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小椋夏己の見聞録  作者: 小椋夏己
2022年 12月
22/55

エジプト(国)その2

 前回、一度エジプトについて書いてはいますが、


「まだまだ話し足りない」

 

 ということで、何回かで書こうかなと思っています。今回だけで終わるかも知れませんが、そのへんは書いてみないと分かりません。


 エジプトに行って思ったことの一つが、


「ああ、ここは二千年前からずっと観光地なんだな」


 ということでした。


 ローマの属国になってからずっと、ヨーロッパの人はこの国に観光に来ています。それはヨーロッパの文献にももうその頃から書かれていたことからもよく知られています。近年、と言っていいのかどうかは分かりませんが、あのナポレオンもピラミッドを訪れていますし、19世紀にイギリスの支配下に置かれることになってからは、イギリスがばんばん発掘をして、色んな物を国に持ち帰っています。そのおかげでツタンカーメンの王墓も発掘されたわけですが、その前から、そして今も、ずっと不思議の国であることは変わりません。


 私も見てきましたが、


「メムノンの巨像」


 というものがあります。


 これは紀元前1300年ぐらいにいた王様、アメンホテプ3世の時代に作られた神殿にあった像で、その王様の姿を模しているらしいです。

 余談になりますが、この王様の妻の一人、美女と名高いネフェルティティの義理の息子がツタンカーメンになりますので、大体そのぐらいの時代の人、と覚えておいてもらうといいかも。


 その像は紀元27年の地震で壊れてその後で歌うようになったと言われ、あの皇帝ネロも見に来たんだそうです。えらい話ですよね。

 地震でひびが入ったところに風が吹き込んで歌ってたようですが、修理の後は歌わなくなったらしく、私が行った時も黙って座ったままでした。


 ですが、そのことからも分かるように、その当時、すでに観光地だったんですよ、エジプトって国は。


 それを痛感したもう一つが、お土産とかを買っていた時です。

 ガイドの人も売り子さんたちもみんなイスラムの人、国の宗教ももちろんイスラム教です。

 観光の最終日にモスクにも行きましたが、そういうところに行くとここはイスラムの国なんだな、と思えます。


 元々のエジプトの神様といいますと、やはり、


「太陽神ラー」


 が浮かびますよね。


 他にも「オシリス」とか「ホルス」「アメン」「アテン」「イシス」「セト」など聞き馴染みがあると思います。それから私は地学の教科書の1ページ目に乗っていた「ゲブ」の上に「ヌウト」が四つん這いみたいになって、それを「シュウ」が支えているという天空図が浮かびます。「ヌウト」が産んだ太陽が空を回って夜には死に、翌朝また新しく生まれてくる、そういう図です。


 そういう神様の国だったはずが、ローマに支配された後、今ではイスラムの国になり、商売としてエジプトの神様を使ってる、そういう印象です。


 それがなんだかすごく不思議でした。

 日本では神社やお寺って、そこにいる神様や仏様って、今でも信仰されてる対象じゃないですか。実際に信心してなかったとしても、敬意を持って手を合わせるとか、失礼がないようにとか考えると思います。

 西洋の教会とかに行っても多分一緒でしょう。そこに神様がいらっしゃいますよね。エジプトのモスクに行った時も、やっぱりそこは信仰の対象でした。


 それがエジプトでは、もう二千年も前から神様って信仰の対象じゃなくなってて、観光する人のお土産とか、研究対象なんです。

 神様としての役目を終えてしまっているのに、今でもみんながそれを知ってる神様たちがいるんです。これってすごくないですか?


 西洋の教会に「ガーゴイル」というものがくっついてます。なんだそれ、と思う方でも、


「教会の屋根の上になんだか変な悪魔か動物か分からないような生き物が頬杖なんかついて、退屈そうに下を見てる像、雨樋になってたりする」


 と聞くと、


「ああ、なんとなく分かる」

 

 と、思われるかと思います。


 沖縄のシーサーみたいな感じです。怖い顔した守り神みたいな。


 あれは、キリスト教が広まったことで駆逐されたそれ以前の神様とかだという説を聞いたことがあります。こういう感じで、失われた神様って悪魔にされたりするのに、エジプトではもうずっと商売道具なんですよ。

 ギリシャ・ローマ神話や北欧神話もケルト神話もそうじゃないの? と思われると思いますが、そういうのは今もまだなんとなくキリスト教とつながってる気がします。でもエジプトの神様はイスラム教とくっついてるとは思えません。


 これってどういうことなのかな、と考えてみると、


「みんなエジプトが不思議で、気になって、好きだから残したいんじゃないの」


 という結論になってしまいました。私の中でだけですが。


 あんな大きな石の塊を積み上げたピラミッドや、スフィンクスや、カルナック神殿、ハトシェプストの葬祭殿、アブシンベル神殿、どれもみんな見に行きたいから、滅ぼしてしまおうと思わなかったからじゃないのかなあ。チャンスがあったら見てみたいですよね?


 不思議の国エジプト、これからもまだずっとずっと、たくさんの観光客、研究者のおかげで栄えていってほしいと思います。少なくとも、私がもう一度訪れるまではお願いします。

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