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小椋夏己の見聞録  作者: 小椋夏己
2022年 11月
6/55

フレドリック・ブラウン(作家)

 今回は単体の作品ではなく、色々な作品を書いたアメリカの作家、フレドリック・ブラウンです。

 ジャンルはSFやファンタジーや色々ですが、ショートショートのイメージも強いです。

 一時期はまって結構たくさん読んでました。


 今回の「見聞録」を書くにあたり、どういう人だったかちょっと調べたら、もう亡くなって半世紀も経つんですね! いや、びっくりしました。生まれたのが1906年、20世紀の頭ですから、そのぐらいでもおかしくはないのにまたびっくりです。


 作品の面白さはもちろんあります。長編も短編も色々と読みましたが、もうかなり昔の作品なのに感心したり、笑ったり。英語の言葉遊びのような作品は、もちろん解説がなくては意味不明ですが、発想の面白さって時代や国を超えて通じるものなんだな、と思える作品群の作者です。


 それ以外に私が個人的に面白さを感じていたのは、フレドリック・ブラウンの描く未来が、私達が生きている現代だったというところです。未来として描かれているのが1980年代だったりするもので、まるで自分が未来人のように思えておかしかったりもしました。


 それから、ほんの数十年のことなのに、えらく文明や科学が進んでしまったのか、当時の予測とは全然違った形の物が存在しているのも興味深かったです。


 私が一番そう思ったのが印刷機です。今は印刷って家でもコンビニでも軽い気持ちでコピーできますが、ブラウンが作品を書いている当時、印刷は「輪転機(りんてんき)」です。活字を組んで、それを機械にセットして、ぐるぐる回して印刷をする。今もそのアナログの味わいが楽しいと「活版印刷」を使う方はいらっしゃるようですが、そんな趣味的な部分でもないと、普通の印刷に使ってはいないですよね。


 「輪転機」ってかなり大きくて、いかにも機械! という形をしているからか、いくつかの作品でキーとなる形で出てきます。中には輪転機が意思を持ってしまい、それを止めるというような作品もありました。今だとコンピュータの反乱みたいなイメージなのかも知れません。


 その未来にいる私がフレドリック・ブラウンの書いた未来の世界のことを読んでいる、それがとても楽しかったです。


 それからユーモア作品を一つだけ紹介したいと思います。短い作品ですからネタバレになってもいいですかね? もしも「これから読みたいから知りたくない」と思われる方はこの先は読まないでくださるとありがたいです。

 もしもフレドリック・ブラウンの作品がどういうのかなと興味を持った方は参考にしてみてくださるといいかも。


 「大失敗」という作品です。


 ある男がおじさんの遺産欲しさに殺害を計画します。

 強盗がおじの家に押し入り、殺害して逃げる。

 計画は完璧で、うまくやり遂げたら自分が犯人だと知られず、おじの財産は全部自分のものになる。

 そして、男はその計画をやり遂げるのですが、逮捕されてしまいました。


「どうしてだ、計画は完璧だったはずだ」


 はい、計画は完璧でした。

 ではなぜ失敗したのでしょうか?


 男はおじを殺す犯人のこと、強盗のことを完璧に計画し過ぎたために、強盗は完璧にやり遂げたのですが、肝心のおじを殺すことをすっかり忘れてしまっていました。それで一部始終を見ていたおじが警察に通報し、逮捕されてしまったというわけでした。失敗どころが大失敗です。


 こういうのは時代関係なく、人の愚かさを描いていて楽しい作品ですよね。


 今、未来を想像して描かれているSF作品、その時代になったらどんな風に読まれるのかなと、フレドリック・ブラウンを読みながら想像するのも楽しいかも知れません。 

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