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小椋夏己の見聞録  作者: 小椋夏己
2022年 11月
17/55

純白の血(漫画)

 こちらも前々回からの流れで篠原烏童作品です。

 ジャンルはホラーかオカルトか、そういう感じかな。

 私が持っているのは全4巻のコミックスですが、もしかしたら違う形で再販とかされているかも知れません。


 現代のイギリス、ある雪山で吹雪のための洞穴に避難した旅人が、カチカチに凍った2体の「凍死体」を発見します。

 その服装から判断すると、数十年は前の遭難者のようだ。

 気味が悪いが吹雪の中、出ても同じことになるしかない。我慢して洞窟にいる間に良からぬ気持ちが湧き上がります。


 身なりもいいし、持っているカバンも立派。何が入っているのだろうか? 


 どうせもう使うこともないだろうし、そう思って欲を出し、カチカチのカバンを開けようとしたら、凍っているはずの死体が手を伸ばし、男の足を掴みます。


 みるみる力を失って倒れる男。


 男が倒れたところで凍死体は起き上がり、もう一人を起こし、


「やあ、ヒース」

 

 そう声をかけると、ヒースと呼ばれた男が、


「ウォーレン、おはよう」

 

 と答えます。

 

 凍死していたと思われた男たちは「ヴァンパイア」でした。

 数十年、この地で眠っていたのをさっきの男が起こしてしまったのです。


 二人が吸うのは血ではなく「生気(エナジー)」です。

 そして二人には決定的な違いがありました。


 ウォーレンは生きている人間や動物からしか生気(エナジー)を吸うことができないのに、ヒースは「菜食主義者」、植物、たとえば木に優しく触れて「プリーズ」と言うと木々が生気(エナジー)を分けてくれるのです。

 

 二人はもういつから生きているのかも分からない、大昔から生き続けている存在でした。

 そして半世紀ほど前、ロンドンで愛する人を得て、一時期幸せな生活をしていました。

 ですが、ある事件から二人で山に逃げ、眠っていたというわけです。


 半世紀ぶりに戻ったロンドン、ふと知り合ったカップルと部屋をシェアすることになったウォーレンとヒースですが、まるで予言されていたように、半世紀前の事件の続きに巻き込まれていきます。


 二人は半世紀前に愛した人のその後を知り、そして自分たちの役目を知ることになっていきます。

 とてもきれいでとても恐ろしいお話です。


 このお話の関係者、と一応言ってもいいと思うのですが、その人が、前々回の「沈黙は星々の乾き」にも登場し、そして「ファサード」で大きな役割を果たします。


 全部を読んで下さいねと言うのもあれなんですが、もしも興味を持っていただいたら、そして読んでくださったら、


「ああ、あれがそうつながるのか」


 と、納得していただけるかと思います。

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