星の王子さま(小説)
テレビで先週からマダガスカル島のことをやっていて、今日はバオバブの木の並木道を紹介していました。
マダガスカル島って動物も固有種がたくさんいてとても魅力的な島なんですが、ここにバオバブの並木道があると知ったのはずっと後、今では行ってみたい国の一つですが、何しろアフリカの島ですし、行くチャンスが生きてる間にあるかなあ、ちょっと遠いですよね。
行ってみたいと思った理由の一つがバオバブの木なんですが、マダガスカルを知ってバオバブの木を知ったのではなく、バオバブの木がある知ってからマダガスカルの存在を知ったという感じです。
ではどこでバオバブの木のことを知ったのか。
「星の王子さま」
ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、サン=テグジュペリの名作児童文学、その本の中に出てきました。
小学生の頃、学校の図書館ではなく各クラスに生徒が本を持ち寄って、好きな本を借りて読むことができました。確か1学期毎か何かで持ち寄る本を変えていたと思いますが、その中に「星の王子さま」がありました。クラスの女子のお兄さんかお姉さんの本だということでしたが、幸いにして三学ずっと置いてくれていて、何回も借りて読みました。
学年が変わってその子と違うクラスになったのかその本を読むことはできなくなり、自分の本を欲しいと思ったものの、最寄りの本屋さんに行ってもそのカラーの本が売っていませんでした。あったのは小さい白黒の表紙の本だけ、でもそれは私が欲しい本ではない。手に入れられないまま諦めたか忘れたかしてしまいました。それが多分小学校4年生だったと思います。
中学になった時、たまたま本屋さんで取り寄せというものができると知り、母親に頼んでバスに乗って行く場所にある大きな本屋さんで取り寄せてもらい、やっとその時に何度も借りて読んだ懐かしいカラーの絵の本を手に入れました。それ以来ずっと私の宝物の一冊です。
作者がモデルといわれる飛行士がサハラ砂漠に不時着し、水も食べ物も限られた中で必死に飛行機の修理をしていると、
「ねえ、ヒツジの絵をかいてよ」
いきなり小さな男の子にそう声をかけられます。
砂漠の中ですよ? しかもこのままだと命の危機にある中で、のんびりそんなことを言ってきた男の子に飛行士はびっくり。
とてもそんなことをしている状況ではないと思いつつも、あまりに非現実的なことが起きると人間というのは受け入れざるを得ないものなのでしょうか、そのことをきっかけに飛行士は男の子と色々な話をすることになり、その男の子がどこかの星からやってきたということを知ります。
飛行士は男の子から色々な星にいた人の話、どうして男の子が自分の星を出てきたかなどの話を聞くんですが、男の子が住んでいた星にはバオバブの種が眠っていて、芽を出したらひっこぬかないと大きくなって星を破壊してしまうと聞きます。これがバオバブの存在を知った一番最初でした。
王子様はどこかから飛んできてその星に生えてきたバラと一緒に暮らしていましたが、仲違いし、もう二度と戻らないと決めた旅に出る前に、新しく伸びてきたバオバブの芽を抜きます。でもこの星にはまだまだたくさんのバオバブの種があるらしい。もしも他の種が芽を出して大きくなったら、王子様の星は破壊されてしまうかも知れない。バオバブはとても怖い存在だという印象でした。
作品の中になまけてバオバブの処理をしなかったために、3本の巨木に覆われてしまった星の絵が出てきます。飛行士が王子様に聞いて描いた絵なんですが、地球は王子様やなまけものの人の星よりずっとずっと大きいので、幸いにしてそんな恐ろしいことになることはないんですが、「悪魔が逆さまに地面に突っ込んだ木」と言われるように、根っこを空に向かって伸ばしたような奇妙な形をしています。年輪がないために確かな年齢は分からないそうですが、中には2000年以上生きていた木もあるとか。
王子様の不思議なお話と共に、まだ幼かった私の心に深く残ったバオバブをいつかは見に行きたいと、今もまだ少しは思っています。




