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噂にも出てきた情報屋

あれからお父さんたちは、話に盛り上がったのかどっか行った。

そんなとき、固まった人たちの中から抜け出したのか、誰かがこっちに向かってくる。


「ちょっとごめんな!お~い!ジオン~!」


固まっていた人たち…主に女の子を掻き分けて現れたのは、さっき見たコバルトブルーの髪に同色の瞳を持った好青年だった。


「レッド!」


ジオンの知り合いか―—―てか、見た目と名前があってねぇ!

レッドはこちらに来るとジオンの隣に並んだ。近くに来てわかったが、身長が高いほうだと思っていたジオンよりこぶし一個分でかい。私と比べると頭一個分ぐらいの差になる。

隣に来たレッドにジオンが話しかける。


「そういえば白亜の城、今日攻略したんだってね?」

「まぁな!なんたって俺は、火炎の剣のリーダーだからな。」


胸を張り、ドヤァとするレッド。

火炎の剣…たしかギルド最強のパーティーだと聞いたことがある。で、レッドはそこの剣士(ソードマン)でリーダーだったような…だから見覚えあったのか。ちょっと名前安直すぎる気がするけど…。

すると胸を張っていたレッドが、頭をかき苦笑しながら口を開く。


「―—―て素直に言えたらいいんだけど、実際は一回攻略に失敗しててな。情報が入ってくるまでそれっきりだったのさ。」

「そう様子だと情報が入ってきたのですか?」

「あぁ!―—―て…君もしかしてジオンが言ってた婚約者?」

「はい、初めましてごきげんよう。レッド様…カトレナ・ナッシュヴィルと申します。」

「おう!よろしくなカトレナ様!―—―あと、そこのもう一人は…ネル様だっけか?」


空気のようになってジュースをすすっていた私だが急に名前を呼ばれ、慌てて顔を上げる。


「は、はい!ネル・クラウディアです。なぜ私の名を知っているのですか?」

「ジオンから聞いたんだ。なんたってネル様はジオンの初恋―—―」

「ちがうよ。」


凛とした声が響く。

声の発生源―—―ジオンは、虚ろな瞳でレッドを見ていた。

まるで操られている人形のように―—―


「―—―ど、どうしたんだよ?ジオン。」

「ん、え…な、なんか言った?僕。」

「覚えてないのか…?」


普段の様子に戻ったのかジオンは、あれ~と首をかしげている。レッドは目をかっぴらき、ジオンを見ている。たぶんスキル『鑑定』をジオンに使っているのだろう。

私も周囲に気づかれないよう、ジオンに『鑑定』を使ってみる。けれど、何も表示されなかった。レッドもそうだったのだろう、首をひねっている。


「あの!ダンジョン攻略について話を聞きたいです!」


そこで、カトレアが話を切り出す。それにジオンも乗っかる。


「たしか情報がどこからか入ってきたんだってね。一体どこからなんだい?レッドたちのパーティーより先に進んでるパーティーなんて今のところいないと思うけど。」


レッドが急に話を進めていく二人に驚いた様子だったが、まぁいいか、と話を続ける。私も、何も問題はなかったし体調不調だろうと自分に言い聞かせ。話に耳を傾ける。


「最初はな、俺もそう思ったんだ。けどなギルドに聞いてみたら情報を売ったのは、今話題になってる情報屋のネディってやつらしい。」

「聞いたことあるね。」

「私も聞いたことあります。」

「わたくしは初耳ですわ。」


―—―て、私じゃん!

たしかに今日マップを売ったけどそのあとすぐに攻略したのか、しかも二時間足らずで…恐ろしやギルド最強パーティー。


「しかもその情報内容がすごくってな、ダンジョン内のマップだったんだ。それに加えてボスの部屋までの経路、トラップやモンスターの情報までな!ギルドで聞いたときは耳を疑ったさ。」


こっちもお前のパーティーの行動力を疑いたい。私は朝から潜って七時間以上かけてマッピングしたのに…罠を見つけながら、モンスターにばれないよう隠密しながらだけど。


「誰かとパーティーを組んでいるのでしょうか?」

「いや…ネディという冒険者の話は、僕も最近聞き始めた話だけど一人でダンジョンに入ってて。誰とも一緒には行動しないらしい。」


カトレナの考えをジオンが否定する。

そりゃね、公爵令嬢がダンジョンに潜ってたら大騒ぎだかんね。

下手にパーティー組んでばれるわけにもいかない。だからこそ情報屋を選択しているのだ。

そしてジオンの答えにカトレナ目を見開く。


「一人で?!白亜の塔はS級ダンジョンと聞いてますが、そんなことが可能なのでしょうか?」

「そこは俺もさっぱりだ。実際戦闘してるとこは誰も見たことないのらしいが、噂ではアイツの前に立った相手は何もできずにやられるらしい。だからその噂が気になってギルドからダンジョンに向かうネディを尾行したやつもいるんだが、町の角に曲がったとたん姿が消えたらしい。」

「消えたのかい?建築物に飛び乗ったとかは?」

「いや、尾行してたやつもそうだと思い、上に飛んだらしいが誰もいなかったらしい。」


あ~あ、あのときか…。あのとき角に曲がってすぐに〈幻惑魔法〉の『透過』と『気配隠蔽』を使って姿隠したんだよねぇ。尾行してたおっさんがあわあわしてたのは滑稽だったわ。

ていうか『幻覚』使って倒してるだけなのに、私が相手の前に立つだけで敵を倒してるみたいにみたいになってるけど敵の目を見ないと発動できない魔法だからそう見えちゃうっていう人もいるのかなぁ。


「謎の多い人だね。そういえば性別はわかっているのかい?」

「いや…でかいコートを羽織って、フードで顔隠してるらしいからわかってないぜ。」

「そうなんだ…一度見てみたいかも。」

「俺もうちのパーティーに入ってほしいと思ってる。」


パーティーには入りたくないなぁ…情報屋は基本一人でやるものだからな。

そのときコーンコーンと鐘が鳴る。お開きの時間だ。お互いに挨拶をして別れ、私はアンさんと別れた兄と最初に合流しアリスも見つけて、城を出て馬車に乗り込んだ。両親は別の馬車で帰るらしい。

私たちは馬車の中でおのおのの楽しかったことなどで盛り上がり、家にはすぐについたように感じた。

私は二人と別れ出迎えしてくれたサチを労い、シャワーは朝にと…着替えるだけして眠りについた。

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