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いざ森へ

家に帰って部屋に入ると、サチがすぐに制服を脱がして用意してた服を着付けくれる。私は両手を左右に広げされるがままにしながらサチに話しかける。


「サチーまだ決まってないんだけど今度マノンとマノンのお父さんと一緒にステイの森に行こうってなってるんだけどサチも来る?」

「お嬢様が行くっておっしゃるなら私もついていきます。どうせお嬢様は新しい武器に慣れるまで時間がかかりますからね。」


服のしわを伸ばしながらサチは淡々と答える。


「なんで私が武器変えようとしてるって気づいたの?!」

「前に寝言で『このナイフ全然だめじゃないか!こんなの不良品だあぁぁぁーーーー!!』とか叫んでましたよ。」

「ええぇぇぇ?!」

「冗談です。大体武器屋に行くっていうならそんな理由しかないじゃないですか。」

「そ、そうだよね。」


さ、さすがサチ。ていうか冷静に考えれば私が寝言で叫ぶはずないよね…?だよね?


「顔が引きつってますよ(笑)」

「あはは…。」


☆☆


数日後、私はサチやマノンとマノンの父とともにステイの森に来て、魔物を見つけてはチャクラムで倒すというのをやっていたのだが―—―


「今度こそ当てる!えいっ―—―!」


熊型の魔物―—―ティクマに向けて投げたチャクラムは、面白いほど軌道を変えて周りの木をバタバタとなぎ倒して私の手に戻ってくる。 


「…。」


切れ味がいいのはわかるが、なぜこうなる…。―――おいサチ、ため息をつくな。悲しくなるだろ。

そしてこちらの存在に気付いて、すごい勢いで突進を始めたティグマに向かって私は手のひらを突き出す。


「『ライトニング・ショット』!!」


詠唱の直後に手のひらから出された光の球体は、音速に近い速さでティグマへと向かいその図体の真ん中に穴をあける。

腹に穴をあけられたティグマは、自分の腹に空いてる穴をまるで信じられないように見て、それから血を吐き倒れた。


これはもうひとつの【ユニーク魔法】―――〈光魔法〉だ。

〈光魔法〉は攻撃に特化した魔法であり、今この〈光魔法〉を受け継いでいる血筋はクラウディア家のほかにはいない。

最初からこの魔法を使えば大体の魔物は一発なのだが、それを誰かに見られてしまえばすぐに情報屋ネディの正体がクラウディアのものだとばれてしまう。だからこそ使いたくない。

私はサチとともにティグマの素材をはいでいく、これは売れば金になるしね。―――ていうか


「あいかわらずサチっちメイド服だからちょっと絵面やばいね…もう慣れちゃったけど。」


そう、サチはメイド服なのである。ティグマを持参したナイフで返り血をあびながら解体していくメイドの姿はもはやシュールとしか言いようがない。

今では皮肉を言えるようになったマノンだが、最初はキュウと小動物のような声を上げて気絶していた。そして、皮肉を言われた本人は―――


「………そうでしょうか?」


と、首をかしげている様子―—―自覚なしかよ…。

自分を棚に上げるようだけど、小説家って大変なんですねw

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