

第一節:守護者の拘束

虚空の支配者との激闘で魔力を消耗しきったレンに、抵抗する力は残されていなかった。

最高幹部、**黒田くろだ**は、冷徹な目でレンを見下ろした。

「神崎レン。あなたの功績は認めます。しかし、あなたの行動は、あまりにも予測不能で、混沌に満ちている」

黒服のエージェントたちは、レンの両手首に、魔力を強力に減衰させる特殊な**拘束具こうそくぐ**を装着させた。守護の瞳の光は一瞬にして掻き消え、レンは再び、ただの非力な高校生へと戻った。

「やめろ!レンから離れろ!」

カイは、レンを守ろうと、服の中に隠していたEMP発生装置で周囲のエージェントを混乱させようとしたが、彼は協会の熟練したエージェントたちによって即座に取り押さえられた。

「彼も同様に確保せよ。彼の技術は、協会のセキュリティに危険を及ぼす」黒田の命令は容赦なかった。

アユミは、その光景を無表情で見つめていたが、彼女の目線は、一瞬だけ、レンの無力な手元に向けられた。彼女は、命令に従い、レンとカイの収容を見届けるしかなかった。

第二節:地下収容所と秩序の論理

レンとカイは、監視協会が極秘裏に運用する、地下深くの隔離施設へと連行された。その施設は、全てが高密度な魔力遮断材で覆われ、レンの守護の瞳の残滓すらも許さない、絶対的な秩序を体現していた。

レンは、鋼鉄とガラスで構成された、個別の独房に閉じ込められた。彼の胸元の守護の瞳は、灰色のくすんだ輝きを放つだけだった。

しばらくして、黒田が独房を訪れた。

「ようこそ、管理区画へ。ここは、あなたの自由意志が、世界の均衡を乱さないための場所です」

「なぜだ。僕は、世界を救った」レンは、力を振り絞って言った。

黒田は、ガラス越しに、レンを分析するような目で見た。

「あなたは、一時的に世界を救った。しかし、あなたの行動は、魔法的な地震を引き起こした。セイヤの絶対的秩序は脅威でしたが、あなたの無制限の自由もまた、脅威なのです」

黒田は、協会の哲学を語り始めた。

「私たちの使命は、世界を安定スタビリティさせること。そのために、私たちは、危険な魔術の奔流を抑制し、制御下に置く。あなたの瞳の力は、あまりにも強大で、予測ができません。私たちは、その力を解析し、協会の管理下に置く必要があります。そうでなければ、次にあなたが何を破壊し、どんな虚空の支配者を引き寄せるか、誰にも分からないからです」

黒田は、レンに一つの選択を提示した。

「守護の瞳を、我々に解析のために引き渡せ。そうすれば、あなたは平穏な日常に戻れる。抵抗すれば、あなたは永遠にこの独房に留まることになる」

第三節:アユミの決断と裏切りの光

黒田が去った後、レンは絶望に苛まれた。彼は、世界を守るために戦ったが、その結果、世界の管理者である協会に捕らえられたのだ。セイヤの**「秩序の強制」と、黒田の「抑制による安定」。その間に、レンの信じる「自由意志」**は存在しないのだろうか。

深夜、独房の電力供給が、一瞬だけ、不自然に途絶えた。そして、セキュリティドアが、静かに開いた。

そこに立っていたのは、アユミだった。彼女の顔は、冷徹なエージェントの仮面を脱ぎ捨て、深い苦悩と決意に満ちていた。

「...アユミ?」レンは驚いた。

「早く。時間がない」アユミは、レンの拘束具を解除した。「私は、監視協会の命令に背きました。今、この施設全体のセキュリティは、私が作り出した、わずか三分間の**『精神的な隙間サイキック・グリッチ』**によって麻痺している」

「なぜ、僕を...黒田の命令に、君は従っていたはずだ」

アユミは、レンの解放された手に、守護の瞳を戻した。瞳は、レンの魔力を感知し、再び強い光を放ち始めた。

「私は、協会の秩序を信じていました。しかし、黒田が目指す**『絶対的な抑制』は、セイヤの『絶対的な秩序』**と何ら変わりません。それは、人々の自由意志を否定し、世界を淀んだ泥沼へと引きずり込む」

アユミは、深い息を吐いた。「私は、あなたが持つ**『混沌を生み出す自由』**こそが、真の均衡を保つための、唯一の希望だと判断しました。私自身も、黒田の管理下で、自由な思考を奪われるのは御免です」

アユミは、協会の秩序を裏切り、レンの自由意志に賭けたのだ。

第四節:次元の跳躍と新たな敵

レンは、守護の瞳の力が戻ったことで、全身に力が漲るのを感じた。彼らは急いでカイの独房へと向かい、カイを解放した。

「アユミ...あんた、まさか...」カイは驚きを隠せなかった。

「無駄話は後よ。この施設は、数十秒で私たちを追跡する」アユミは言った。

レンは、脱出ルートを考えた。この堅固な施設を、通常の手段で突破するのは不可能だ。しかし、彼は虚空の支配者との戦いで、次元と時間の結びつきの脆さを学んでいた。

「カイ、以前タマキが使っていた真鍮製の時計の残滓を解析しろ。アユミ、奴らのセキュリティが最も薄い、空間の亀裂点を感知してくれ」

レンは守護の瞳の力を集中させた。彼は、自分の存在のエネルギーを、アユミが感知した空間の脆弱な点に叩き込み、**一時的な『次元の跳躍ディメンション・ワープ』**を作り出した。

ゴオオオオオ!!!

光と共に、レン、カイ、そしてアユミの三人は、収容施設から姿を消した。彼らがいた場所は、即座にセキュリティ部隊に取り囲まれた。

彼らが姿を現したのは、協会の追跡から最も遠い、薄暗い貨物港の片隅だった。

「私たちは、今、協会の最重要指名手配犯です」アユミは言った。「しかし、黒田は、あなたが虚空の支配者の脅威を回避したことを知っている。彼は、この力を利用するどころか、排除しようと、他の『混沌の源』を狙い始めるでしょう」

アユミは、レンに一つのデータ・チップを渡した。

「黒田の次の作戦は、シオンの残党だけでなく、全ての『自由』と『混沌』の魔術を扱う組織の**一斉摘発パージ**です。あなたの戦いは、終わりません。今度は、世界の守護組織そのものが、あなたの敵となったのです」

レンは、海風に吹かれながら、守護の瞳を握りしめた。彼の瞳には、協会の厳格な秩序と、虚空の支配者の崩壊。その二つの巨大な脅威の間で、自由を求めて戦い続ける、彼の新たな決意が宿っていた。

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